春夏もの? 何それ? おいしいのか?
春、なのだと思ふ。
烟花三月下揚州といふこの「三月」は春の終りである。いまでいふ五月とか六月のはじめとか。
月の指定はないけれど
客舎青青柳色新とか、春は別れの季節なのらしい。
もとい。
「なのだと思ふ」と書いた所以は、寒いからである。
寒い。
めづらしく土日両日出かけたときの出で立ちは、ダウンのコートに自分で編んだメビウス編みのショールである。
真冬と変はらない。
真冬のほんたうに寒いときにはもう一枚巻物を使つたりすることもある。
それに自分で編んだ帽子をかぶることもある。
でもそれは、「ほんたうに」寒いときのことだ。
三月。もう春だといふのに。
いつときあたたかかつたせゐで、中途半端に花が咲いてゐる。しかしこの分では桜はもつとあとだらう。
三年手帳で去年のいま時分の記述を見ると、すでにかなり薄手のコートを着てゐる。「あたたかくもないが、さして寒くもない」と書いてゐる。
いまはそんなに気はとてもならない。
一応、洗つておかうかな、くらゐには思ふけれど、それくらゐだ。
考へてみれば、これまで生きてきて一番の大雪を体験したのは三月だつた。それも二十四日とか、月末のことである。
こどものころは、雪の降る月といつたら三月だつた。一月二月は思ひのほか降らないものだつた。
一月二月にどかんと降るやうになつたのは、ここ最近のことなんではあるまいか。
それはさておき。
つまり、春夏ものを編まうといふ気にならないのである。
先日、「いきなりあたたかくなつてしまつた」と書いたものの、「寒の戻り」といふには寒すぎる状況では、如何ともしがたい。
編み始めたメビウス編みのショールは、一応進んではゐる。気温の低いおかげである。「いま編まないと、またあたたかくなつてきてしまふ」と思ふと、せつせと編まざるを得ない。
ここ数年、あみものやタティングレースについては、糸は買はずに手持ちのもので済ませたい、と、ずつと思つてゐる。
うまくいくこともあれば、いかないこともある。
いま編んでゐるショールは、ラグラン袖のリブタートルネックセーターを編んであまつた毛糸を使つてゐる。
セーターを編むときに、毛糸は買つた。
すなはち、手持ちの毛糸ではない、といふことである。
ショールを編みはじめたのは、これ以上手持ちの毛糸を増やさないため、といふ理由もある。
ところで、春夏用の糸の在庫といふのはあまりない。
もともと春夏ものは編まないことが多い。一時は夏でもくつ下ばかり編んでゐたしな。
くつ下毛糸はそれこそ売るほどあるので、今年はずつとくつ下を編んでゐてもいいかな、たまには手袋でも編んで、と思はないでもない。
先日、くつ下を編んで楽しかつたし。さうなつてくると、編みたいくつ下が次から次へとあらはれてくるし。
春夏の糸、といふと、さうだなあ、去年編みはじめて編み終つてゐないスカーフが一枚ある。あれを仕上げるかなあ。
このスカーフ用の糸は去年買つたのだつた。そのとき一緒に買つた糸で手つかずのものがある。それでなにか編むかのう。
と、計画はいろいろ思ひつくのである。
問題はそれを実現してゐる時間がないだけで。
いろいろ考へたところ、以前よりも家で本を読むやうになつたのが時間減少の原因のひとつであることに気がついた。
すこし前に「TVを見なくなつたから編み物もしなくなつた」といふやうなことを書いた。
これも確かに大きな理由のひとつである。
TVを見てゐると手持ち無沙汰だから編む。
TVを見なくなり、ほかのことをするやうになつたから編む時間が減つた。
さういへば、ここのところ録画した番組もなかなか消化できずにゐる。この週末はひとつも見ることなく終つた。
では、かつてTVや録画を見るのにあててゐた時間はどこにいつたのか。
どうも、本を読む時間にあたつてゐるやうな気がする。
以前は、家ではあまり本を読まなかつた。
家ではほかにすることできることがたくさんあるからである。
ほかにすることのない電車の中が読書の時間だつた。
電車の中で本を読むのはいまもかはりはないけれど、気がついたら家でも読むやうになつてゐたんだよなあ。
本を読みながらでもあみものはできる。
特にいま編んでゐるメリヤス編みと裏メリヤス編みばかりのショールなら、まつたく問題なく編める。
編めるのだが、その場合、本を選ぶ。
本は、平らに開くものでなければならない。
手で押さへてゐないと開かないやうな本は向かない。
すなはち文庫本や新書はチトむづかしい。
ハードカヴァで、あるていど読み進んだものが一番あみものに向いてゐる。
しかしなあ、さうちやうどよくハードカヴァの本なんか読んでないしなあ。
Kindleなどの電子書籍もいいとは思ふ。この場合、なにかスタンドのやうなものが必要になるだらう。
かう書くといふことは、やつてみたことはない、といふことだ。
今度やつてみやうかな、iPadで。
などと書いてゐるうちに編めばいいんだけどね。
とにかく、膝の上に編みかけのショールが乗つてゐても平気でゐるあひだに、なんとかしたい。
春夏ものは、編みながら考へることにでもするかな。
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