勝てオレ戀し
禁酒してゐる。
健康診断までのこと、と思つてはじめた。
例年であれば、先月には終はつてゐたはずだつた。
今年はまだ健康診断がない。
そんなわけで、五月の連休明けくらゐからずつと禁酒中である。
などと云ひながら、実は先月末に一度飲んだ。
学生時代の友人たちとひさしぶりに会ふことになつたからだ。
で、そこから飲むやうになつたか、といふと、またそこから禁酒がつづいてゐる。
アルコール依存症の治療には、まづ三ヶ月禁酒するといふ。
さう考へると、やつがれの禁酒なんてかはいいもんだ。
正直云つて、「禁酒」ともいへない。
なにしろ、健康診断が終はつたら、即飲むつもりである。
バリウムを飲んだりするので、直後の飲み食ひはつらいこととは思ふが、いまはそんなことは気にならない。
しばしのあひだ、アルコールを断つてみて思つた。
やつがれにとつては、アルコールよりカフェインを断つ方がつらい。
かう打ついまも、コーヒーを飲んでゐる。
コーヒーでなければ紅茶。さもなければ日本茶。
なにかしらカフェインの入つたのみものを飲んでしまふ。
カフェイン断ちにも挑戦したことがある。
麦茶とか、ルイボスティーとか、牛乳とか、水とか、意識してさうしたものを飲むやうにしてみた。
ところが、気がつくと、まづはうじ茶を飲んでゐる。
そして、うつかり緑茶などを入れてゐる。
しまつた、と思つても、もう遅い。
それまで、カフェイン依存症である、といふ認識はまつたくなかつた。
断つてみてはじめて気がついた。
カフェインなしではゐられない。
あるいは、なにかしらする前に、お茶やコーヒーを入れる、といふ動作をすることがまづ前提になつてゐるのかもしれない。
はたまた後か。
たとへば、起きたらまづコーヒーを入れる、とか。
帰宅したら、とりあへずお茶を入れる、とか。
さういふ云ひ訳を考へるところがもう依存症だ。
ところで、コーヒーを飲むと眠れない、といふ人がゐる。
うらやましい話だ。
コーヒーを飲んで眠れなくなつた、といふ経験がない。
高校生のときに、一度だけ、夜紅茶を飲んだら眠れなくなつた、といふことがあつた。
いま、あのときの記憶を頼りに紅茶を飲んでみても、ばつちり眠れてしまふ。
これにはほとほと困つてゐる。
職場などで眠くなつたときに、対処方法がないからだ。
眠々打破などを飲んでみたこともある。
これがまつたく効かない。
おそらくモカも効かないだらう。
そんなやつがれが飲んで、ひとつだけ効いたことがあるものがある。
それは、AGFで出してゐた勝てオレといふコーヒーだ。
受験シーズンに受験生向けに出してゐた、粉末をスティック状の袋につめた商品だつた。
これが効く。
半信半疑で飲んでみたら、眠たいのに眠れないのだ。
これはすごい。
ただし、飲むと心臓がが異様にバクバクする。
これがおそろしくて、いざといふときだけ飲むやうにしてゐた。
しよつ中飲んでゐたら効かなくなる可能性もあるしな。
ところが、この勝てオレ、去年の受験シーズンには売り出されなかつたやうなのだ。
店頭で、一度も見かけなかつた。
味の素のWebサイトを見に行つてもなささうである。
なんといふことだ。
受験生向けだとあまり売れなかつたのだらうか。
だいたい、受験勉強なんて、寝てなんぼ、といふところがある。
以前も書いたが、やつがれは徹夜で勉強とか夜遅くまで勉強とかしたことがない。
試験前は寝る。
試験中も寝る。
それでなんとか生き延びてきた。
勝てオレは、眠いのに眠るわけにはいかない社会人にこそ、向いた商品だ。
ターゲットを変更して、いまからでも売り出してくれないだらうか。
年中売つてくれると助かる。
とはいへ、書いたとほり、心臓がバクバクするから、さうさう飲むわけにもいかないんだがな。
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