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Monday, 12 August 2013

実際に好きなことについて語る

好きなことについて話をする機会があるだらうか。

たとへば、「あみもの」と口に出して誰かと話すことがどれくらゐあるだらう。
あるいは「作り目」だとか「減らし目」だとか「縄編み」だとか。
「パピーのシェットランドの緑が深くていい色なんだよねえ」とか、「クロバーの匠は最高だよね」とか。
実際に他人とさうやつて話す機会のある人つて、どれくらゐゐるんだらう。

お教室にでも通つてゐれば、あるんだらうなあ。
はたまた同好の士としげく会ふ人だつたら、あるだらう。

幸ひなことに、やつがれもさういふ機会にめぐまれてゐる。
「あみもの」はもちろん、毛糸の話や編み方の話、編み地の話、Ravelryの話に至るまで、好き放題に話せる環境がある。
まことにありがたいことである。

世の中には、好きでたまらないのに、「あみもの」とすら口に出すことなく暮らしてゐる人もあるだらう。
周囲に同好の士や理解者がゐないとさうなると思ふんだよね。
blogや、最近ではTwitterなりFacebookなりLINEなりで同好の士と趣味の話でもりあがることもあるのかもしれない。
でも、実際に口に出すのとは、全然違ふ。

といふことに気がついたのは、つい最近のことである。
Twitterを使つた診断サービスで、「夏侯惇とばかり云ふてゐる人」みたやうな結果が出たことがあつた。

最後に「夏侯惇」とか口に出したのはいつのことだらうか。
多分、口に出したことはある。
あるけれども、それはもう遠い過去の話だ。
このblogにも書いたやうに、前回の飯田市川本喜八郎人形美術館での夏侯惇がそれはそれはすばらしくいい男に展示されてゐて、それで何度もTwitter上で「夏侯惇がよくて」などとつぶやいたといふことはあるけれども、「夏侯惇がそれはそれはよくてさー」とか、誰かに云つただらうか。

云つてない。
云つてゐないと思ふ。
云つてないんぢやないかな。

だいたい、口に出すとして、まづ「夏侯惇とはどういふ人物か」といふ説明からはじめないといけない。
しかも「人形劇三国志」の夏侯惇はいはゆる「三国志演義」に出てくる夏侯惇とはまたちよつと違ふ。

ないなー。
そこから話す、とか、ないわー。

先週、Twitterで知り合つた人とはじめて会ふ機会があつた。
Twitter歴六年にしてはじめてのことである。
主に芝居の話をした。

実は普段もまつたく芝居の話をしないわけぢやない。
なんとかこの話題は避けやうとか思ひつつ、だつていい芝居見ちやつたんだからさー、とか、どーしよーもない芝居を見ちやつたもんで、とか、我と我が身に云ひわけしながら、話してしまふことが多々ある。

でも、さういふときに出す名前つて、TVによく出る役者止まりなんだよね。
幹部でもTVなどにあまり出ない役者の名前は出さないし、ましてや脇の役者。
演目だつて、同様だ。

昨日、川本喜八郎人形ギャラリーに行つた。
この件については後日詳しく書くとして、行くと川本プロダクションの方々がゐて、その場で人形を操作して見せてくれたり、人形に触らせてくれたりしてゐた。
その場で先日も書いたすばらしい為朝の話をしてしまつたりした。
「為朝」とか、口に出して云ふのはいつ以来だらう。
あ、もしかして、去年「平清盛」を見てて、橋本さとしの鎮西八郎があまりにもすばらしかつたから、「為朝」とか口にしてるかな。あの橋本さとしの為朝は実によかつた。出番が少なかつたのが惜しまれるほどだ。為朝にはああいふ「全身是兵器」みたやうなところがあつたかもなー、とか思つてしまつたものなあ。

しかし、源平もので口にするとしたら、せいぜい義経とか弁慶とかだよな。出て頼朝。清盛もか。
最後に「小松殿」とか云つたのつていつだらう。もしかしたら、いままで一度も口に出したことはないかもしれない。

「おぼしきこといはぬは腹ふくるるわざなれば」と「徒然草」にはある。
好きなこともさうだらう。
そんなわけで「あじきなきすさびにてかつやりすつべきものなれば人の見るべきにもあらず」とばかりにblogに書き散らしたりもするわけだが。

でもやつぱり、実際に口に出して、話のできる相手のゐるといふのはいいものなのだなあ。

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