サンクコスト
極細毛糸のタティングレースプロジェクトをやめることにした。
サンクコストだと判断したからだ。
なにを云ふのか。趣味のことなんて、所詮はすべて「サンクコスト」だらう?
そのとほりである。
趣味に投資した費用・時間は回収できない。
趣味とはさうしたものだと思ふ。
作つてるあひだ楽しかつた。
できたものがとても使ひやすくて重宝してゐる。
さういふこともあるだらう。
さうやつて満足できるといふのは重要なことではある。
しかし、それでも、それを作るのにかけた費用や時間は返つてはこない。
趣味だからだ。
フリーマーケットに出品するとかネットショップで売るとかすればいいのかもしれないが、やつがれ風情の作るものに、かけた費用や時間に見合ふ額はつけられない。
今回の判断は、上記リンク先にある「つまらない映画を見続けるべきか」の例に近い。
作品(と呼ぶにはちよつと抵抗があるが)は、まだ1/7もできてはゐない。
消費した毛糸も一玉の半分くらゐだらう、と、これは感覚的にさう思ふ。
しかし、かけた時間が長い。
こんなに時間をかけたんだから、このままつづけるべきだらう。
心情的にはさうなる。
公共事業などの巨大プロジェクトもさうなりがちだ。
これまで何十億円何百億円と税金を投入したのだから、この先さらに費用がかかつても最後までやるべき。
ここまで時間をかけたんだから、この先その倍の時間がかかつても完遂すべき。
さうやつて、費用も時間もどんどんかさんでゆく。
公共事業の場合はその影響が多大だが。
自分の趣味のことなどたいした話ではない。
えうするに、自分がどう思ふか。
その一点につきる。
そのプロジェクトがつまらないわけではない。
だが、完成するまでにかかる時間とそのあひだにできるだらうことを天秤にかけたときに、やめてほかのことをやつた方が有意義だらう。
さういふ結論に達した。
といふわけで、といふわけでもないのだが、Mary Koniorの_Tatting with Visual Patterns_からCurds and Wheyなんぞを作つてゐる。
Curds and Wheyは、マザーグースの「マフェットちやん(Little Miss Muffet)」に出てくる。
マフェットちやんが丘に座つてcurds and wheyを食べてゐると、巨大なクモがやつてきてマフェットちやんの隣に座る。マフェットちやんはびつくり仰天、怖さのあまり逃げ出してしまふ。
そんなやうな内容だ。
curds and wheyは乳製品で、ゆゑに多分色は白だらう。
本の中でも白い糸を使つてゐる。
Black Magicもさうだが、指定された色で作つたことはあまりないなあ。
以前、生成りの糸に青いビーズを通して、「molded curds and whey」なんて名前で作つたことがあるくらゐかも。
これは栞にする予定。
ちよつと飽きるまでは栞を作りつづけやうかなあと思つてゐる。
とか書いてゐるそばから、全然別のものを作つてるかもしれないがな。
まあ、趣味とはさうしたものだらう。
多分。
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