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Thursday, 28 November 2013

川本喜八郎人形ギャラリー 【妓王と仏】

11月16日から公開されてゐる川本喜八郎人形ギャラリーの新展示のうち、平家物語側のテーマは四つある。
【妓王と仏】、【伊豆の佐殿】、【鞍馬の牛若】、それと【阿部麻鳥とその家族】である。

このうち、麻鳥と家族とについては、すでにふれた。
麻鳥とその子である麻丸と円とがギャラリー外のケースに展示されてゐる。
こどもと一緒のせゐか、麻鳥くんはちよつとしぶめな感じに見受けられる。夏におなじ渋谷ヒカリエにある渋谷区防災センターで見た平家物語では、なんだかとつても若くて頼りない感じに見えた。
麻丸はお父さん似、円は……うーん、お母さん似なのかなあ。お母さんがゐないので比べられない。
八月の上映会ではまだ笛吹きだものなあ、麻鳥は。笛を吹いて、祟徳院の心を慰めたりしてゐた。
今回ゐるのは医師を志してのちの麻鳥であらう。しつかりしてゐるのも道理である。

さて、ギャラリーに入つて向かつて右手のケースのテーマは【妓王と仏】である。
凡例に逆らつて向かつて右側から説明すると、まづゐるのが朱鼻伴卜である。
平清盛に取り入つて、大いに成功した商人、とある。
その名のとほり、鼻の先が赤い。
この人、見たことあるなあ。
平家物語は、リアルタイムではちよこちよことしか見てゐない。たぶん、そのたまたま見た中に出てきたのぢやあるまいか。
飯田で飾られてゐるのも見たことないしね。
商人だからだらうか、抜け目なささうではあるが、どこか憎めない表情で立つてゐる。
緑系の縦縞の上着に、目にも鮮やかなターコイズブルーの袴が印象的だ。サテンのやうな地でつやつやしてるんだよね、袴が。

そこから先は、清盛を忠臣に仏御前と妓王との三態が並んでゐる。
右から順番にいくと、尼姿の仏御前、袿姿の仏御前、白拍子姿の仏御前、太政大臣の清盛、白拍子姿の妓王、袿姿の妓王、そして尼姿の妓王である。

全体的にいつて、仏御前の方が明るくてきつぱりした感じ、妓王はうちにこもつて幸せ薄さうな感じがする。
尼姿の仏御前はとくにきりりとして見える。話を知つてゐるからかもしれない。みづから髪を落として妓王一家に会ひに来た、そんなやうな感じがする。
きりりとした印象を受けるのは、すつくと立つて見えるからだらう。

袿姿の仏御前は、華やかな感じがする。
一番上に着てゐるのは朱色の着物で、古典柄のやうな四弁の花を等間隔に散らした模様だ。
妓王に比べると顔の形がやはらかく、目もきつぱりとしてゐる。それが華やかさの所以であらう。

白拍子姿の仏御前は、両腕を開いて、右手をぐつと前に出し、前に出てゐる右膝はまげて、左脚はうしろにのばしたやうな前傾姿勢をとつてゐる。まさに踊つてゐる最中といつたところだ。
その表情には一点の曇りもなく、かすかにほほえんでゐるやうにも見える。

一方白拍子姿の妓王は、まんがであつたなら背後に「ガーン」といふ書き文字があつたり、額に陰が落ちたりしてゐるであらうと思はれるやうな姿で立つてゐる。いや、立ち尽くしてゐる、といつた方がいいだらうか。
顔には朱の色がない。唇ばかりは朱いけれど、ほかの姿のやうに目の下に朱を入れてゐない。ただ呆然と立ち尽くしてゐる。そんな趣である。
清盛の寵愛を失つた。奪つていつたのは目の前のあの女。
そんな場面を想像してしまふ。

袿姿の妓王は、座してうつむいてゐる。
衣装の色は仏御前とおなじやうで、柄も古代柄のやうな感じではあるのだが、こちらは大柄である。
目元の険やわづかに開いたやうに見える口元から、ため息ばかりついてゐるやうにも見え、母や妹・妓女に愚痴めいたことをつぶやいてゐるやうにも見える。

尼姿の妓王のはかなげなことといつたら。
さまよひ歩いてゐる最中のやうな姿で立つてゐて、その表情もどこかうつろである。
なによりも、幸薄さうな感じがたまらない。
仏御前がきりりとしてゐるから、よけいに頼りなく見えるのかなあ。ちよつとたまらんよ。

そんなふたりのあひだにゐるのが清盛である。
衣冠束帯、とでもいふのか、説明からいくと太政大臣になつてからの姿なのらしい。
これまで三回展示があつて、清盛は一度もいいと思つたことがないなあ。
比較していふと、前回の鎧姿がやうすがよかつたけれども、それも強いて云へば、だ。
今回は、髪や髭にも白いものが増え、衣装も豪華でのぼりつめた、といふところなんだらうけれども、なんだかそんなにやうすがいいとは思へない。
わざとさういふ風に飾られてゐるのだらうと思つてゐる。
衣装はしぶい緑の地。金糸も用ゐた刺繍でいろどられてゐる。

佐殿と牛若についてはまた後日。

人形劇三国志の【白門楼 呂布の最期】のうち曹操とその家臣団についてはこちら
玄徳・関羽・張飛と呂布・貂蝉・陳宮についてはこちら

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