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Thursday, 10 July 2014

飯田市川本喜八郎人形美術館 人形アニメーション

6月6日、7日と、飯田市川本喜八郎人形美術館に行つてきた。
今回は人形アニメーションの展示について書く。

人形アニメーションの展示はいつも似たやうなポージングになつてしまふのだらうか。
そんなことを思ふたりする。
といふのは、今回いづれも以前の展示でも見たことのある作品の登場人物が並んでゐて、そのときとあまり変はつたやうすがなかつたからだ。

「いばら姫またはねむり姫」のいばら姫は、椅子に腰掛けて刺繍をしてゐる。これは、以前の展示でもさうだつた。
以前の展示でもさうだつたけれども、その精緻なさまに魅入つてしまふ。
「刺繍をしてゐる」と書いたとほり、ほんたうに刺繍をしてゐるのである。
今回、映像も見ることがかなつて、糸をとほした針を布地にさして、刺繍してゐるさまを見ることができた。
よく見れば、針にとほした糸のあるあたりの模様は刺しかけになつてゐる。
うなる。
また針を持つ手の繊細なことといつたら。
いばら姫の周囲はぐるりと回ることができるので、360度いろんな角度から見られるのもいい。

ほかはすべて「死者の書」に登場した人形たちである。
展示室の一番隅にゐるのは持統天皇だ。
空を見上げて彼方をかつと睨みつけた姿は、衣装の色もあひまつて、炎のかたまりのやうである。
以前の展示のときも書いたやうに、見る角度によつて、坂東玉三郎によく似てゐる。細面に見える位置から見るととくに似て見える。

その隣にすこし大きめのケースがあつて、郎女と語り部の媼女とがゐる。
これも以前の展示とおなじで、郎女は機の前に座つて、織物をしてゐる最中で、媼女はその横で織り方を指導してゐる、といつたやうすである。
この機がすばらしい、といふ話もその時に書いた。
だいたい、ここまで準備するといふのがすごい。
実際に織れる機を人形サイズに作つて、映像を撮るのにふさはしい長さまで生地を織つておいた、といふ、その労力の前に気が遠くなることしきりだ。
郎女の休む部屋だらう、屏風といふか仕切の向かうに床がしつらへてあるのも以前の展示とおなじである。

展示室の出口付近のケースには、恵美押勝と大伴家持が、押勝邸で酒を酌み交はす場面を再現した展示になつてゐる。采女がそれぞれひとりづつ侍つてゐる。
これも以前の展示とおなじだが、気のせゐかな、押勝と家持の位置が逆になつてゐるやうな気がする。
なぜさう思つたかといふと、押勝の表情が以前見たものとちよつと違つて見えたからだ。
以前見たときは、ちよつといやらしげな感じの視線だなと思つたのだが、今回はそれほどでもなかつた。胸に一物ありさうなところは一緒だつたけれどもね。

「死者の書」はここのところ毎年川本喜八郎の命日に飯田市川本喜八郎人形美術館で上映されてゐる。
今年も見られるかな。
できれば大きい画面で見てみたいんだよね。

展示室の外のホワイエには、いつもどほりヤンヤンムウくん三体、三匹のこぶたのブーフーウー、ミツワ石鹸の三人娘とアサヒビールのほろにが君、「風の子ケーン」のケーンとその父母がゐる。そのときによつて変はる展示はババヤガーのババヤガーと女の子と男の子がゐる。

いつも、「風の子ケーン」はやつてゐて楽しかつたんではないかな、と思ふ。
シルクロードをやりたい、といつてゐた、といふこともあるけれども、かうしてヤンヤンムウくんなどと並んでいつも展示されてゐる、といふのは、思ひ入れがあつたんだらうといふ気がして、な。
ケーンの父シュマロを見るたびに、「馬騰と似てゐるなあ」と思ふ。
母ローランのうつくしさにも目を見張る。

といふわけで、以上が今回の展示の内容である。
このときに見たアニメーション作品については、またの機会に。

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