川本喜八郎人形ギャラリー 【伊豆の佐殿】
11月16日から公開されてゐる川本喜八郎人形ギャラリーの新展示のうち、平家物語側のテーマのうち、【伊豆の佐殿】のコーナーには、佐々木定綱、馬上の頼朝、北条政子、北条宗時、北条時政、北条義時がかざられてゐる。
定綱は頼朝の馬の手綱を持つて立つてゐる。
こんな顔の人、ゐるよなー、といふ感じのをぢさんだ。実直さう。
衣装の柄がおもしろい。程昱のところで、四角い模様がならんでゐて、見やうによつてはいろんなものに見える、と書いた。定綱の衣装の柄もそんな風だ。程昱よりさらになんだかわからない。おそらく花柄なんだろうとは思つてゐる。なんなんだらうなあ、あの柄。
頼朝は、前回の展示のときの方がりりしかつたかなあ。
今回の展示ではすつかり成人した姿を披露してゐる。そしてその表情になんとなく屈託のある感じがする。
伊豆に流されて、無聊の日々をかこつ不満があらはれてゐるのかもしれない。
今回おなじやうに馬上にゐるせゐだらうか、妙に曹操に似てゐるやうに見える。
ギャラリーの外のケースに飾られてゐる平家物語のDVDの表紙の頼朝も曹操に似て見えるから、やはり似てゐるのだらう。
さうか、平家物語の佐殿は三国志の曹操の位置、か。
どことなくおもしろくなささうな表情をしてゐて、しかし、どこかあかぬけてゐる感じもある。
さぞかし伊豆ではもてたことであらう。
それもつまらなさうな表情に出てしまふのかもしれない。
政子は外出着の出で立ちである。
笠をかぶつてゐるので、その表情はよく見えない。
飯田市川本喜八郎人形美術館の前回の展示では、政子の意志の強さうな顔立ちが印象に残つた。
笠の下からのぞきこむやうに見ると、そんなにきつさうな感じはしないなあ。まあ、何度か書いてゐるけれど、をんなの人の顔は下からみるとふんはりやさしく見えるとのことなので、さういふことなのかもしれない。
飯田の平家物語の人形は作りなほしたものだといふから、また少しちがふのかな。
宗時は、いい人といふ顔立ちをしてゐる。
口元がすこしゆがんでゐるので、どことなく不満のあるやうすも見受けられる。でも、おそらく普通にしてゐたら、いい人、ものの道理のわかつた人の顔立ちだと思ふ。
衣装はうすい藍色で、若武者めいてゐる。どこかさはやかな印象を受けるのも、この衣装の色ゆゑかもしれない。
時政は、食へぬをやぢといつた感じだ。
立派な印象は受けない。田舎のちよつとしたお大尽といつた感じである。自分の領内では我の通る、わがまま放題の人のやうに見える。どつかと座して、すこし顎をあげ気味にしてゐるので、さういふ風に見えるのだらう。
衣装は茶色系で地味だ。髭のとげとげとした感じといい、あまり身なりにはかまはないのかもしれない。あるいはこれが一番似合ふ衣装なのかも。
義時も、衣装の色は時政に似てゐる。
片手を胸元にさしこんで、むかつて左の方を見て立つてゐる。
義時をむかつて右側とか正面から見ても、どうといふ感じはしない。お兄さんにくらべたら悪人顔かな、と、あくまで比較の問題で思ふくらゐである。
これが、むかつて左側から見ると様相が一変する。
え、このいい男はいつたい誰?
え、義時?
え?
よくよく見れば、下に着てゐる着物の色は紫だ。なるほどね、ちよつと色気があるわけだ。
あと一回つづく。
人形劇三国志の【白門楼 呂布の最期】のうち曹操とその家臣団についてはこちら。
玄徳・関羽・張飛と呂布・貂蝉・陳宮についてはこちら。
平家物語から【妓王と仏】についてはこちら。
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