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Monday, 16 June 2014

寄る辺なきくつ下編み

編んでゐない。

かう書くのも何週めであらうか。
Katnissといふ名のくつ下は、かかとに入る手前で止まつたままである。

もうこのまま編まないのかも。
さう思はないでもない。

これまで何足もくつ下を編んできたが、大抵は完成させてゐる。
すくなくとも、最初の片方を完成できたくつ下は、もう片方も編み上げてゐる。
これが我ながら不思議なのだ。
最初の片方で飽きてしまふといふことはないのか。
気持ちの問題でいふと、もちろんある。
「あー、まだもう片方あるよー」と思ふことがあるからだ。

くつ下完成の秘訣は、片方を編み上げたら即もう片方に着手する、だ。
作り目をして、数段編めばいい。
理想をいへば、履き口から編み始めるならゴム編みが終はるところまで編んだ方がいいし、つま先から編むなら増やしめの終わるところまで編むといい。
だが、これはあくまでも理想である。
片方を編み終へたら、すかさずもう片方を編み始める。
これがくつ下に限らず、手袋とか、セーターの袖、ヴェストやカーディガンの前身頃を完成させる秘訣だ。

おそらく、やつがれはこの秘訣を信じてゐるのだ。
もう片方も編み始めちやつたんだから、これはもう必ず完成する。
根拠なくさう信じてゐるのだらう。
さらには、「すでに片方仕上げてゐるのだから、もう片方も絶対できるはず」といふ、これまた根拠のない自信も関係してゐるやうな気がする。
「すでに片方編んでしまつたのだから、もう片方も仕上げねば」といふ義務感のやうなものもあるな、多分。
それでいままでは完成にこぎつけてきたのだと思ふ。

だが、最初の片方さへ編み終はらない場合は、これはもうどうしやうもない。
なにも信じられるものがないからだ。

そして、一足同時編みの場合、全部編まないとなにもできあがつてゐるものがないので、信頼するものがなにもないのである。

……などと、屁理屈だけはいくらでもつくんだよなあ。

考へてみたら、かかとをどう編むか決めてゐないんだつた。
それで止まつてゐるのかもしれん。
なんとなく、引き返し編みのかかとになりさうな予感はしてゐる。
なにも考へられないからだ。
いや、「なにも考へたくない」が正しいかな。

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