なぜか持ち歩くかばん
夏だといふのに、暑苦しい色のかばんを使つてゐる。
暑苦しい色といふのは、シュランケンカーフのヴァイオレットのことだ。
こんな色である。
この写真だとちよつと暗過ぎるかな。
照明の加減によつては茶色にも見える、そんなこの色のことをやつがれは「郭嘉ヴァイオレット」と呼んでゐる。
「人形劇三国志」に出てくる郭嘉の衣装の色がこんなやうな紫色だからだ。
「人形劇三国志」の郭嘉は実にいい男でねえ……。といふ話はここにも何度か書いたか。
でもなぜだか飯田市川本喜八郎人形美術館で見る郭嘉はそれほどいい男には見えない。不思議である。今の時期、飯田にゐるので機会のある人は是非、郭嘉をごらんになつていただきたい。
人形劇のときは、人形遣ひの人とカメラとのchemistryが働いてゐたのかねえ。
ヒカリエの郭嘉は実にいい男なんだけれどもねえ。今はゐないけれど。
さて、この「郭嘉ヴァイオレット」のかばんを、都合三つ持つてゐる。
写真のミセスと、コンフェティと、ネコリュックと、である。
いづれもル・ボナーのかばんだ。
ル・ボナーのかばんは、実はやつがれの好みに合はない。
やつがれが好きなのは、いろいろものが入つて、小分けできるポケットの多いかばんである。
たとへばマーガリーバッグ(現アメリバッグ)がさうだ。
ブロガーズトートもさうだといへる。
ポケットがたくさんあると、そこに細々したものがすべておさまるんだよね。おさまつて、整理できたやうな気分になる。
ポケットが少ないとさうはいかない。
たとへば今日はミセスを持ち歩いてゐるけれど、中にはみつばちトートで買つたひも付きのピタポケットを入れてゐる。まちがなくて前後にポケットのあるちいさなポーチだ。まちがないので入れられるものはさう多くはないが、便利ではある。
おほきなかばんを持ち歩くときは、さうやつてポーチなりなんなりに小分けにつめて持ち歩くやうになると思ふのだが、このポーチといふのがまたかさばるんだよね。
ポーチなんかに入れずにそのままかばんに入れた方がかさばらずにすむ、といふことも往々にしてある。
ただその場合は取り出したいものを即取り出せないといふジレンマに陥つたりする。
だからポケットのたくさんあるかばんが好きなのだ。
しかし、ミセスには、外にピタポケットがひとつに中にファスナーつきの内袋がひとつ。
コンフェティには内側にピタポケットとファスナー付のポケットがひとつ。
ネコリュックには内側にちいさなポケットがひとつあるきりである。このポケットには外のファスナーからものを出し入れできるんだけどね。
コンフェティは、縦に深いかばんではないので、そのままものを入れても見渡しやすい。よつて、別のポーチに入れてからコンフェティに入れなくてもなんとかなる。
問題はミセスとネコリュックだ。
とくにネコリュックは中が広いのでいろいろ考へてしまふ。
なのになぜ使つてゐるのか。
不思議なんだよねえ。
しかも、ル・ボナーのかばんといふのは、たくさんものが入るけれどもあまり入れない方がいいかばんなのだ。
やたらとものを持ち歩きたがるやつがれにこれほど向かないかばんはない。
そのはずなんだかなあ。
最初は気に入つて持ち歩いてゐても、しばらくすると使はなくなるかばんといふのはいくつもあつた。
でも、ミセスとコンフェティとネコリュックとは、なんとなくいつも使つてゐる。
色が暑苦しくても、夏のあひだも持ち歩いてゐる。
使ひやすい、といふのはもちろんある。
ミセスはなにをいつてもたくさん入る。入れない方が形よく見えるのはもちろんだ。でも、入れることもできる。ポメラDM100も余裕で入る。
ナス管がついてゐて、左側にかばんをかける人用ではあるものの、鍵とかなんとかをつけておくのにとても便利だ。
定期券はピタポケットに入れてゐる。
あとはなんとかなつてゐる。
コンフェティは、ちいさくて浅いけれどもたくさん入るかばんだ。
芝居見物のときはこのかばんを選びがちである。
浅いので中身を見渡しやすい。即取り出したいものはかばんの中央に入れておく。ポケットには即取り出さなくてもいいものを入れたりしてゐる。
Kindleもおさまるしね。四六版の本も入る。
ちよつとしたおでかけにはほんとにこれだけでOKだ。
ネコリュックの場合は、定期券やiPhoneを入れるちいさなかばんを別に持つことになる。Eater-sagariとかあやの小路のがま口ポシェットをあはせることが多い。
ポケット部分にお財布を入れて、上にも書いたみつばちトートのポケットポーチにこまごましたものを詰め、あとははふりこむだけ、みたやうな遣ひ方をしてゐる。
さうしたものは、普段取り出すことがあまりない。
取り出すとしたら、落ち着いた状態でのことである。
だから、これで十分なのだ。
定期券入れとiPhoneを即出せるやうにしておけば、あとはそんな必要はあまりない。
ネコリュックを使つてゐて、そのことに気がついた。
そんなわけで、「ポケットがたくさんあつて荷物がいつぱい入るかばんが好き」といふのは単なる思ひ込みだつたのかなあと思ふこともある。
でも、ブロガーズトートはさういふかばんか。
あとはやはりデザインか。
ミセスもコンフェティもネコリュックも、見た目がとてもステキなんだよね。
どれも一目惚れで買つたしね。
あまりかばんの見た目にはこだはらないやつがれではあるが、そんなやつがれをして使はしめる魅力がル・ボナーのかばんにはあるのらしい。
いまの悩みは、ミセスにもコンフェティにもネコリュックにもA4サイズのものがおさまらないといふことだ。
なんとかしたいんだがなあ。
さて、どうしたものやら。
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