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Wednesday, 04 December 2013

川本喜八郎人形ギャラリー 【鞍馬の牛若】

11月16日にはじまつた川本喜八郎人形ギャラリーの新展示のうち、今回は【鞍馬の牛若】について書く。
「鞍馬の」といひながら、秀衡がゐるのがご愛嬌、かな。

向かつて一番左端にゐるのが金売り吉次である。
大河ドラマの「義経」では市川左團次が演じてゐた役だらうか。
このあと出てくる鎌田正近もさうなんだけれども、「こんな顔の人、ゐるよねー」といふ感じだ。前回書いた定綱もさうだつたつけか。
吉次は、細面といふか頬の肉の削げた顔をしてゐる。神妙な顔つきで、実直さうでゐてかつ抜け目もなささうだ。地味だけど、実際にいろいろ動かしてゐるのはこの人、といふやうな佇まひである。

その隣すこし奥が藤原秀衡だ。
今回、平家物語の中では一番立派な人物、といふ印象を受ける。清盛? 時政? お話にならないよ。
顔立ちはふつくらとして、それでゐて威厳がある。髪や髭は白い。
衣装も立派だ。黒地に金糸銀糸の刺繍があるといふのがいい。
顔がふつくらしてゐるせゐか、福々しい印象もあり、それでゐて厳しさうでもあり、いきのいい若いもの(牛若丸だな)を見て内心喜んでゐるかのやうな感じもする。

その隣が牛若丸。
天狗の面をはづしたところ、といふやうに、右手に天狗の面を掲げて脚を開いて立つてゐる。見得をしてゐる感じもする。
正面から見ると、当代の市川猿之助にそつくりだ。
だいたい毎回ひとりは役者に似た印象の人形がゐる。
最初の展示では貂蝉だつた。どこか市川笑三郎に似た面影があり、内心「笑三郎」と呼んでゐた。今回の展示の貂蝉は笑三郎に似たところはまるでないがなー。
前回の展示では多子だつた。ひそかに「扇雀」と呼んでゐた。若いころの山城屋にそつくりだつたからである。
今回は牛若丸できまりだな。
これもふしぎなもので、横から見ると、猿之助の面影は消へてしまふ。真正面から見たときだけ、そつくりなのだ。

その手前が鎌田正近だ。
山伏の姿で立つてゐる。
顔は四角く長く、意志の強さうな印象を受ける。それでゐてなんとなく困つたやうな表情を浮かべてゐるやうにも見える。口元、かなあ。
目はきつぱりとしてゐて、とても強さうだ。今回平家物語の面々の中では一番腕つぷしの強い人物に見える。

そのななめ左奥に、幼いころの牛若丸と静がゐる。
牛若丸は幼少のころ、白拍子の一段に混ぢつてゐて、そのときに静と知り合つた、といふ設定だ。えうは、幼馴染同士といふことだ。
こちらの牛若丸は、猿之助には似てゐない。顔には化粧をしてゐて、女の子のやうである。女の子のやうではあるものの、どこかきつぱりして見えるのは、こちらが「牛若」とわかつて見てゐるからかもしれない。
静は木目込人形のやうでもある。筒井筒な感じもするなあ、などと思ひつつ見てゐる。

今後の展示では義経が中心になつていくのかなあ。
【鞍馬の牛若】の面々を見ながら、そんなことを考へたりする。

人形劇三国志の【白門楼 呂布の最期】のうち曹操とその家臣団についてはこちら
玄徳・関羽・張飛と呂布・貂蝉・陳宮についてはこちら
平家物語から【妓王と仏】についてはこちら
【伊豆の佐殿】についてはこちら

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