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Thursday, 14 March 2013

道徳?

「儒教」に対して苦手意識を持ちはじめたのはいつだつたらうか。
すくなくとも、中学生のときにはすでにあつた。
たぶん、人生のかなり早い時期のことだつたと思ふ。

なぜ近所のをぢさんをばさんと親しく話せないのか。
なぜ自分はしやちほこばつてしまふのだらう。
だつて、目上の人には礼儀正しく接しなさいつて。
目上の人には、敬意を表さなければならないつて。

友人のお母さんだからといつて、馴れ馴れしくしてはいけない。
友人と喋るやうに話してはいけない。

それは、もう、かなり幼いころにはさう思つてゐた。
おそらく、「先生」といふ存在と日々会ふやうになつてからのことではあるまいか。

ところで、よくよく世の中を見渡してみると、そんな風にしてゐる人ばかりでもないことに気がつく。
目上の人、たとへば先生や先輩と親しげに話してゐる人がゐる。
自分にはとてもできないやうな態度、ことばで、目上の人と接してゐる人がゐる。
そして、それでとがめられることがない。

をかしい。

そのうち、世の中には「儒教」とかいふものがあつて、「長幼の序」とか、いろいろうるさいことを云ふものであるらしい、といふことを知る。
そして、別段儒教文化圏でもない世界も、世の中にはあることを知る。
なんで自分はそんなもののない世界に生まれなかつたのか。
儒教のない世界に生まれてゐたら、かうして悩むこともなかつたものを。

そんなわけで、ずつと「論語」は避けてきた。
授業ですこしやつたとは思ふが、あまり記憶にない。
「荘子」の内篇はまれに読み返すこともあるし、「孫子」は最近読み返したし、「韓非子」とかちよつと好きだけど、「論語」とか「孟子」とか、読んだことがなかつた。

それが、去年、なにを思つたか、「論語」を手に取ることがあつた。
食はず嫌ひはいけないかな、と思つた、といふのもある。

あと、以前から、「中庸」といふ考へに関しては、ちよつといいかも、と思つてゐた、といふこともあつた。

読んで、なんだかわかりづらいところも多かつたし、やつぱり納得できないところもあつたけれど、「結局、これつて、かうして生きれば人生楽に生きられますよ」といふことなんだな、と思ふに至つた。

「楽に」といつたら言ひ過ぎだらうか。
ここに書いてあることにしたがつて生きれば、家族や他人との軋轢を減らすことができますよ、人間関係でイヤな思ひをすることが減りますよ、と、さういふことなんだと思つたのだ。

「聖書」なんかにもさういふところがある。
十戒とかね。
唯一神のくだりなんかはちがふかもしれないが、殺人なんかしたら大変なことになつちやふし、隣のダンナさん奥さんと不義密通に及べば、そのときはいいかもしれないけれど、ご近所つきあひに支障が生じるし、なにより自分の伴侶と気まづくなる。こどもがゐれば、もつと気まづいだらう。嘘はよほどの記憶力がないとつきとほせないし、盗んだり隣の家のもちものをうらやんだりしても、なーんにもいいことない。
いづれも、そのときはいいかもしれない。
でも、結果はどうだらう。

さうしたことをすべてしてはならないつてことにして、しないことにすれば、人生だいぶ楽になる。
そのはずだ。

たぶん、宗教といふのは、さうした面をもつものなのだ。

そして、まあ、宗教といふにはどうかとも思ふが、孔子の教へといふのも、さうしたものなのだらう。

最近、学校で道徳を教へやうといふ動きがあるのらしい。
やつがれが小学生のころには道徳の授業といふのもあつたが、なにをしてゐたのか覚えてゐない。
確か、NHK教育TVの道徳教育用番組を見たり、まれに先生が道徳教育用なのだらう本を朗読してくれたり、その後に感想会のやうなものがあつたり、といつたおぼろげな記憶があるばかりである。
そこからなにか学んだか。
うーん、どうだらう。

道徳なんてのは学校で教へるものではなく、家庭でなんとかするものだらう、とも思ふ。
もし、どうしても学校で教へよといふのなら、「論語」の素読でもしたらどうか。
意味は教へない。
ただ聲に出して読むだけ。
どうしても、といふのなら、それでいい気がするがなあ。

問題は、これから学校で道徳教育をするとして、その教育を受けるこどもの親たちは、道徳に欠けたりするかもしれない、といふことである。

あ、だから家庭で教へられないのか。

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