「消費マインドの冷え込み」を実感する
昨日11月9日の日曜日の午後三時半ごろ、突然思ひたつて、cowl を編み始めてしまつた。
年賀状の準備(タティングレースのモチーフ作り)はまるでできてゐない。
突然 cowl を編み始めたのには理由がある。
最近、たんすの中を見てゐたら、これまた突然、Rowan の Cocoon が三玉見つかつたからである。
Rowan の Cocoon は、二三年前に半額だつたのを買つた。
帽子と cowl とを編んで、全部使つてしまつたはずだつた。
すくなくともやつがれの頭の中では、「もう我が家には Cocoon はない」といふことになつてゐた。
それが突然見つかつてしまつたのである。
しかも三玉とかいふ中途半端な数で。
悩んで、ひとまづはまた cowl を編んでみることにした。
今回編むことにしたのは、縦長に編んで最後に輪にする形である。
cowl を編むときは、大抵輪の状態で編む。最後にメリヤスはぎをしたくないからだ。
輪の状態でぐるぐる編むのが好きだからといふのも理由のひとつだ。
昨日編み始めて、夜には編み終はつた。
まだメリヤスはぎが残つてゐるが、それはまあ、追々やることにする。
パターンは、Ravelry から探してきた。
フリーである。
一昨日、丸善丸の内店に行つた。
なにかしらあみものの本を買ふつもりであつた。
候補は三冊くらゐあつた。
「デンマークの暮らしから生まれたニット」と「編みたい糸で、編みたいパターン」、それと嶋田俊之の「シェットランド・レース」である。
あ、「毛糸だま」の最新号もあるから全部で四冊か。
あと、なぜかかぎ針編みをしたい気持ちが高まつてゐるので、かぎ針編みの本でなにかよささうなものはないかな、と思つてゐた。
一冊も買はずに帰つてきた。
上記三冊は、すでに何度か店頭で手にしてゐる。
それで気に入つてゐる、といふか、気になつてゐる本だ。
これまでだつたら買つてゐる本である。
それなのに、なんといふことだらうか。
「この本には編みたいものがひとつしかない」「この本には編みたいものがいくつかあるけれど、手持ちの毛糸とあはない」などの理由で、買はうと取り上げつつも、結局本棚に戻してしまふ。
そんなことをくり返して、その日は戻つてきてしまつた。
たぶん、これは「消費マインドの冷え込み」といふアレである。
これまでだつたら、ひとつでも編みたいものがあれば買つてゐたのになあ。手持ちの毛糸とあはなくても「まあなんとかなるだらう」くらゐの気持ちで買つてゐた。
それが、なにがどうなつたのかわからないけれど、突然、「編みたいものがひとつしかないんぢや買へない」「手持ちの毛糸とあはないから買はない」といふ風に心持ちが変はつてきてしまつたのである。
ニュースなどを見てゐると、四月の消費税率引き上げに伴ふ「消費マインドの冷え込み」は一時的なもので、そのうちなくなる、と云ふてゐたやうに思ふ。
すくなくとも、四月五月くらゐの段階ではさう云つてゐたんぢやないかな。
六月七月の賞与の時期になつたら、よくなるんぢやないか。
或は秋が来たら。
これまたニュースなどを見るかぎり、どうも「消費マインドの冷え込み」とやらはつづいてゐるやうな気がする。
すくなくともやつがれの中ではつづいてゐる。
食料品や日用品を買ふときも、現在かごの中に入つてゐるものの総額をおほよそではあるものの計算しながら買ふやうになつたし、一度に使ふ金額も以前より減つてゐる。そもそも買ひものに行く回数が減つた。
食料品や日用品でさへさうなのである。
あとは推して知るべしだ。
もうかうなつてくると、消費マインドとやらは「冷え込」んでゐるわけぢやあないんぢやあるまいか。
いまある(だらう)この「消費マインド」こそが「消費マインド」なんぢやあるまいか。
そんな気がする。
円が安くなると輸入品の値段があがる。
これから冷えるのに、灯油の価格もあがるだらう。
光熱費は全体的にあがる。
食料品や日常品も、輸入してきたもので作つてゐるものは高くなるだらうし、だいたい作るのに工場を動かするのにかかる光熱費があがるんだから、その値段も反映されることになる。
毛糸やあみものの本を買つてゐる場合か?
それでもこの冬は「michiyoの編みものワークショップ」とラトヴィアのくつ下の本を買つてはゐるんだがね。
「michiyoの編みものワークショップ」にあはせて毛糸も買つた。
九月にはスウェーデンで毛糸を買つてきてゐるしね。
まつたく消費してゐないわけではない。
それでも、「ほしい本はあつて、でも買はない」といふ自分の行動に、我ながらすくなからずショックを受けてゐることも確かなのだつた。
この反動がどこかでやつてくるやうな気もするしね。
ちなみに、あみものの本も毛糸もやたらと手元にあるので、編まないといふことはない。
これもまた確かなことである。
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