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Friday, 28 June 2013

所詮人のやることだから

アジャイルソフトウェア開発を学ばうとする人のうち七割は、自社のアジャイルソフトウェア開発導入を阻止しやうと考へてゐる。

先日、職場でさう云つてゐる人がゐた。
情報元はアジャイルソフトウェア開発(以下「アジャイル」)を推進しやうといふ人なので、そんなに大げさな話ではないだらう。
その人が被害妄想でさう云ふてゐる、といふ可能性もないではない。
でもなんとなく、「あー、さういふこともあるだらうなあ」といふ気がした。

アジャイル、と書いて、「アジャイルなんなのか、はつきりしろ!」といふアジャイル原理主義者も多いんだよな。ここでは、漠然としたイメージで「アジャイル」といふことばを使ひたい。

リンク先をごらんいただければわかるが、アジャイルはそんなに新しいものといふわけではない。
検索をかけると、webでは少なくとも五六年前から取沙汰されてゐるやうである。
でも、古い方法でソフトウェア開発をつづけてきた人々にとつては、新たなもの、だ。
この場合の「新たなもの」は、「海のものとも山のものともつかないもの」と同義である。

世の中は、新たな方法の話題でもちきりで、どうやら流行してゐるらしい。
上層部の、わけのわかつてゐない人々が、いつ「うちの社も、アジャイルやらなきや」とか云ひ出すかわからない。

そのときに反論するために、まづは敵を知らう。
さうした孫子の兵法な心なのだらう。
さう推察する。

やつがれは「アジャイルつてなによ」ていどの知識しか持ち合はせてゐない。
webで検索かけて読んでみたところ、なるほど、確かにすぐれたものなのだらう、とは思ふ。
でもさー、所詮、人のやることぢやん。
さう思つちやふんだよなあ。

たとへば、ソフトウェア開発には、古くからウォーターフォール・モデルといふ開発モデルがある。
検索結果からみると、アジャイルと対比して語られることが多い。
そんな対比記事を読んでゐると、「結局、ウォーターフォール・モデルでうまくいかなかつた人は、アジャイルにしたからつてうまくいくわけないんぢやないの?」としか思へないのだ。

ソフトウェア開発には、大きくわけて、できたソフトウェアを使ふお客さんと、そのお客さんのためにソフトウェアの開発を発注するお客さんと、ソフトウェアを開発する人々がゐる。
アイスクリームを食べるお客さんと、アイスクリームを提供するお店と、アイスクリームやコーンを作る会社がある、といつたところだらうか。

食べるお客さんはこんなものを食べてみたいなあ、と思ふ。
お店はそんなお客さんのきもちを汲んで、「こんな味のアイスクリーム、できないかなあ」と、会社に開発を依頼する。
会社はそれを受けて、牛乳や砂糖、その他香料の配合を考へて新たな製品を作る。

このときに、お店はお客さんの要求をよく理解してゐないといけないし、会社にその結果をきちんと伝へないといけない。
会社は、お店のいふことをきちんと理解して、それを実現する技術が必要になる。

ウォーターフォール・モデルだと、まづはお店が「こんなやうな味のアイスクリームがほしい」と、会社に伝へる。
会社はその要望から必要な材料とその量を割り出して、アイスクリームを作る。作つたら、お店に納品、といふ流れになる。

この方法だと、納品時にならないと、どんな味のアイスクリームができたのか、お店にはわからない。

アジャイルの場合は、まづはお店が「こんなやうな味のアイスクリームがほしい」と会社に伝へるところまでは多分おなじだ。
たとへば「ココナッツ味ベースのチョコレートアイスクリームがほしい」みたやうな要望だつたとしやう。「トッピングにはクラッシュナッツをすすめたい」といふ要望もあるとする。
会社は、「いきなりココナッツ味ベースでチョコレートのアイスクリームを作るのはむづかしいから、まづはココナッツ味ベースがどれくらゐのココナッツ味がきめませう」とお店と話し合ふ。
で、一定の期間でココナッツ味ベースのアイスクリームを作つて、店に味を試してもらふ。
それでよしとなつたら、それはそこまで。
お店が「もーちよつとなんとかしてほしーなー」と思つたら、それを会社に伝へる。
会社は、その意見を取り込んで、アイスクリームの味を改良する。
作つて試してもらふ、を、一週間とか二週間といつた期間で何度か回す。
#会社の中ではもつといろんなことをするんだらうが。
#と、書いておかないと、原理主義者が、な。

といふ具合にいくんぢやないかな。

かうすると、いきなり「この味のアイスクリーム」といふことにはならない。
要所要所でお店は味見ができる。
あるていど製品ができあがつてくれば、お客さんに試してもらふこともできるだらう。

このとき、会社に必要なのは、アイスクリームを作る技術だけではない。
お店の依頼を読み取り、理解することも技術と同様に必要になる。もしかすると、技術よりもお店の糸を読み取る力の方が重要かもしれない。
つまり、コミュニケーション能力が必要になつてくる。

それは、ウォーターフォール・モデルだらうがアジャイルだらうが、かはらない。
アイスクリームの例では、アジャイルの方がよささうに見える。
でも、ウォーターフォール・モデルだつて、根つこのところはおなじなのだ。

おそらく、アジャイルを推進しやうといふ人はそこんとこを理解してゐる。
でも、「流行してゐるやうだから」とか「乗り遅れないやうにしなきや」とか考へてゐる人は、そこんとこ、理解してないんぢやないかなあ。

ま、最初に出した噂が正しいとするならば、Web上でアジャイルに関する記事へのアクセスが多いとしても、必ずしも人気があるからといふわけではなささうだけどね。

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