秋冬もののあみものの新刊を見てみた
やつと、秋冬のあみものの新刊を本屋の店頭で手に取つてみた。
先週の金曜日のことである。
先週の金曜日は、「挑む」といふ歌舞伎の公演に行つた。ところは日本橋蛎殻町。帰りに丸の内の丸善に寄つて、その場にならんでゐた本をぱらぱらと見てみた、といふわけ。
例年であつたら、秋冬の新作毛糸が出たら、暑いさなか見に行つたり、ときには買つたりしてゐたのだが、今年はどうにもさういふ気にならなかつた。
暑すぎる、といふのもあるし、年を取つたせゐで暑さに躰がついていかない、といふこともあらう。
先日、ちらつと書いたが、あみものに対する愛が薄れてゐるのかも、と、おそれる気持ちのないでもない。
これもすこし前に書いたが、この秋冬はパピーのプリンセスアニーで、たた&たた夫さんのリブタートルネックセーターを編まうと思つてゐる。指定糸はデビー・ブリスのベビーキャッシュメリノだが、あいにくそんな毛糸は持つてゐないし、入手もむづかしさうだ。
だいたいデビー・ブリスの毛糸は本邦での販売元が転々としたのがよくなかつたやうに思ふ。なんとかならなかつたのかね、あれは。
もとい。
たた&たた夫さんのリブタートルネックセーターのような躰にぴつたりとしたデザインのものは、昨今のあみものの本ではあまり見かけない。
まあ、そもそものファッション誌にもほとんどないやうに見受けられるし、町行く人の身につけてゐるものも、どちらかといふとたつぷりしたシルエットのものが多い。
そんなわけで、セーターは編むとして、その上に羽織るものがほしいな、と思つてゐる。
羽織るものといつて、ここ二年ばかりはmichiyoデザインのカーディガンやヴェストを編んできた。あ、この前の冬は「毛糸だま」に出てゐたシェットランドレースinspiredなヴェスト(本では「マーガレット」になつてゐたが)も編んだつけか。
今年は、なんか、こー、細い毛糸でレースつぽいものを編んでみたいなあ。
着るものではなくてもいい。まきものでいいので、そんなのをひとつ。
さう思つてゐる。
さうなると、実は新刊とかつて邪魔だつたりするんだよね。
編みたいものがすでに決まつてゐて、しかもそれがそれなりに時間のかかりさうな場合、おそらく新刊に載つてゐる作品を手がける時間といふのはない。おそらく、ぢやなくて、まづない。
とりあへず買つてみて、ぱらぱら眺めて、そのうち腐海の奥底に沈んでいくばかり、といふことになつてしまふ。
さう考へて、去年の秋くらゐから、あみものの本を買ふのはなるべく控へるやうにしてはゐる。
だいたい手元にあみものの本ばかり、山のやうにあるわけだしね。
問題は、その、富士山と比してもいいくらゐあるあみものの本の中に、「どーしてもこれを編みたい!」と思ふやうな作品がない、といふことなのだらうなあ。
「かういふものを編みたい」といふので、蔵書をあさつても、「これ!」と思ふものがない。
あみものの本といふのはさうしたものだ。
そして、毛糸もまた、さうしたものだつたりする。
「かういふものを編みたい」と思つて毛糸を探しに行くと、「これ!」といふものがない。なんとなくこれが近いかな、といふ感じだ。だいたい毛糸だと実際に編んでみないとわからなかつたりするしな。
たぶん、今は、さうした不確定要素にふりまはされても大丈夫なほどの気力がないのだ。
あみものの新刊は、まちつと涼しくなつてきたら買ふつもりである。
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