慌てず急いで正確にな!
土日と家にこもつてしまつた。
もともと、こもりがちである。
ゆゑに、日々気をつけて、土日のどちらかはできるだけ出かけるやうにしてゐる。
夏のあひだは家の中の暑さに耐へかねて、両日出かけてゐたこともある。
いい季節になつたんだな。
と、いひたいところだが、この土曜日は颱風が来るといふのでこもつてしまつた、といふところだ。
午後には出かけてもいいかな、といふくらゐの天気にはなつてゐた。
しかし、午後から出かけると、帰りが遅くなる。
そして、帰りが遅くなると、必然的に寝る時間も遅くなる。
むかしはそれでも出かけたんだがねえ。夕方から片道三十分くらゐかけて歩いて本屋まで行つて、戦果なくむなしく帰宅の途につく、などといふこともあつた。
こもつてなにをしてゐたのかといふと、あみものである。
先日編みはじめたラグラン袖のリブタートルネックセーターをせつせと編んでゐた。
すでに書いたやうに、首から輪に編んでゐる。
現在、一番一段の目数の多いところにさしかかつてゐる。
前身頃と後ろ身頃、それに両袖の四カ所に増やし目がある。三段ごとに十六目増える寸法だ。
途中までは三段ごとに一段の目数を数へてゐたが、途中でやめた。
昨日はかつてみたら、一段編むのに十二分かかつてゐた。
それもはかるからといふので、できるだけ途中で余分なことをしないやうにして、だ。
つまり、一段編むのに十五分はみた方がいいといふことだ。
その時点で、増やし目の段は残り十一段。
今日中には終はらないな、と思つた。
ちなみに、将棋のNHK杯を見ながらはかつてゐた。
午前中のことである。
あと二時間半はかかるといつても、午後まるまる編めば増やし目の段は終はるだらう。
だが、まあ、「編んでばかりゐた」と書きはしたが、実際人間そんなに編んでばかりゐるわけでもない。
家の用事もあるし、本だつて読みたい。ほかにもいろいろやらねばならぬこと、やりたいこともある。
とは思へども、その一方で、いま増やし目の段を終はらないと、この先進まないぞ、といふ気もした。
平日は、なかなか十五分もまとまつた時間をとることはできない。
できなくはないけど、むづかしい。
さうすると、細切れの時間でちよこちよこ編んで、増やし目の段は今週いつぱいで終はればいいかなあ。
そんな感じになる。
といふわけで、結局せつせと編み進めたわけだ。
ところが、午後七時半ごろ、そこかしこに表目と裏目を編みまちがへてゐる部分があることが判明した。
そこからまちがへた部分だけまちがへたところまでほどいて、といふよりは目を落として、ただしく拾いなほして、なんてなことをやつてゐたら、あつといふ間に「八重の桜」が終はつてゐた。
普段は見ない番組である。
「ダーウィンが来た!」を見てゐるときに修正をはじめて、そのまま見続けてしまつたわけだね。
池田成志が出てるならいつてよ、と思つたりした。
ニ目ゴム編みのまちがひは、目立つからねえ。
ほかのことなら「ま、いつか」ですませるところである。
表目と裏目と、まちがつてたつてたいしたことないぢやん、と思ふ。
そこは味だよ、味、ですませられることも多い。
#そんなことはないか。
しかし、ニ目ゴム編みはさうもいかない。
かのこ編みもさうだらうか。
全部メリヤス編みとかだと、案外アクセントになつてよかつたりする場合もある、と、云ひわけすることもある。
それにしても、なぜまちがへたりするのか。
しかも、まちがへて、なぜ何段も編むまで気づかないのか。
我ながらふしぎである。
まちがへることがあるから、できるだけ編みかけにするときは次は表目の最初からはじめるところでおくことにしてゐるのに。
もちろん、毎回必ずさうできるわけでもない。
さういふときにまちがへてしまふのだらうか。
むむー。
そんなわけで、増やし目の段も残り三段。
このあと袖の部分の目は休めることになるし、減らし目の段がはじまる。
そこで気をゆるしちやふとまた編みまちがへの嵐になりさうな予感がする。
この冬は例年より寒いのらしい。
そのまへにできあがるといいんだがなあ。
慌てず急いで正確にな、といつたところか。
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