達成感を求めて
あみものはほとんど進んでゐない。
ほぼ毎日なにかしら編んではゐる。
たいていは、「風工房のシンプル夏ニット、こもの」に掲載されてゐるH玉編み模様のスカーフをせつせと編んでゐる。さういや先週はSケーブル模様のジレは全然編んでないなあ。
先週もちらつと書いたけれど、かぎ針編みの方がぱつと手にとつてさつと編みやすいからだらう。
また、ジレ(とは本の表記。やつがれは「ヴェスト」だと思つてゐる)の方はハマナカのフラックスKなので、同じくハマナカのポーム<無垢綿>のレース糸を使つてゐるスカーフよりは、編んだときに進みやすい、といふのもある。
それにスカーフの方を先に編みはじめてゐるしね。
それでどこかで「先に仕上げなければ」と思つてゐる部分があるのらしい。
この週末は、スカーフはせめて三玉めに入らうと思つてゐた。
このスカーフは、本ではポームのレース糸を四玉使ふ。
といふことはまだ半分も編めてゐないといふことだ。
先月の半ばから編みはじめて、まだ半分も編めてゐないなんて。
さう考へると、あせりが生まれる。
まだほかに編みたいものもあるのに。
すくなくとも、手はつけてゐるもののヴェスト用の糸は買つてしまつた。
ほかにも編みたいものはあるし、タティングレースだつてしたい。
そんなわけで、昨日も先週分の「あまちゃん」や「間違われちゃった男」、「押忍!! ふんどし部!」などの録画を見ながらせつせと編んでゐたのだが。
進まないのである。
だいぶスムースに編めるやうになつてきた、といふことは以前書いた。
編みはじめは大変だつた。
こんなに編めなくて、ほんたうに仕上がるのだらうか、と不安になるほどだつた。
編んでゐるうちに手が慣れてきて、しかし、「ほんたうに仕上がるのだらうか」といふ不安だけはそのまま残つた。
おなじ本から、リネンのストールを編んだときもさうだつた。
ハマナカのフラックスSは、夏糸とは思へぬ編みやすさだつたけれど、なぜか全然進まなかつた。
おもてにもうらにも模様があるからだらう。
当時はさう考へてゐた。
それはそのとほりだと思ふ。
でも、夏糸・夏もので一番たいせつなことを忘れてゐる。
夏糸で編むと、時間がかかる。
これだ。
こんなこと、敢て書くまでもなく、あみものをする人なら折りにふれ体感してゐることだらう。
すまぬ。
フラックスKはフラックスSに比べて棒針で編んでゐるときは撚りがほどけてきて編みづらいし、ポームのレース糸はなにを云つても細い。
進まなくて当然。
さう考へるべきだ。
しかし、なあ。
わかつてはゐても、この、「進まぬ」といふ焦りはどうにもしやうがない。
頭では理解してゐても、納得はできない。
週末のあみものには、心のどこかで「達成感」を求めてゐる。
できれば編み切つてしまひたい。
それができなくても、きりのいいところまで編んでしまひたい。
どうしやうもなく強い「達成感」への渇望が、焦りを生んでゐる。
達成感など、求めなければいい。
達成感がほしかつたら、とりあへずくつ下でも編めばいい。
あるいはタティングレースの栞でも作ればいい。
しかし、現在編んでゐるものがなかなか進まない状況で、ほかのものに手をつけると、「このなかなか進まないものは仕上がらないのでは」といふ別の不安にかられることになる。
むー。
うまくいかんのう。
達成感は求めなければいいのだ。
求めるのなら、もつと早く編みあがるものを編めばいい。
わかつちやゐるんだがね。
ユニオンウールでセールをやつてゐたりして、とても気になつてゐる。
毎年この時期はパピーの海島綿がとても気になる。
これといつて編みたいものがあるわけではない。
ただ、あの糸がなんだか好きなのだ。
もう久しく買つたことはないけれど。
でも、いまのこの、「なにもかも進まない」状況ではなあ。
今年も見送るしかないか。
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