ドイツのノート
もうせんドイツに行きたいと思つてゐる。
とくに観光地に行きたいとかいふわけではない。
ノイシュヴァンシュタイン城? ロマンティッシュ街道?
興味のないわけぢやあないが、なにがなんでも行きたいか、と問はれると、「びみょー」だ。
ぢやあなにをしに行きたいのか。
街歩き、かな。
普通に人の暮らしてゐるところで、人のしてゐることをぼんやりと見て、ビールとか飲んでみたい。
さう、ビール、ね。
ビールを飲みに行きたい。
ドイツといふと、やつがれにとつては文房具だ。
萬年筆を入れたペンケースには、なにかしら必ずドイツ製の萬年筆が入つてゐる。
最近は、国産の萬年筆の出番が多いが、WILDSWANSの二本差しのPeekaBooに入れてゐるのは金ペン堂で求めたマイスターシュテック146だし、職場でアイディア出しに使ふのはスーベレーン800の太字だつたりカリグラフィーだつたりだし、TAKUYAに注文したペン差しには伯爵モデルのペルナンブコがささつてゐるし、といつた寸法だ。
鉛筆も、線を引くのに使ふのはたまのことといふこともあるがポリクロモスから選んだ好きな色の色鉛筆だし、同じくパーフェクトペンシルも常備してゐる。
まあ、鉛筆もMONO 100とかHi-UNIとかを使ふことが多いのだが、色鉛筆はポリクロモスが好きなんだよなあ。
鉛筆はたまにしか使はなくなつたし、これくらゐの贅沢はしてもいいかな、と思つてゐる。
ところで、最近までMoleskineのStar Warsエディションを使つてゐた。無地のポケットサイズだ。
普段使ひの手帳は通常三ヶ月くらゐで使ひきるが、今回は半年かかつた。
書かない日が多かつたから、といふのもあるやうな気はするが、長くかかつた主な理由は、無地ゆゑに、ちまちまとした字で書き連ねてしまつたから。
いまぱつと目についたページを見て計算してみたが、一ページに900字くらゐは書き込んでゐるやうだ。
Moleskineにも萬年筆を使ふんだけれども、例によつて大抵のインキは裏抜けする。裏抜けしなくてもインキフローはしぶい方がいい。
といふわけで、細字や極細のペン先ばかり使つた結果、本来のちまちました字がますますちまちましてしまひ、延々半年使ひつづけることになつてしまつた。
Molesineを使つてゐると、さうやつてペンを選ぶことに不自由を感じる。
「次はペンを選ばない紙にしやう」
さう思ふやうになる。
そんなわけで、使ひはじめるとすぐに次の手帳の物色がはじまる。
今回、思ひきつて、GMUNDのノートを使つてみることにした。
GMUND。
ドイツの会社だ。
手にしたのは文庫サイズのノート。
K.ITOYAでメルシーポイントを使つて入手した。
Moleskineのポケットサイズを使つてゐると、ちよつと大きいかな、とも思ふ。
サバンナブビンガといふノートを選んだ。ブビンガは木の名前だ。表紙が木目調になつてゐるので、そのためかと思ふ。
罫線入りを選んだら、なんだか楽しいことになつてゐた。
フランス風の罫線なのらしい。
実線の横罫と点線の縦罫とで、こまかく区切られてゐる。
最初は使ひづらさうと思つたが、実際に書き込んでみると、これが悪くない。
横罫は二行使ひ、縦罫で書き出しをあはせてゐる。
紙はかなり厚い感じ。
書き味は、ざらりとした感じ。
ペン先と紙との摩擦音が苦手なので、この紙はダメかなーと思つたが、ペンとの相性次第かな。
これまでMoleskineで使つてゐたやうなインキフローのしぶいペンは受け付けてくれない。中屋の細軟はいけるかな、といつた感じで、キャップレスデシモの極細などは歯が立たないといつた感じ。
そのかはり、これまで控へにまはつてゐたペンは軒並み使へる。
上に書いたマイスターシュテック146とか、スーヴェレーンの太字やカリグラフィーはもちろん、ドルチェヴィータの細字なんかぴつたりだし、大橋堂のペンもいい感じで使へてゐる。さうさう、Cocoonの細字もいい。
まだ使ひはじめたばかりなので、とりあへず感想としてはこんなところだ。
今後、外で使つてみたりするとまたちがつた印象を受けることとと思ふ。
つづきはまたそのときにでも。
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