ながら族
風邪である。
どれくらゐ風邪かといふと、湯豆腐を柚胡椒入りのめんつゆにつけて食べても味がしないくらゐ風邪である。
刺激はある気がするのだが、味がない。
道理で朝からお茶の味がしないなあと思つてゐた。お茶つ葉をけちつたかなあと思つてゐたよ。
金曜日にはまだましだつた。
土曜日の朝起きて、「今日一日寝てゐればなほるな」といふ感覚はあつた。
しかし、この日は歌舞伎座で「仮名手本忠臣蔵」の夜の部を見る予定があつた。
普段だつたら、風邪をなほす方をとつてゐたと思ふ。
普段ではなかつた。
そんなわけで、出かけていつて、まんまと風邪を悪化させて帰つてきたわけだ。
たぶん、先々週から全然編めてないなあ、といふのは、調子が悪いせゐもあつたんだらう。
そこで無理せずに寝ておけばよかつたのだ。
「なにをそんな甘えたことを」とか、いつもだつたら甘えきつてゐるのに思ふからいけない。
そんなわけで、ラグラン袖のリブタートルネックセーターはほとんど進んでゐない。
昨日、それでも起きあがつて本を読んでゐるときにちよつと編んだくらゐかな。
本を読みながら編めるのは、ニ目ゴム編みのおかげである。減らし目でちよつとちがふ編み方になる部分には目数リングを入れてゐるので、まづ間違へない。
ながら族ぢやによつて、かつてから読みながら編むは折に触れやつてきた。
風邪引いてるときはそんなことしちやいけないぞー。
といふ意見もあるとは思ふ。
しかし、なにしないで寝てゐるだけだと、「なにもしてゐない」といふ悔悟の念が生じるので、なあ。
いづれにせよ、たいした進みではない。まだ減らし目部分を編んでゐる。
いつ増やし目部分に入れるのだらうか。
ちよつと気が遠くなつてゐる今日このごろである。
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