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Thursday, 19 September 2013

飯田市川本喜八郎人形美術館 曹操の王国

「玄徳の周辺」の対面は「曹操の王国」のケースである。
左右が荀彧と許褚とといふ点は前回の展示とおなじだ。ふたりの格好もおなじやうに見受けられた。

「曹操の王国」の特徴は、女つ気がない、といふことだ。
「江東の群像」には貞姫と呉国太、「玄徳の周辺」には淑玲と美芳とがゐる。
「曹操の王国」は男だらけだ。それでゐて「江東の群像」のケースや「玄徳の周辺」のケースよりも華やかに見える。すくなくとも見劣りはしない。
前回の展示のときも書いたけれど、曹操の「人材好き」のたまものか、と思ふ。

ケースの一番入り口に近い側、すなはち右に立つてゐるのは許褚。もしかして「曹操の王国」の右端は許褚、といふきまりでもあるのだらうか。単に偶然かな。

夏侯惇は、前回の展示ではあんなにも思慮深げだつたのがうそのやうだ。如何にも「夏侯惇」といつた趣で立つてゐる。展示の仕方ひとつでこんなに変はるんだなあ。今回は槍の先を地すりに構へて、寄らば斬るぞといつた出で立ちである。この方が「夏侯惇らしい」とは思ふ。前回の展示もよかつたけれど。

龐徳は、ここにゐるとなんとなく浮くなあ。いろいろありはしたが、馬超と並んでゐた方がしつくりくるんぢやあるまいか。衣装のせゐでさう思へるのかな。おとなしげな顔立ちではあるけれど、ひとくせありそげな感じもある。

于禁は、人のよささうな。于禁と李典とはいつもどちらがどちらだつたかごつちやになるけれど(近頃面目次第もござりませぬ)、これで覚えたな。人がよささうといはうか、どこか気弱げに見えるのは、のちのことを知つてゐるからかもしれない。

龐徳と于禁のおかげかもしれないが、曹仁は、今回はちよつと猛々しげだ。顎をあげて敵をあふつてゐるやうな表情だからかもしれない。前回の展示のときは、なんとなく印象が薄いといふか、おとなしさうに見えたんだよね。

曹操は、若いころの出で立ちである。眉間の皺が藍隈の色で書かれてゐて、「さうか、曹操、実悪か!」と、いまさらながらに腑に落ちた。そりや好きなはずだわ。実悪だもの。
さう考へてみると、人形劇三国志には色悪はゐないなあ。
今回の衣装は、前回の展示のときほど傷んでは見えない。前回の展示のときは、繊維までぼろぼろになつてゐたものなあ。

夏侯淵も、若いころの衣装。人形劇を見てゐるときはそんなことは思はないけれども、かうして見るとヒカリエの前回の展示のときにゐた夏侯淵の方がほんのちよつぴりいい男である。

驚いたのは郭嘉だ。
いや、郭嘉、こんな顔ぢやないし。
なんといふか、皮が乾いてひきつれちやつたやうな表情をしてゐる。
をかしい。
郭嘉といへばいい男のはずだつたのに。
なにしろ我が家では孔明がでてきたときに「前の人(郭嘉だ)の方がいい男だつたね」と云つてゐたほどなのだ。おそらく聲が一緒で軍師恪、といふところが「前の人」といふ発言を引き出したのだと思ふ。
人形劇を見てゐても、郭嘉はいい男だがなあ。放蕩児といふにはチトまぢめ過ぎる風貌ではあるものの、それはおモテになるでせう、といつた趣だものなあ。
人形劇の郭嘉がいい男なのは、多分に「悪」なところがあるからだ。下手したら曹操より「悪」。さういふところがいいのよねえ。この郭嘉も、「悪」といふことでいへばかなり「悪」な表情をしてはゐる。
衣装も紫色がだいぶ褪せてしまつた感じだなあ。楽しみにしてゐただけに、とても残念。前回ヒカリエの展示のときにゐた郭嘉はいい男だつたがね。

仲達は、今回はただ立つてゐるだけといつた格好で、目も眉も通常の位置。郭嘉ショックであまり印象にない。前回の展示のときは、孔明と向かひ合はせに立たせてゐる、といふ話だつた。今回はそんなことはない。今回の展示が基本的には物語冒頭をイメージしてゐるからかもしれない。前回の展示は物語終盤のイメージだつたからな。それで、孔明と仲達との対決をそれとなくfeatureしてゐたのだらう。

程昱は、現在ヒカリエにゐる平忠正とおなじやうな格好で立つてゐる。衣装の模様が源氏香で、ついつい見入つてしまつた。人形劇のときには気づかなかつたなあ。あとで呉国太のところでも書くけれど、かういふ細かい模様とかに気づいたりぢつくり見ることができたりするのが、かうした展示の醍醐味だよねえ。

荀攸は、一度きりの出番だつたのが惜しまれるほど立派な出来だ。もつと出番のある予定だつたのかもしれない。人形劇だと許攸がだいぶ長いこと出ていたからなあ。結局殺されもしなかつたし。
人形劇を見て、おなじ場面を三国志演義で読みなほすと、「ああ、ここは荀攸だつたのに!」とか「これを献策したのは荀彧だつたか」とかいふやうなことが多くてねえ。

荀彧は、前回の展示のときとおなじ格好である。例によつて恨めしさうな面持ちで立つてゐる。
かうして荀攸、荀彧と並べてみると、荀彧が老人態なのは、荀攸とのちがひを明らかにするためだつたのかもしれないなあ、と思ふ。或は、荀彧とのちがひを際立たせるために、荀攸は壮年のやうすのいい感じに作つたのだらうか。
荀彧は、ほんたうは曹操より若いのにね。年より老けてみえる人といふのもゐるけれどさ。

かうして見ると、荀彧と荀攸とはもうちよつと活躍するところを見てみたかつたねえ。人形劇では曹操の参謀役は郭嘉と許攸と程昱とで持ち回りみたやうな感じだつたからなあ。荀彧は、官渡の戦ひのときに名前だけは出てきたりするんだけどね。

「黄巾の乱」についてはこちら
「宮廷の抗争」と「連環の計」についてはこちら
「玄徳の周辺」についてはこちら

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