巻物使ひ
今日は巻物を二枚使ふつもりでゐた。
寒いからである。
巻物の二枚使ひをはじめたのは、始発のバスで通つてゐるころだつた。
冬になると、日の出前に出かけなければならない。
当然、寒い。
そこで、あるとき、「こんなに寒いのだつたら、ショールとマフラーと二枚巻けばいいのだ」といふことに気がついた。
暑くなつてきたらぱつと取れるしね。
おなじころ、それまでかぶつたことのなかつた自分で編んだ帽子をかぶるやうになつた。
まあ、いやなことのなかにもいいこともある。
昨日からとみに冷えてきた。
ここのところいつも今年の最初のころ編んだメビウス編みのちいさなショールを使つてゐる。
リッチモアパーセントグラデーションを四玉使つて、いはゆるFeather and Fanの模様を分散減目と分散増目で編んだショールである。
減目と増目で、輪の片方がせばまりもう片方がひろがつてゐる。
この形が気に入つてゐて、もう何枚も編んでゐる。
以前も書いたが、このパーセントグラデーションで編んだショールが、メビウス編みのこの形の中では一番完成形に近い。やつがれの中では。
この形のいいことには、頭からかぶつたときに襟元がしまつてあたたかい、といふのがある。
ちよつとした雨とか雪なら、このショールだけでしのげる。
ほんたうはもうちよつと長さがあるともうちよつと背中を覆へるんだがなあ。
でもまあ、あたたかいのでよしとしたい。
今日はこのショールを忘れてきてしまつた。
もちろん、今日も使ふつもりでゐたのだ。
一枚目の巻物に、ローワンのキッドシルクヘイズで編んだIce Queenを選んだのが失念のもとだつた。
モヘアのあたたかさをあなどつてゐたよ。
身につけたときにあたたかくて、もう一枚羽織らうといふ気持ちがどこかへ行つてしまつたのだ。
うかつであつた。
Ice Queenをはじめて見たときに、ちやうど手元につい買つてしまつたキッドシルクヘイズと、やはりつい買つてしまつたスワロフスキーのそろばん型アレキサンドライト6mmとがあつた。
どちらもIce Queenを編むに足るだけの量があつた。
それで編み始めてしまつたんだよねえ。
モヘア好きぢやないのにねえ。
編み方ではスワロフスキーのパールビーズ6mmを使ふ、と書いてあつたやうに思ふ。
でもまあ、そろばん型でもなんの支障もない。
淡いラヴェンダーのやうな毛糸に、その時々で色の変はるビーズをちりばめてあるネックウォーマといふのは、ちよつと使ふのが気恥づかしい感じがする。
寒さにはかへられないがな。
といふわけで、はからずして今日はIce Queenだけでどこまで寒さに耐へられるのか、挑戦することになつてしまつた。
とりあへず、今朝の電車は異様に込み合つてゐた。
二枚使ひしなくてよかつた、と思つたことは内緒である。
« 今年入手した萬年筆 ナガサワオリジナル透明軸 | Main | 地動説を信じてゐたはずが »
Comments