タティングレース展@日本橋高島屋
土曜日に、「タティングレース(CreAtorクリエイター06)」出版記念のタティングレース展に行つてきた。
念のため、日本橋高島屋のインフォメーションデスクで詳しい開催場所などを訊いてから行つた。
訊いて行つて正解だつた。
さうしなかつたら、とほり過ぎてゐたものと思ふ。
一見、百貨店に出店してゐる手藝店のやうなかまへだつたからだ。
歌舞伎座で第二部を見たあとだつたこともあり、たどり着いたのは六時半ごろだつた。
その時点で、せまいスペースには十人前後ゐたと思ふ。
うち四人は展示側。
作品は、ガラスのケースにおさめられてゐたり、そのまま展示されてゐたりした。
展示といふよりは物販がメインのやうに感じられた。
なにが圧巻つて、高嶋タティングの玄関マットはすごかつたなあ。
本にも極太毛糸を使用してゐる、とは書いてあつたが、まさかこんなにひとつのモチーフが大きいとは思はなかつた。
繊細さ・はかなさを標榜してゐるだらうその他の作品の中で、ひときは異彩をはなつてゐた。
以前、「毛糸だま」でダマスク織だつたか、織物をはじめた人のコラムが掲載されてゐたことがある。
その人は、どんなものを作りたいかと訊かれて、「まづは玄関マットでも」と答へ、先生やほかの生徒に「作つたものを足蹴にするなんて」と唖然とされた、と書いてゐた。
ひとつの作品を織るのに、大変な労力を要する織り方だつたのだ。
タティングレースもまた、「足蹴にするなんて」と思つてしまふくらゐには手間のかかる手藝かと思ふ。
あの場に作品を展示するやうな先生は、もしかしたらものすごく手も速くて、あつといふ間に作れてしまふのかもしれないが、すくなくともやつがれはダメだ。
しかし、ああいふ玄関マットを見てしまふと、「な、なんか作つてみたいなー」といふ気になつてしまふ。
冷静な判断力を失つてしまふのだ。
高嶋タティングについては、かねがね書いてゐる「タティングレースとかぎ針編みの融合」のやうな作品もいくつか飾られてゐた。
さうだよね。かうなうては叶はぬ叶はぬ。
また、テキストや高嶋針も売られてゐた。
売られてゐたといへば、ほかには萬華鏡のキットや、寺地優香のビーズタティングキットもあった。キットには心惹かれたなあ。作る時間が取れまいといふので泣く泣くあきらめたけど。
ほかには、ドイリーや栞、ショールなどの完成品も売られてゐた。
うーん、かういふところに来る人は、キットは買つても完成品は買はないんぢやないかなあ。
もちろん、自作の参考に、といふのでドイリーなどを入手したい人もゐるのだらうけど、手藝をたしなむ人つて、基本的には「作りたがり」なのだ。自分でやつてみたい。自分で作りたい。さういふmentalityの持ち主が多い。
まあ、さういふ人は、会場のそばにある越前屋などへ行け、といふことなのだらう。
いろんな人の作品が並んでゐる、といふことは、作つた人も何人もゐる、といふことだらう。
デザイナ本人が作つたわけではないかもしれないが、おなじ人が全部作つたといふこともあるまい。
さう考へて展示品を見てみた。
他人の作つたものを見る機会がなかなかないので、ぢつくり見た。
いづれもかなりしつかりとした作りになつてゐた。
さうかー、もつときつちり糸を引くべきなのかなあ。
やつがれは、もともと結び目は少しゆるく、糸をきつく癖があつた。
さうすると、結び目がぐしやりとつぶれてしまふ。
それで、普段は結び目のゆるさにあはせて糸もあまりきつく引かないやうに気をつけてゐる。
うーん、結び目自体をもつときつちり作つた方がいいのかな。
また、当番をはづれたのだらうデザイナとおぼしき方が、片隅でタティングをしてゐる場面にも遭遇した。
正直云ふと、これまで生きてきて、自分以外の人間がタティングしてゐるのを見たことは三回ほどしかない。
思はず作品を見るふりをしながらちらちら様子をうかがつてしまつた。
あとりえシシカスでたまにとりあつかつてゐる透明のシャトルを使つてゐた。
シャトルさばきが優雅でよかつたな。やつがれもあんな風にできるやうになる日が来るんだらうか。
……来ない気がするのだが。
いいな、と思つたのは、島崎須美恵の作品だと思はれる、ショールのやうな作品。
本には、ビーズのネックレスの背後にさりげなくおかれてゐるだけで、作り方も出てゐない。
実際、モチーフひとつひとつはそんなにむづかしいものではなささうだ。いかにも「タティングレース」といつた趣のモチーフがつながつてゐる。そんな作品である。
70番くらゐの糸で作つたんぢやないかなあ。
ちよつとすてきだった。
今日発売の「素敵にハンドメイド」にもタティングレースの作品が掲載されるとのこと。
本屋に見に行かなければ。
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Comments
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和漢蘭人さま
こんばんは。
誤植情報が入りました。
P81 杉田先生 72作品 のクローバー モチーフが4個繋がる ブリッジ部分 ですが 、【8P8】
P76 加藤先生 59・60 の 制作協力は、ハンカチを染められた 【染色協力】
とのお話でした。
まだまだ、訂正が出てきているようで、本も不足しており、6月に訂正をして、増刷されるとも聞いております。
どうぞよろしくお願いいたします。
Posted by: のんの | Saturday, 25 May 2013 19:22
のんの様
おお、誤植情報、出ているのですね。ありがとうございます。
売れ行き好調というのもうれしい話題ですね。
Posted by: 雅亮 | Tuesday, 28 May 2013 23:04