苦手克服策
おそれてゐたことが現実となつた。
あたたかくなつてきてしまつたのである。
金曜日などはほんたうに春の陽気だつた。
まづい。
このままではまづい。
編みはじめたメビウス編みのショールの仕上がらぬうちに春になつてしまふ。
春のうちはまだいい。
この先暑くなつたら、編み地をひざの上において編むことができなくなつてしまふ。
畢竟、ショールの仕上がりは次の秋冬、といふことになる。
うーぬー。
まあ、計画もなく無謀に編みはじめたのがいけないとは思ふのだが。
それにしても、こんなに一気にあたたかくならなくても。
それだけがうらめしい。
そんなわけで、せつせとメビウス編みのショールを編んでゐる。
あまり進んではゐない。まだニ玉目だ。
八玉と半分くらゐあまつてゐて、全部使ひきるつもりでゐる。
六玉くらゐはひたすらメリヤス編みと裏メリヤス編みをして、残りのニ玉とすこしで端の模様を編む予定、とは、以前も書いたとほりだ。
前回、640目作り目をした、といふ話を書いた。
1目1秒で編んでも10分以上はかかる計算である。
実際はもつとかかつてゐるものと思ふ。
うーぬー。失敗したかなあ。二本取りにして、もつと太い針で編むべきだつたかもしれん、と、いまさらながら思ふ。
メリヤス編みを編む速さはそれほど変はつたやうには思へない。
もうこれ以上は速くならないのかもしれないな。
さう思ふ。
それほど速くないのにね。
速く編まうとするよりは、間違へることなく一定に編める速さを見つけて、その速さで編んでいくのが一番効率がいい。そんな気がする。
問題は、なかなかその「ちやうどいい速さ」を見つけ出せない、といふことだな。
「あ、いまいい感じ」と思つても、なんかの拍子に針や編み地を持ちなほしたり、糸のかけ具合が変はつたりすると、その速さではうまく編めなくなつてしまつたりしがちなのだ。
それで、また気持ちよく編める速度を見定めて、いいなと思つたところで編み地を送つたらまた調子が変はつてしまつて……のくり返しである。
まあ、世の中そんなものかな。
一方、裏目はそれなりに調子よく編めるやうになつてきた。
以前は……といふか今でもさうなのだけれども、裏目を編むのが苦手だつた。
これも前に書いたな。
あまりにも苦手なのでノルウェー式裏目の編み方なんぞに挑戦したこともあつた。
ノルウェー式裏目の編み方は、糸を針の後ろにおいたままで編む方法だ。なんでも一目ゴム編みや二目ゴム編みのときに向いてゐる、といふ話である。糸を針の前後に移動させなくていいからだ。
なるほど、と思ひつつ、結局昔覚えた方法で編んでしまふ。
一時はくつ下ばかり編んでゐた。
そのせゐか、裏目を編むことがほとんどなかつた。
ゴム編みのところと、かかとのところとくらゐで、あとは縄編みが入るときに裏目が多かつたりするかな、といつたところだ。
裏目は編むのにも時間がかかるし、目は不揃ひだし、苦手だなあとずつと思つてゐた。
いまでも得意、とは云へない。
表目を編む方がずつと楽。
さう思ひながらも、でも裏目もそれなりに編めるやうになつてきた。
そんな気がする。
かへつて、裏目の方が一目を編むのには時間がかかるけれどもあまり失敗しないので表目より速く編めてゐるやうな気さへする。
いま編んでゐるメビウス編みのショールでは、表目の部分と裏目の部分とがある。
これを編んでゐるうちに裏目への苦手意識がまちつと減るといいなあと思つてゐる。
それには、とにかく編まないとなー。
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