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Friday, 27 December 2013

今年入手した萬年筆 中屋万年筆の昇龍

現在、一番よく使ふのは中屋万年筆のペンである。
プラチナのブルーブラックを入れてゐるので、Moleskineにもほぼ問題なく使へるのがいい。
ペン先は細軟で、軸はピッコロモデルの十角碧溜だ。
もう三年は使つてゐて、まだ漆の透けてくるやうすはない。
使ひはじめたころ後生大事に袋の中にしまひこんでゐたからだらう。
最近は、即手にとれるやうに机上につねに出してゐる。

毎日のやうに使つてゐて、しかし、なんとなく調子が悪いな、と思ふこともあつた。
書いてゐてときどきインキがかすれてくる。
いつもいつもといふわけではない。
アサヒ屋紙文具店のクイル・ノートとか、GMUNDとか、インキの吸ひのよい紙やざらつとした紙に書いてゐるときにさうなる。
そんなわけで、中屋のイヴェントの日を心待ちにしてゐた。

十月に、横浜高島屋に入つてゐる伊東屋で、イヴェントがあると聞き行つてきた。
見違へるやうによくなりましたね。
いままでのあれはなんだつたんだらうといふやうな書き味に生まれ変はつた。
さう、まさに「生まれ変はつた」といふにふさはしい。
いやー、よかつたよかつた。

で、終はればよかつたのだ。
終はらなかつた。

かういふイヴェントといふのは、なぜか開店から一時間くらゐたつてからはじま
るもののやうである。
大橋堂のときもさうだつた。
イヴェント告知情報にはとくに「何時から」と書いてゐなかつたやうに思ふ。
勇んで行つたので、ほぼ高島屋の開店と同時にたどりついてしまつた。
イヴェントは十一時からといふので、それまでしばらく店内をぶらぶらしてみた。
これがいけなかつた。
中屋のペンをならべたショーケースの中に、このペンがゐた。

シガーモデルポータブルサイズの昇龍。
おそらく碧か緑なのだと思ふ。もしかすると中屋のサイトにある新溜め透かし・青なのかもしれない。
龍の絵には銀が使はれてゐるといふ話だつた。

一目惚れであつた。

Web検索をすると、赤溜とか赤溜の透かしの写真はたくさん出てくる。
そちらも大変すばらしい。
でも赤だつたら買つてないな。

世に青龍または蒼龍といふ。
上記中屋のサイトにもあるとほり、ここでいふ「青」は緑かがつてゐるものだ。
まさに、そんな色の軸であつた。

買つてから云ふのもなんだけれども、正直云つてかなり悩んだ。
こんなすばらしいものを、やつがれ風情が持つてもいいものだらうか。
世の中にはもつとこのペンにふさはしい人がゐるだらう。

さんざんさう思つて、しかし、買つてしまつた。
ペン先は、中軟にした。
この日も試し書きはしたけれど、十角軸を買つたときから次は中軟、と思つてゐた。
そのときに細軟と中軟とどちらにするか最後まで決められずにゐたからである。

軟とついてはゐるけれど、最初のうちはなんとなくかたい感じがしてゐた。
いまでもちよつとさうかな。でも入手した直後よりはやはらかくなつてきてゐる
気がする。
インキは、購入時にもらつたプラチナのブルーブラックをそのまま使つてゐる。
結局、定番の色を一番よく使ふやうになる。さう思つたからだ。

軸はとても軽い。ここのところ、軽いペンが多いな。
キャップはささずに使ふことが多い。
やつがれはどちらかといふとキャップをさして書く方が好きである。
その方が軸が長くなつて、重心がちよいと後ろになるのが書きやすいと思ふからだ。
このペンは、キャップはささずにそばにおいておいて、愛でるのがいいやうな気がする。

さう、このペンは見ても楽しいペンだ。軸のキャップにかくれてゐる部分にも絵がほどこされてゐる。
いいなあ。

ところで、中屋のペンには写真にあるやうな和風の袋がついてくる。
これがね、ちよつといいんだよね。
使ふときにくるくると紐をはづす感覚が、懐剣を取り出す武家の妻、みたやうなところがいい。
「伽羅先代萩」の御殿の場の沖の井、松島みたやうな気分になる。

これで万年筆の購入も打ち止めだなあ。
さう思つてゐたのに、カクノを買つてしまつたのは、すでに書いたとほりである。
まあ、カクノはまた別腹といふことでひとつ。

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