80番の糸を使ふてみる
「優しいタティングレース」を買つた話は、一昨日昨日と書いてきた。
なかで、「いいなあ」と思つたものは、80番の糸を使つてゐる、といふことも。
本では、DMCのスペシャルダンテル80番を使つてゐる。
ところによつては「Tatting Thread」などとも呼ばれてゐる糸である。
正式名称ではあるまいと思ふがね。
しかし、海外の手藝用品サイトなどを見ると、たまに「Tatting Thread」と称してDMCのスペシャルダンテル80番を商つてゐるところがある。
「なるほどねえ」とうなづく向きもあらう。
この糸はタティングしやすいものね。
タティングレースをはじめてしばらくたつたころ、80番の糸を使つてゐたこともある。
色が多彩なのがいいやね。
もう廃番になつてしまつたが、淡いピンクのとてもよい色の糸があつた。いまあるものとは少しちがふ。淡い色ではあるけれど、日の光の下で見ると、実にやはらかくてよい色の糸であつた。
コルドネスペシャルの80番も買つたなあ。
その後、80番手以上の細い糸でタティングすることがまれになつた。
理由は……うーん、我ながら謎である。
ひとつには、80番手以上の細い糸で作つたものは、実用にならない気がしたからだらう。
なにしろ、繊細なのである。
普段使ひにするなんて、考へられないくらゐ、華奢なのである。
そこがいいのよ、といふ意見もあらう。
さう、タティングレースをはじめる人は、どうやらどんどん細い糸を求めるやうになる。さういふ傾向がある。
その傾向が、おもしろくなかつたんだらうな、おそらく。
それに、太い糸の方がタティングのスティッチがはつきり出る。ぷつくりとふくらんだ結び目は、太い糸の方が明らかに見える。
細い糸より太い糸の方がいいぢやん。
そんな風に思つたわけだ。
天邪鬼だから。
その後、以前ほどタティングしなくなり、手元にあるのは20番とか40番の糸ばかりになつた。
大抵40番を使ふんだけれども、ときどき20番を使ひたくなるときがあるんだよねえ。
作品によるんだと思ふ。
栞だと、ちよつとしつかりめに作りたいときは20番くらゐがいいなと思ふときがあるんだよね。
そんなわけで、40番を超えるやうな糸とはご無沙汰してゐたわけだ。
そこに「優しいタティングレース」である。
いいなー、80番。
だが待てよ。
確か、手元にあるぢやあないか、DMCのSpecial dentellesの80番が。
といふわけで、急遽作つてみたのがこれである。
「優しいタティングレース」に掲載されてゐるものだ。
作りはじめた時点で、すぐに「80番はやつがれには過ぎた糸だ」といふことが痛いほどわかつた。
やつがれにはこんな繊細な糸をあやつるだけの技量がない。
技量はないけれど、糸を巻いてしまつのたで、とりあへず二段目まで作つてみた。
ボビンにはまだ糸がかなり残つてゐるので、もうちよつとつづけられさうな感じだ。
まあ、ボビンは入れ替へればいいから、いやになつたらとりあへずボビンを替へればいいんだけどね。
で、まあ、出来はよろしくないのだが、しかし、スティッチ自体はきれいに出るのがスペシャルダンテルのいいところだよなあ。
あと、おなじ80番でもダルマやリズベスのものより圧倒的に結びやすい。
だからなんとなく使へるやうな気がしてしまふんだらうな。実際はそこまでの力量はないのに。
とりあへず、まちつと太い糸で精進することにしやう。
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