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Wednesday, 01 May 2013

飯田市川本喜八郎人形美術館の展示室 その一

諸葛孔明像

先日、飯田市川本喜八郎人形美術館に行つてきた。

飯田に着くまでと、エントランスの謎については既に書いた。

今回は、展示されてゐる面々について少々書きたい。
例によつてメモなんぞは取つてゐないので、記憶のままに書く。あしからず。

上記リンク先にも書いたとほり、展示室に入ると、まづ紳々竜々が出迎へてくれる。
このあとしばらく人形劇三国志の面々がつづく。
今回、改めて知つたのだが、紳々竜々は髪の毛がしつけ糸のやうな糸でできてるんだな。管輅とか夏侯惇とか、ほかにもさういふ人形がゐる。みんな、リカちやん人形のやうな糸で作つてるのかと思つてゐたけれども、いろいろ違ふんだなあ。
紳々竜々の衣装の裾には縫ひ目がある点もほかの人形とちがふ。あとは管輅の衣装がやはりおなじやうに縫ひ目があるだけで、川本喜八郎人形ギャラリーにしてもさうだけれども、大抵の人形の服の裾には縫ひ目はない。おそらく糊でとめてゐるのだと思ふ。
たまたまちよつと学芸員の方とお話する機会があつたので、訊ねてみたが、詳しいことはわからなかつた。
張りを出すためだらう、といふことだつた。
紳々竜々と管輅とだけは、衣装が綿の布でできてゐるやうに見受けられる。
綿だと裾を糊でとめたときに縮緬とかとおなじやうな効果が出ないのかもしれない。
そんな気がする。

つづいて左慈。
まるでジェダイ・マスターのやうな趣で立つてゐる。
もちろんダーク・フォースだ。
右手に杖を持ち、左手を前方にかかげてゐて、ほつれた髪がなびいてゐるやうに見え、ただ立つてゐるだけなのに、動きが感じられる。

その隣が管輅。
こちらは中世ヨーロッパの宗教家のやうな出で立ちで、右手を前方に掲げ、「悔い改めよ!」とでも云ひたげなやうすで立つてゐる。
まぶたが片方だけ二重だつたりして、いろいろ細かい。
目周りだけ見ると、梅幸に似てゐるんだなあ。

その隣が紫虚上人。
顔の皮膚が縮緬なのは知つてゐたが、手の指の先まで縮緬だつたとは。人形劇三国志の面々は大抵革張りで、現在展示されてゐる中では紫虚上人以外に縮緬張りの人形はゐない。
例によつて座つてゐるのだが、さういへば紫虚上人の立つてゐる姿つて見たことないかも。

ここに于吉仙人がゐたら完璧な感じがするが、于吉仙人は登場が早いのでゐないものと思はれる。

ここまでが、「特異なキャラクター」の部。
次からが「江東の群像」といふことで、呉の人々が並んでゐる。

周瑜は、やはり人形劇の方がいい男だつたなあ。
と、今はもうゐないけれども、渋谷ヒカリエの川本喜八郎人形ギャラリーにゐた周瑜を思ひ出してさう思ふ。
後列に立つてゐるのだけれども、ぱつと最初に目がいくもの。
ところで、この美術館では、川本喜八郎へのインタヴュー動画をエンドレスで流してゐるコーナーがあつて、それを見たところ、川本喜八郎は、「周瑜のカシラのもとは検非違使」と云つてゐて、かなり衝撃を受けてしまつた。
ええっ、検非違使? 周瑜が?
いやー、それはどうだらう。
といふのは、検非違使のカシラにいい男といふ印象がないからだ。
だが、考へてみれば、検非違使つてちよつと、といふか、かなりつり目だし、なるほど、周瑜、かも?
といふわけで、何度かしげしげと周瑜のカシラを眺めてしまつた。

川本喜八郎が、その人形のカシラを文楽のカシラを元に作つてゐる、といふ話は、「川本喜八郎 人形―この命あるもの 」に掲載されてゐる吉田文雀との対談で知つてはゐた。

さうかー、周瑜、検非違使かー。
考へてみたら、義経千本桜の知盛みたやうな感じか。
「生き変はり死に変はり恨みはらさでおくべーきかー」みたやうな。
なるほどなるほど。

その伝でいくと、初期の玄徳は源太で、関羽は文七で、張飛は顎周りは陀羅助なんだが……みたやうな感じ、かなあ。
趙雲は若男で、これは多分間違ひないと思ふ。
最大の謎(つて大げさな)は、孔明のカシラの元なのだが。
孔明ぢやないと思ふんだよね。
上記インタヴューでも、孔明のカシラの元が孔明かどうかははつきり言及されてゐなかつた。
孔明つていつたら由良之助とか「本朝廿四孝」の信玄とかだよねえ?
孔明?
いやいやいやいや。

あと、黄忠と黄蓋との元は鬼一な気がするけど、厳顔は舅な気がする。

つて、もう確認のしやうはないんだけどね。

周瑜の前には徐盛と甘寧。
このふたりがまたなんとなく似てゐる。
皮膚の色がちがふだけちやふか、といふくらゐ、よく似てゐる。
さ、さういふイメージなのかな。
徐盛のもみあげ部分が、筆で描いたやうに見えたが、どうやら毛がはりつけてあるのらしい。
程普もこんな感じかなー、と思つてゐたが、程普だけはやはりちよつとちがふ、といふのはこの後書く。

周瑜の隣が呂蒙。
この呂蒙が、実にいい男なのである。
人形劇三国志の呂蒙といへば、これはもう、ヒールなヒールな呂蒙さんで、あちこちからさんざん非難を浴びたといふことで有名なのだが。Wikipediaによれば、田中芳樹も批判したとある。
でもなー、去年の夏、渋谷ヒカリエの渋谷区防災センターで「関羽の死」を見たときは、その徹底したヒールぶりに惚れたけどなあ。
いつそ潔いほどの悪役ぶり。
その呂蒙が、ここではなんだか実にいいのだ。
あのヒールなやうすはなんだつたのか。
もしかして、人形劇であまりにもヒールに描きすぎた、その埋め合はせか。
顔は若干上向きで、ちよつと遠くを見てゐるやうな趣である。
片手を剣の柄にかけてゐて、なんだか未来をみつめてゐるかのやうなやうすなのだ。
いやー、呂蒙つて、こんなにいい男だつたかなあ。
見惚れること一度ならず。

その手前が貞姫で、これがまた可愛い。
あらー、貞姫、こんなに可愛かつたらうか。
例によつて長刀を構へてゐて、いさましいやうすでもあるのだが、とくに向かつて左側から眺めたときの可愛らしさは群を抜いてゐる。
これもまた見惚れること一度ならず、だ。
なんだらう、もしかして、テレビ映りがよくなかつたのか知らん。

その後ろに孫権。
如実に衣装の色褪せてゐるのを感じる。
そのせゐか顔色もなんだかすぐれない感じ。
ヒカリエにゐたものよりも、目の緑色がはつきりしてゐる。
孫権は、わりと、人形劇のときそのままな感じ、かな。

その前に黄蓋。
黄蓋は目がガラスつぽい。ガラスでなければアクリル、かな。当時はどうだらう。
ほかの人形だと、左慈が目に黒いガラスのやうなものがはめられてゐて本来黒目の部分に穴があいてゐる作りなくらゐで、ガラスの目玉つぽいのは黄蓋だけだ。
黄蓋と黄忠とは、なんとなく似たやうな印象があるのだけれど、今回見比べてみて、黄蓋の方が頑固一徹な感じで、黄忠の方がジェントルマンな感じ、といふちがひがよくわかつた。

孫権の後ろは陸遜。
勝傑ではない。
今回、美術館のDVD視聴コーナーでは人形劇三国志の巻十六をエンドレスで流してゐた。この巻は現在amazonから絶讃おすすめされ中なので、映像は見ないやうにしてゐたが、音はどうしても聞こえてくる。
ちやうど陸遜大活躍の場面なんかもあつて、画面を見る代はりに陸遜を見ることにした。あ、展示室内部には音は聞こえてこないけどね。
人形劇ではチトやな奴感の拭へない陸遜だが、黙つて立つてゐると……やはり悪役つぽいかなあ。

黄蓋の隣が諸葛瑾。
なぜか諸葛瑾だけ指先が黒く、「も、もしかして、かつてやつがれと握手したから?」と思つたのは内緒。
諸葛瑾もさうだけれども、呉はなんとなく黄色い印象の人が多い。孫権はオレンジかもしれないが、周瑜はあきらかに黄色いイメージだよね。

その隣に程普。
さつき徐盛や甘寧と似た感じ、それはあやまりで、程普はちやんと個性的な作りになつてゐる。
孫堅のころから出てるから、といふこともあるのかな。
徐盛と甘寧とがちよつとキツい感じのつり目なのに対し、程普はどちらかといふとどんぐり眼つぽい。

その後ろに魯粛。
これもついヒカリエにゐた方とくらべてしまふのだが、人形劇の魯粛の方がしつかりした感じな気がするな。ヒカリエにゐた魯粛は見るからに「おろおろ」とした感じで、まあそれが人形劇三国志の魯粛らしいといへばさうなんだけれどもね。

呉の面々は、孫権を中心に、左右後方に周瑜と魯粛、前方に徐盛と程普といふ布陣。
並びのバランスのよさは、呉が一番かもしれないなあ。

といふわけで、蜀とか魏とかのコーナーにつづく。

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