編む時間と睡眠時間
メビウス編みのショールをせつせと編んでゐる。
端のレース編み編みつけ部分は、なんとか半分を越えたところだ。
編んでも編んでも終はらない気はするけれど、まあ、なんとかなるだらう。
といふところで、今日のエントリは終はり、である。
あみものblogといふのは、往々にしてかうなりがちである。
こものならいざ知らず、大きなものはなかなか完成しないからだ。
完成しなくても、たとへばセーターだつたら、「前身頃が編めました」とか「両袖一度に編んでます」とか写真を載せてさまになる。
メビウス編みは、ねぢつた状態で編んでゐると、端の伏せ止めがほぼ終はりに近づくまでは、なにがなんだかわからない状態である。
しかも、黒い糸で編んでゐる。
すなはち、写真を撮つても、「……これはいつたいどういふ物体X?」といふことになつてしまふ。
実際、編んでゐても、いま現在自分がどういつたものを編んでゐるのか、よくわかない、とは、すでに幾度か書いたとほりだ。
レース編みのショールなんかも編んでる途中はなにがなんだかわからなくなりがちなんだよなあ。
最後に整形して、やつとレース模様があらはれる、なんてなものが結構ある。
blog、つづかなくなるよねー。
つづかなくても、まあ、いいのかもしれないが。
進まない進まないと思ひつつ、平日は45分ほど編んでゐる。
これも書いたか。
一時間はちよつとムリなんだよなあ。ほかのことをする時間がなくなつてしまふ。ほかのことつて、食事の支度したり食べたり片づけたり、お風呂わかして入つて湯上がりのあれこれをして、とかだけど。
これも以前書いたけれど、三年くらゐ前までは、睡眠時間を削つて編んでゐた。
本人には、「睡眠時間を削つてゐる」といふ意識はなかつた。
考へてみると、ほかに削るところ、ないもんな。
始発のバスに乗つて終電で帰つてくる、といふ生活をしてゐると、なにがなんでも編まなければ、といふ気分になつてくる。
仕事ばかりで一日を終へてたまるか、と思ふわけだ。
なにかが間違つてゐる、とは思ふが、間違つてゐるとしたら、始発で出かけて終電で帰宅するといふ、そのルーティンの方が間違つてゐる。
これは、まあ、いまでもさう思つてゐる。
当時、オーストラリアのあみもの事情を書いた本を読んでゐた。
あみもの者は、どんなに自分があみものはまつてゐるかを自慢しあふといふ。
「あたしなんかね、夜の11時まで編んでゐたのよ」
さう自慢するせりふを見て、「そんな時間、まだ職場にゐるよ」と思つた昔が懐かしいやら痛ましいやら。
その後、今度は片道二時間半かかる勤務先に通ふことになつた。
二時間半、といふのは、一番電車と電車との連携ができる時間帯のことだ。
田舎から田舎に通つてゐたこともあつて、帰りがちよつとでも遅くなると片道三時間はあたりまへだつた。下手をするとバスがなくなる。
このときも、やはり、こんなことで一日を終へてなるものか、と思つてゐた。
それでなにをするか、といふと、まあ、あみものだね。
タティングレースのときもあるけれど。
先週も書いたやうに、人には多かれ少なかれ「なにか作つて残したい」といふ気持ちがある。
毎日毎日鉄板の上で焼かれてばかりぢやイヤになつちやふのは、至極当然のことだ。
至極当然のことだが、しかし、睡眠時間を削るのはよくないよなあ。
その後も、帰宅時間が早くなることはなく、いつしか、夜早く寝ることができなくなつてゐた。
まあね、体力の限界のときなんかは眠れますよ。
しかし、今日は早く帰れた、さて寝るか、と思つても眠れない、といふ事態に陥つてしまつたのだつた。
これはまづい、とは、なぜだか思へなかつた。
なぜなんだらう。さういふ暮らしに慣れてしまつてゐたからだらうか。
しかし、休みの日も、たとへ予定が入つてゐたとしても起きられないことがつづくやうになつて、「これはいかんぞ」と思ふやうになつた。
……といふのはウソだな。
早く寝るやうにしやうと思はなかつたのは、「早く寝るやうにしたら、幸せになれる」「睡眠時間が増えたら幸せになれる」と思つてゐたからだ。
なにを云ふてゐるのか、と思はれるむきもあるかもしれない。
つまり、いまの自分が幸せでないのは、睡眠不足だからだ、と思つてゐた。
早く眠るやうにしても幸せになれなかつたら、もうあとは手がない。
さう思つてゐた。
だが、背に腹は代へられぬ。
といふわけで、このblogにもたまに書いてゐたやうに、早寝早起きをはじめたのが、いまから三年くらゐまへだらうか。
三年かかつて、やつと、なんとなく、早く就寝できるやうにはなつてきた。
もういいかな、と思つて、残業とかすると、あつといふ間に就寝時間が二時三時になつてしまふ。
個人の力でなんとかしやうとするのは、ムリなのかな。
Webなどで検索すると、ひとりでやるのはムリ、専門家にまかせないと、とある。
それは専門家の営利のためでせう、とまでは思はないが、正直云ふと、専門家と会つて話をする手間が惜しい。
そんなわけで、仕方ないけどひとりで今日も早寝早起きを励行しやうとしてゐるわけだ。
それで幸せになれたかつて?
まあ、世の中といふものを考へてみてくれたまへ。
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