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Tuesday, 28 May 2013

困難に直面したとき

この週末、旅先で困つたことになつた。
_Tatting with Visual Patterns_からMasqueradeを作つてつないでゐるのだが、突然、使つてゐる糸の途中に、結び目があらはれたのである。

結び目

むむー。
レース糸で結び目つて、致命的ぢやあるまいか。
致命的といふか、終はつてゐる。
せめてもつと手前で気がつけば、と思つたが、旅の空の下の開放感ゆゑ、とでも云ひたいところだが、単にぼーつとしてゐたんだらうな。
結び目に気がつかなかつた。

糸はLisbeth #40。色合ひはPink Cocoaといふ。
糸を切るのはかんたんだ。
そんなやうなことを云つてゐる先生がゐたな、小学校に。
正確には隣の家に住んでゐた子に聞いた話だ。
その子の担任の先生が、云つたのださうだ。

結び目をほどく方法を考へなさい。糸を切るのはかんたんだ。
なぜそんな話になつたのか、まつたく覚えてゐないが、たまに思ひ出す。

このことばの重要なところは、「考へなさい」といふところだ。
「とにかくほどけ」と云つてゐるわけではない。
糸がぐしやぐしやになると、やつがれはとりあへずほどかうと手をつけてしまふ。
そして、「こんなことに時間をかけるほど、人生は長くない」と悟るに至り、そこで切つてしまふことが多い。
ほんたうは、ほどきはじめる前に、まづ糸の状態を観察して、どうすればいいか考へるべきなのだ。
わかつちやゐるが、できた試しがない。

話を聞くかぎり、あみものする人はほどくつて云ふよね。ギリギリまで糸をムダにするやうなことはしない。
さういふ印象がある。
ゆゑにあみものを「環境にやさしい」とか云ふのだらう。
あみものは決して「環境にやさし」くなんかない。
あみものをする人に、さういふ心根の人が多い。
さういふことなんだと思ふ。

ところでやつがれは、あまり「環境にやさしい」ことなど考へたりしない。
つまるところ、環境問題といふのはトレードオフだ。
あちらをたてればこちらがたたない。
さういふ風にできてゐる。
たとへばPETボトルのリサイクル問題。
使用済みのPETボトルを回収してリサイクルすれば、新たに石油を使つてPETボトルを作る必要はない。
だが、再加工する際に、多大な燃料、すなはち石油を必要とする。
再加工がいいのか。新たに作つた方がいいのか。
悩むところである。
PETボトルをリサイクルできる資源として出すのは、さういふきまりになつてゐるからに過ぎない。

あみものは、でもまあ、かなりのところ個人の中で完結するから、人間ががんばれば、その分「環境にはやさしい」んだらう。
さう思ふゆゑに、時間のムダと知りつつも、せつせと糸をほどくのだらう。

今回は、しかし、糸をほどくことはしなかつた。
なんとかシャトルつなぎ部分に結び目を持つてきて、といふか、うまいこと結び目がシャトルつなぎのあたりにやつてきて、そのままごまかしてしまつた。
芯糸だつたので、シャトルつなぎにこぎつけるまで、結び目にスティッチがかからないやうに気を遣つた。
でもまあ、うまく結び目を隠せたんぢやないかな。

こんなことがあつても、とりあへずタティングをつづけてゐるといふことは、すこし気持ちが持ちなほしてきてゐるのかもしれないな。

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