今年の目標を振り返る 読書篇
三原順に「夢の中 悪夢の中」といふまんががある。
主人公の女の子は、ひとりしづかに本を読んで過ごすことが好きだ。
しかし、両親も三人の兄も、みなoutgoingで、スポーツが好きで、にぎやかで、主人公の趣味嗜好を理解できない。
主人公は、無理矢理ソフトボール部に入れられて、毎日のやうにつらくきびしい練習をすることになる。
毎日くたくたに疲れ切つて、大好きだつたはずの本を読むことさへなくなつてしまつた。
でも、主人公は云ふ。
けれども私は忘れない!と。
私は本当は本を読むのが
とても好きだって事を
決して忘れない!
かつて、やつがれは本が好きだつた。
あるいは、「自分は本が好きだ」と信じてゐた。
こどものころ、一番うれしいお土産は本だつた。次がおもちやでその次が食べるもの。
四歳くらゐのころ、めづらしく早く帰宅した父に連れられて、本屋に行つたことが忘れられない。
覚えてゐるくらゐだから、もしかするとそんなにめづらしいことでもなかつたのかもしれない、とも思ふ。
記憶の中の父は、自分の起きてゐるころには帰つては来ないのだが。
いつのころからだつたらう。
「ほんたうは自分は本などたいして好きではないのだ」といふことに気がついたのは。
嫌ひではない。
嫌ひではないが、積極的に好きではない。
積極的に好きな人間は、「月に最低何冊は本を読まう」なんぞといふ目標は立てないはずだ。
といふわけで、今年の目標は、「月に五冊、うち一冊は洋書」だつた。
いまのところ守れてゐるのかな。洋書の方は月平均にすれば目標に達してゐる。現在読んでゐるThe Sleepwalkersがかなり手強くて、年内に読み終はらないのでは、といふ危惧はある。
八月に二冊読んだのでいいことにするかな、と思つてゐる。
洋書が読めるやうになつたのは、Kindleのおかげが大きい。
物理的な本を持ち出さなくても、iPhoneさへあれば読める、といふのがいい。
Kindleでは日本語の本も読んでみた。
読んではみて、iPhone用のアプリケーションだとなんとなくページをめくつたときの表示がもたつく気がして、すすんで読まうといふ気にはならない。
Kindleではそんなこともないのかもしれない。さう思はないでもない。
そんなわけでそのうちKindleを買つてゐるかもしれない。
あ、忘れてゐた。
Kindleを買ふのは、「陋巷に在り」のKindle版が出たら、といふことに決めてゐたのだつた。
買ふことはないかもしれないなあ。
とりあへず、The Sleepwalkersを読み終はれば、今年の目標は達成できる。
来年はどうするか。
月に洋書を一冊、はかなり限界に近い。
そしてこの目標を入れると、月に五冊も同様だ。
企業ではないので、来年の目標は今年の成果を上回るものでなければならない、といふことはない。
このままおなじ目標を持ち越すかな。
今年は「三国志演義」を含め、やたらと戦争の本ばかり読んでゐた気がする。
来年もさうするか。
あるいは、まちつと経済学関連の本でも読んでみるか。
はたまた、科学関連の本にするか。
悩むところである。
今年はいきあたりばつたりだつた。
来年も、かなあ。
とりあへず、飲みつつ「史記」を読むのはつづけるだらう。「史記」は死ぬまでにひととほり読めればいいや。
あと、「唐詩選」とか、ちやんと読みたい。
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