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Wednesday, 25 September 2013

飯田市川本喜八郎人形美術館 死者の書

実はこのエントリは月曜の夜に書いてゐる。
明日飯田に行つて再見するまへに、六月に見た印象を書き記しておきたかつたからだ。

といふわけで、以下は六月十五日に飯田市川本喜八郎人形美術館をおとづれた際の感想である。

人形アニメーションの展示は、「死者の書」の登場人物のみである。
まづあぐらをかいて座した大津皇子が目を引く。大津皇子が、といふよりは、その背後にある七歩の詩が、かもしれない。
七歩の詩といへば、曹植だものな。
こんなところでつながつてゐるのだねえ、今回の展示は。
残念ながら、今回三国志の展示には曹植はゐないけれども。
皇子は巻紙にむかつてなにやら書いてゐるの心。

その横のケースに弓を持つたをばさん態の女の人が立つてゐる。身狭乳母だ。
背を大きく反らしたやうすが実にいい。
口元が督郵もかくやといふ形になつてゐて、よく動くんだらうなあといつたところ。
顔立ちも勇ましい。全体的にとても強さうに見える。

その後ろのケースは持統天皇。赤い衣装で、髪の毛は背後で一度上にもちあげて結つてある。これで毛先が下におちてゐたら完璧だらう。なにが完璧つて、高松塚古墳の絵にそつくりといふ意味で、である。
大変きつぱりとした表情をしてゐる。今回飾られてゐる「死者の書」の人形では唯一目がガラスもしくはアクリル製だ。きらりと光るんだらうな。
横顔がどこか坂東玉三郎に似てゐる。

郎女と語り部の媼のケースは、織り機がとにかく圧巻。撮影用にあらかじめ実際に織つたのださうだ。人形サイズの織り機で、だ。それも、きちんと反物に見えるやうに、だ。
それを考へただけで気が遠くなつてしまふ。
絹糸のかせの山もすごい。絹、だらうな。レーヨンといふことはあるまい。人形用だから、かなり細い糸である。かせは、人形用にはチト大きい気がするが、まあ、許容範囲かな。
大きいといへば、糸繰り機がかなり巨大だ。チト大き過ぎるんぢやないかな、とも思ふが、ご愛嬌といつたところか。それともこの時代の糸繰り機は巨大だつたのかなあ。

最後のケースは恵美押勝と大伴家持とが酒盛りをしてゐるところ。
玻璃の杯を使つてゐたり、侍る女の二人のやうすが高松塚古墳の絵の人に似てゐたり、屏風の模様が正倉院とかにあるものに似てゐたり(といふのは、国立劇場とか南座の緞帳の模様に似てゐるからさう思つたのだが)、いろいろ細かい。
恵美押勝の意味ありげな表情と家持の大人しげな表情が対照的でおもしろい。
「死者の書」も見てみたいなあ。
でも長いからなあ。

展示室の外のこども向け作品用の人形は、前回シンデレラだつたケースがババヤガーになつてゐた。発泡スチロールつぽい質感だけど、なにを使つてゐるんだらう。
このときのendlessヴィデオは人形劇三国志の二巻だつた。今度はなにかなあ。

今回もかなりしつこく書いたつもりでゐたけれども、前回はもつとしつこかつたやうだ。
二日間見たからかなあ。
三時間ちよいではこんなものか。
美術館自体は一時間もあれば十分見てまはれるくらゐの大きさなんだけれどもね。つい、ぐるぐる何度も何度も見てしまふんだよね。
やはり泊まりがけで行くべきなのかなあ。
悩む。

「黄巾の乱」についてはこちら
「宮廷の抗争」と「連環の計」についてはこちら
「玄徳の周辺」についてはこちら
「曹操の王国」についてはこちら
「江東の群像」と「特異なキャラクター」とについてはこちら

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