アイロンかけますか?
Yシャツつて、「クールビズ」ぢやないよね。
この時期、Yシャツを着てゐる人を見るだけで暑苦しさが増してくる。
そのYシャツにアイロンをかけた人がゐることを想像するからだ。
ああ、暑い……
使ひたくないことばだからかぎかつこでくくつてゐるわけだ、「クールビズ」と。
これつて、全然環境のことは考へてゐないんだよね。
だつたら「アイロンをかけなければならないやうな服も避ける」とするべきだ。
アイロンは、小さいかもしれないが熱を発する家電である。
熱を発するといふことは、それなりに電力を消費する。
しかもアイロンをかけると暑くなるから、冷房を強めにするといふ人もゐるだらう。
さつき職場でよれよれのYシャツを着てゐる人を見かけた。
あー、アイロン、かけてないんだらうなあ。
しかし、今の時期、それでいいのである。
それが正解。
すこしでも節電しなきやね。
しかし。
世の中、手間のかかつてゐるものほどいい、手間のかかつてゐるものほど正式、といふ風潮がある。
極端な例でいくとプレタポルテよりオートクチュール、とかさ。
おそらくYシャツのどこがいいのかといふと、アイロンがかかつてゐるからなのではないかと思ふ。
のりをつけてアイロンをかけてぱりつとした姿が仕事には向くのだらう。
それはわからないでもないけれどね。
だつたら「クールビズ」とか中途半端なこと云つてんぢやないよ。
と、思ふのもまた事実なのである。
ところで、やつがれはアイロンが苦手である。
それはもうこどものころから苦手で、たぶん、熱いからだらう。
まんがなどで、アイロンのあとのくつきりとついた服などを見たことなども影響してゐるのかもしれない。
アイロンはおそろしい家電。
さうすりこまれてゐる。
だからといふわけではないが、タティングでなにか作つても、アイロンをかけることはまづない。
水とほしして、タオルで水気を吸ひとつたあとは、ピンを打つて乾かす。
それだけ。
ときどきピンを打たないこともある。
The Twirlyのチェインの長さを間違へてつないだものなどは、写真を撮るために水につけて乾かしはしたけれど、そのときにピンは打たなかつた。
失敗作だから、といふ思ひもある。
のりづけもしたことないなあ。
はじめてタティングレースのドイリーを作つたときに、一度だけしたか。
あのときはのりづけをしてアイロンもかけたのだつた。
さういふものだと思つてゐたからである。
でも、アイロンがけもさうだけど、のりづけもあんまり好きぢやないんだよね。
布地は、とくに着るものは、くつたりしたものが好きなのだ。
以前も書いたな。
「着つつ慣れにし」つてな感じで、くつたりして、手触りのよいものが好きである。
着慣れたTシャツみたやうな感じ、かな。
最近、円の中心に穴をあけて首を出し、その穴の両脇の適当なところに穴をあけて腕を出すやうな感じの服が好きらしいことに気がついた。
無駄に布を使ふ服である。
これが案外涼しいんだよね。首と腕とを出す穴を大きめにしておくと、さ。
布は完全に無駄なわけだけれども。
しかし、その服も、布地がかたかつたりのりづけしてあつたりしたらダメなのである。
あくまでもくたつとふはつとした感じでないと。
実際にさういふ服を持つてゐるわけではないのだが。
先日それに近いやうな服を着て、さう思つたのである。
そんなわけで、ドイリーなんぞもとどちらかといふとちよつとくたつとした風情のあるものが好きだ。
ぴんと張られたものよりも、くつたりと寄り添ふやうなものがいい。
のりづけするとさういふ風情が消へてしまふ。
アイロンをかけるくらゐならいけれども。
だいたい、かつちりしたものを作りたいのであれば、かつちり作ればいいぢやん、とも思ふわけだ。
たとへぱ栞とかね。
栞はちよつとかつちりめに作つた方がいいだらう。
それに栞にはのりづけは向いてゐない。
のりをつけるとのりが黴びることがある。
本にはさんでおいたまま忘れてしまつて、ある日あけて見たらばこはいかに、なんてなことになつてゐたら目も当てられない。
栞はきつちりかつちりに作る。
それにかぎると思ふ。
なんて、すべてはアイロンから逃げる口実なんだけれどもね。
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