うつ病になりづらい人
自分はうつ病にはならない。
多くの人がさう思つてゐるといふ。
やつがれもまた例外ではない。
自分はうつ病にはならないと思つてゐる。
なぜか。
先日、「かういふ傾向のある人はうつになりにくい」といふ呟きがまはつてきた。
曰く、部屋の汚い傾向がある。
曰く、遅刻をしやすい。
曰く、感情や好不調に波がある。
ほかにもいくつかあつたけれど、いづれもなんとなくあてはまる。
世に云はれてゐるやうに、うつ病になる人は、生真面目で完璧主義な人なのだらう。
それは、やつがれからはもつとも遠い存在だ。
こんなことを書くと、「ふざけやがつて」と思はれるかもしれない。
うつで苦しんでゐる人のことを考へないのか、と。
実は、もうひとつ、以前から「だから自分はうつ病にはならない」と信じてゐる、その根拠がある。
それは、「自分はもともとうつ状態が常態だから」といふことだ。
うつ病のセルフチェックといふものがある。
職場などでも「チェックしてみませう」といふのでリストがまはつてくることもある。
チェックして、いつも結果は「うつ病の疑ひがあります」だ。
診断結果の細かさに応じて、「軽いうつ病」だつたり単なる「うつ病」だつたり、ちよつと異なることはある。
だが、うつ病の疑ひがない、といふ結果はついぞ見たことがない。
それつて、いつもさういふ状態にゐるつてことなんぢやないか。
いつでも気分が落ち込みやすく、楽しいこともあまりなく、疲れやすくて、とくに朝は陰鬱な心持ちになりやすい。
なにをしてゐても、「こんなことしてなんになる」と思つてしまふ。
自分はさういふ性質の持ち主なのではあるまいか。
無論、うつが常態だからといつて、生きやすいわけではない。
むしろ、自分の常態はうつであると思ふやうになつて、「ああ、だから生きづらいのか」と気がついた。
この世は、気分が落ち込みがちな人間の住みやすいやうにはできてはゐない。
前向きな人、快活な人、明るい人向けにできてゐる。
ビジネス書や「ライフハック」などと呼ばれる本には「ネガティヴな考へ方をする人とはつきあはないやうにしませう」などと書かれてゐたりするほどだ。
ネガティヴ思考はいけないことなんだらうか。
つねにうしろ向きで、陰鬱で、暗い人間は、生きてゐてはいけないのだらうか。
そんなことはない。
まあ、実は、ときどき、「生きてちやいけないのかもなあ」と思はないこともない。
でも、それでは「やつら」の思ふツボだ。
「やつら」、それは、「明るくて前向きな人でなければ認めない」と思つてゐる、実体のない存在、「majority」などと呼ばれる存在だ。
気分が落ち込みがちだつていい。
なにごとも悪い方にしかとらへられない、それのなにが悪い。
かうやつて反抗的にものごとを考へてしまふから、ますます世の中生きづらいんだな。
うむ。
もし、自分がうつなのだとしたら、それは持病だ。
だつたら医者に行くべきなのか。
それはちよつと考へないでもない。
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とっても納得しました。
鼓舞する自分と本当の自分がいるから。
バランスとりながら毎日をクリアしているから。
Posted by: 銀杏 | Tuesday, 01 April 2014 09:46