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Friday, 11 April 2014

PowerPointで作るなよ

ひよんなことからPowerPointが話題になつてゐる。
三年ほどまへ、「PowerPointで読みものを作るなんて間違つてゐる!」と書いた。
書いて本屋に行つたら、PowerPointの指南書にもまつたくおなじことが書いてあつて、「なんだ、別にやつがれがわざわざ云ふことではなかつたのか」と思つた。
思つて、しかし、それでも世の中PowerPointで作成された読みものは減つてはゐない。
むしろ増えてゐるのではあるまいか。
先日も、客に提出する資料はPowerPointで作れ、と云はれた。

いや、PowerPointつて、さういふ資料を作るアプリケーションぢやないし。

なんでさうなるのか。
ふたつほど理由か考へられる。
ひとつは、Wordが使ひにくいからだ。
本来、読みものを作るにはWordを使ふものである。
なぜ使はないのか、といふと、使ひにくいからだ。
人は、なぜかWordをかんたんに使へるものだと思つてゐる。
普段から使ひなれたアプリケーションだと思つてゐる。
使ひなれてはゐるのかもしれないが、使ひ方を理解してゐないから思ふやうには使へない。
そして、Wordは、使つていくうちに使ひ方が見えてくるやうなアプリケーションではない。
多分、PCで文書作成をする人の多くは、Wordを使つてゐるうちになんだか妙ちきりなんなことになつてしまひ、「なぜかうなつてしまつたのか、さつぱりわからない」といふ経験をしてゐると思はれる。
それで、Wordはもういいよ、だつたらExcelで作らう、といふことになつたりするわけだ。

Excelで読みものを作る。
これもまた間違つてゐる。

いや、間違つてはゐないのか。
PowerPointで読みものを作るのも、間違つてゐるとはいへない。
うまく作れる人が作れば、Wordで作らうが、Excel、PowerPointで作らうが、ちやんとした読みものができる。
ただし、それが、上司や客ののぞむものかどうかは、また別の話である。

PowerPointで読みものを作る理由のふたつめは、「読みものを作らないため」だからだ。

なにを云つてゐるのか。
だつて、「読みもの」を作るんだらう?
最初からさう書いてゐるぢやあないか。

たしかに書いた。
PowerPointで読みものを作る話を書く。
そのつもりでゐる。

でも、職場で求められてゐるのは「読みもの」ではないのだ。
職場で求められてゐるもの、それは、「読まなくてもすむ文書」だ。

文章は、できるかぎり短く簡潔に。
絵や図を多用してわかりやすく。
それにはWordを使ふよりもPowerPointを使つた方が作りやすい。

さういふことなのだと思ふ。

仕事の場においては、「読み手に読む手間をとらせない」、さういふ文書がすばらしい文書だとみなされる。
PowerPointで読みものを作れ、といふのは、さういふことだ。

そして、さう云ふ人にかぎつて、絵や図があればわかりやすくなる、と、盲信してゐる。
ぱつと見てわかりやすい絵や図を作成できる人なんて、さうさうゐやしないのに。
その業界や職場ではみんなが理解できる図の形式なり絵なりがある、といふのなら話は別である。
さうでない場合は、文章で書いた方がよほどかんたんに説明できる場合が圧倒的に多い。
でも、文章を、それも長い文章を書くことは、仕事の場では忌避されてゐるのだ。

受け手に読んだり考へたりする手間をとらせてはいけない。
それは「おもてなし」の心に反する。
さういふことなのだらう。

文章で説明させない理由は、実は世の中には他人に理解できるやうな文章の書ける人が案外少ない、といふこともある。

結局、ツールの問題ぢやないのか。
使ふ人間側の問題なんだな。
PowerPointには悪いことをした。

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