どんどんつなぐ
タティングレースの方は、進み具合が目に見える。
Jon YusoffデザインのThe Twirlyといふモチーフを七つつなげて六角形のモチーフにして、それを二つつないだところまできた。
三つ目も三枚目を作つてゐる最中である。
それにしても、ほんとによくつづいてゐるな、と我ながら感心する。
自慢ぢやないが、根気はないのだ。
長いこと、自分に足りないのは集中力だと思つてゐた。
まあ、それも足りないのかもしれないけれど、もつと足りないものがあるといふことに気づいたのは、羽生善治の「40歳からの適応力」といふ本を読んだときのことだ。
以前も書いたやうに思ふが、将棋をさしてゐるこどもは、隣の対局が気になつたりする。自分もさしてゐるのに、隣の盤面をちらちら見たりしてしまふ。
これは、集中力がないのではない。
こどもは、そのときそのときで自分の盤面や隣の盤面に集中してゐる。
足りないのは、根気なのである。
と、本にはある。
なるほどー、やつがれに足りないのは根気だつたのか。
さういはれてみれば、思ひあたる節がある。
たとへば、アルバイトなんかでも三ヶ月くらゐで飽きてしまふ。
国のお役所の研究所にアルバイトに行つてゐたときは、PC(WindowsもMacintoshも)は触り放題だし、でかい計算にはホストを使ふので端末叩くし、スーパーコンピュータの端末だつたUNIXマシンなんかも使はせてもらつてゐた。
コピー仕事が多かつたけれど、それを製本機にかけて製本するなんてなこともしてゐた。これも楽しかつたなあ。
で、この仕事は半年くらゐは楽しくやつてゐた。
もしかしたら、はじめて自分にむいてゐる職についたのかも。
さう思つたこともあつた。
だといふのに、半年くらゐしたら、飽きてしまつた。
そんなわけで、とにかく飽きつぽい。
さうか、根気がないわけではなくて飽きつぽいのか。
もとい。
だから、モチーフつなぎも苦手である。
作品を見て、いいな、とは思ふのだ。
いいな、とは思ふて、しかし作りはじめると続かない。
ドミノ編みなんかもさうだな。
その一方で延々編み続けるやうなパターンは編めたりするんだが……うーん。なんでだらう。
おそらく、最初と最後がめんどくさいんだな。
作り目したりとか、伏せ止めして糸の始末をしたりとか。
それを何度も何度もくり返すのが耐へられないのだらう。
ところが、The Twirlyである。
以前ここにもちよつと書いてゐたが、今回これを作りはじめる前に、おなじものを作つてゐた。
いや、「おなじやうなもの」と云つた方が正しいだらうか。
そのときは大きい六角形のモチーフを三つつなげるところまでいつた。
三つつなげて、間違ひに気づいた。
チェインの長さが違つたのである。
そのままつづけてもいいかなあとも思つたが、長いチェインの方がモチーフに余裕がある感じがしたので、最初から作りなほすことにしたのだつた。
つまり、これまでにThe Twirlyを37枚は作つた、といふことだ。
現在38枚目。
なんだ、さう考へるとたいした数ぢやないか。
このモチーフは、いまのところ昼休みのあいた時間にしか作つてゐない。
だいたい一角作るのに15分かかる。
1枚につき1時間半といつたところか。
それが37枚だと55時間半。
うーん、それでもさうたいしたことないやうな気がする。
だいたい15分と書いたけれど、1週間で1枚くらゐできてゐるやうな気がするしね。さうすると、37週、か。それはかなりの時間だな。
いづれにせよ、こんなに長いことひとつのモチーフをつなぎつつげてゐるなんて、これまでやつたことがない。
やらうとしても、つづかなかつた。
なんでつづいてゐるのかなあ。
といふことは、ここでも何度か考へたりしてゐる。
おそらく、モチーフがいいんだよね。
The Twirlyはやつがれのあまり好まぬシャトル2つ遣ひのモチーフだ。
でも、シャトルの持ち替へが苦にならない。
ちよつとしたスプリットリングもある。
これが飽きない理由なんだらうなあ、とは、以前も書いたとほりである。
もう一つつづいてゐる理由は、「これ」と決めておけば、なにを作るか悩まなくてすむから、といふのもある。
ひとつ作り終へると、つぎに作るものを考へなければならない。
調子のいいときは、作りながら「次はあれを作らう」などといろいろ算段をして楽しむのだが、さういふ余裕がないときといふのもある。
いまはきつとその余裕がないときなんだらうな。
とりあへずThe Twirlyだけ作つてゐればいいや。
さう考へられるといふことは、気楽なことである。
この先、どこまでつづけられるかねえ。
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