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Tuesday, 20 August 2013

A Knight in Tatting Armor

つねづね書いてゐるが、ひきこもり願望が強い。
できるだけ出かけたくない。
家でぢつと本を読むなりあみものをするなりしてゐたい。

ところが、昨日も書いたとほり、ここのところやたらと出かけてゐる。
わかつてゐる。
出かけた方がいい。

出かけるとムダな出費が増えたり、すなはちよけいなものを買つてしまつたりしてしまひがちだが、それでも出かけた方がいい。
なぜ、と訊かれると、「これこれかうだから」とは答へられない。
おそらく、刷り込みだからだらう。
こどものころから、親に「外で遊べ」「みんなと遊べ」と云はれつづけてきた。
そのせゐで、家にゐてひとりでできることをやつてゐるのは「悪」である、と、さういふ思ひがあるのだ。

それに、最近は外出してもひきこもつてる人はたくさんゐるしね。

最初はWalkmanだつたのではあるまいか。
外にゐるのに、ヘッドフォンで耳を覆つて、外の世界を拒絶してゐる。
頭の中には、自分の好きな音楽が鳴つてゐる。
外にゐて、中にゐる。
さういふ人間が増えた。

その次が携帯電話だ。
いまや電車に乗つてゐても、その場にゐると認識してゐる人はほとんどゐない。
みな携帯電話やスマートフォンの画面に見入つてゐる。
まれに、着信音が鳴つて、「いま電車だから」とことはる人の姿も見るが、まれなことだ。
電車の中でもかまはずに電話を受ける人が増えてゐる。
道を歩いてゐても、携帯電話にむかつてなにごとか話してゐる。
さういふ人に、周囲にゐる他人は目に入つてゐないだらう。
外にゐて、中にゐる。
まさにそんな感じだ。

Walkmanの前には新聞や書籍があつた。
しかし、Walkmanほどの閉鎖感、拒絶感があつたか、といふと、さうでもないんぢやないかな。
本を読んでゐても、耳はあいてゐる。まあ、まれに本にすつかり没頭してしまつて、周囲のことがわからなくなつてしまふ、といふこともあるが、それでも耳をふさぐことはできない。
Walkmanの場合は、耳はすでにふさがれてゐる。さらに目を閉ざしてしまへば、世の中を閉め出してしまふのは容易なことだ。

残念ながらやつがれはヘッドフォンの類が苦手なので、外で音楽を聞くことは稀である。一度はじめるとしばらく聞いたりはするが、さう長くはつづかない。
ヘッドフォンに違和感を抱くことがなければ、外出時は四六時中なにかしら聞いてゐることだらうな。
さうして、ひきこもることにするだらう。

多分、なにかしら「身を守る」ものが必要なんだよな。
「男は敷居をまたげば七人の敵あり」といふ。
いまは「男」を「人」に置き換へるべきだらう。
さうした敵と立ち向かふか、あるいはないものとしてやりすごすか。
いづれにしてもなにかしら身を守るものが必要になる。
さうした防御の一として、Walkmanなり携帯電話が使はれてゐるんぢやあるまいか。

やつがれにとつては、タティングレースもその防御のひとつだ。
ひとりぼんやり外で腰掛けてゐるときに、「話しかけるな」オーラを醸し出すべく気を遣ひながら、タティングレースにいそしむ。いそしんでゐるふりをする。
家にゐるときとおなじことをすることで、外界から己が身を守つてゐる。
外でタティングレースをする、といふことは、やつがれにとつてはさういふことだ。

あみものでも、外出先で編むことを「Knit in Public」、略して「KIP」などと称したりする。
同好の士があつまつて、さういふイヴェントをするのは楽しいことである。
でも、たとへば、ひとりでKIPもしくはTIP(Tat in Public、な)をする場合、すくなくともやつがれの場合は、外の世界を閉め出してゐる状態だ。
はふつておいてほしい。
話しかけないでほしい。
さう思つてゐる。

KIPをつねにする人などの話を読むと、「あみもののおもしろさを世に広めたい」といふてゐる。
頭が下がるなあ。
やつがれはなぜさう思へないのだらう。

ひきこもり願望の強すぎるせゐか。

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