占ひあたらない
かつて動物占ひがはやつたことがある。
あたる、といふ話だつた。
調べてみたら、結果はこんな感じ。
即断即決。
動作キビキビ。
超プラス志向でうしろ向きな発言を嫌ふ。
それはいつたい誰のことだらう。
あたる、といふのは、きつとあたつてゐた人々の聲ばかりを集めて発信してゐるからだらう。
あたらないよ、といふ否定的な感想は、おもしろくもないし、あまりひろまらないのにちがひない。
後に見てみたら、「人前でかつこつける」とか「早とちり」とか、あたつてゐると思はれる部分もあるにはあつた。
しかし、大枠ではちがふんだよなあ。
動物占ひはあたらない。
さう思つた。
つい最近、iPhoneのタロットのアプリケーションをインストールしてみた。
世の中ではタロットカードがひそかにはやつてゐるのらしい。
占ひがどうかうといふよりは、タロットカードを使つて物語を作つたりするらしいのだ。
それはおもしろさうだなあ。
さう思つて入れてみた。
すると、パーソナルカードといふものがあるといふ。
生年月日によつて大アルカナ22枚のなかから1枚、パーソナルカードといふのが選ばれる。
やつがれの場合は、努力と忍耐のカードなのらしい。
努力。忍耐。
どちらも好かないことばではあるが、まあ、「超プラス志向」とかよりは、近いかなあ。
さう思つてゐたところ、パーソナルカードのほかに、ソウルカードといふのもあるらしいといふことがわかつた。
ソウルカードは、「戦車」。
積極的でいはゆるイケイケ。
それはいつたい誰のことだらう。
さらには、「自分は消極的でひつこみ思案なのに、と思ふ人もゐるかもしれませんが、それは本来の姿ではないのです」といふやうなことまで書かれてゐる。
セイフティネットを張つてゐるのだ。
だが待てよ。
「やる気lessで消極的」で、「戦ひたくない」といふのは思ひこみで、実はものすごく戦闘的なのだらうか。
「積極的」はともかく、「戦闘的」には身に覚えのないわけぢやない。
日々「戦ひたくない」と思つてゐるのに、気がつくと戦つてゐる。
電車に乗るのに横入りは許さじとがんばつてしまふ、とか。
電車から降りるときに入り口付近でがんばつてゐる人にさからつてしまふ、とか。
前から歩いてくる人がよけないとこちらもよけない、とか。
それはただの「イヤな人」か。
しかし、自分のなかではそれは「戦ひ」で、ゆゑに日々「もう戦ひたくないんだよ」と思ひながらくらしてゐる。
そのはずなのに、気がつくと戦つてゐるのは、自分が「戦闘的」だからなのではあるまいか。
もしかして、「自分は積極的でプラス志向」とか思つて暮らすやうにしたら、世の中がかはつて見えるのかも?
それは当然だらう。
これまでとちがふんだから、世の中もかはつてくるにきまつてゐる。
占ひを信じる人はちがふんだらうな。
「本来の自分はかうだつたのか」と目の覚めた思ひで日々の生活をかへてみたら、世の中もかはつた。「占ひつてすごい!」といふことになるのだらう。
たまにはだまされたと思つて「占ひつてすごい!」と信じてみることにしやうか。
この「信じる」といふのがまたやつがれにとつては一大ハードルなのだがな。
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