ノート Dainel の使ひ道
ミドリのノートDainel (デネル)の使ひ道が突然決まつた。
Dainelは去年の暮れにたまたま手にしたノートである。
表紙はフランス生まれのレザーペーパー、中身は「MD(ミドリダイアリー)用紙」を用ゐてゐる。
サイズはA5とA6とあつて、やつがれはA6を買つた。
ほぼ日手帳のカヴァに一緒にはさんで使ふつもりだつた。
ところで、去年の四月に、突然漢詩マイブームがやつてきた。
人生で三度目くらゐの漢詩ブームである。
今回は案外長くて、細々と現在もつづいてゐる。
はじまりは武部利男の「白楽天詩集」だつた。
高校生のときにはじめて読んで、以来、をりにふれ手にとる本である。
白居易は、書いた詩を字も知らないやうな老婆に読んで聞かせ、わからないと云はれたところをなほしてゐたといふ。
武部利男の訳もまた、耳で聞いたときにわからぬことがすくないんぢやないかと思ふ。
基本的にやまとことばしか使はれてゐないからだ。
地名・人名がカタカナである以外は全部ひらがな。
しかも、ちやんとリズムがある。
この本に出会ふまでは、「白楽天なんて、平安時代のお貴族さま趣味の詩だろー?」くらゐに思つてゐた。あさはかだつたな。この本を読んで諷喩詩をいくつも読んで、「白居易、いいぢやん」とか、いまさらながらに思つた昔がなつかしい。
そこからはじまつて、わづかづつではあるが、「漢詩を読む」を読んだり、「書を学ぶ人のための唐詩入門」なんぞを読んだりしてきた。
さうすると、やつぱり気に入つた詩なんてのが出てきたりするんだよね。
好きな詩が出てくると、覚えたくなるのが人情といふもので。
覚えるにはどうするかといふと、音読したり書き写したりするのが一般的だらう。
といふわけで、気がつくとDainelは漢詩書き写し用ノートになつてゐた。
まづおほきさがいい。A6で、持ち歩きやすい。
製本状態もいい。ページを開いたときに180度開くので、書き込みやすい。
また、用紙がMD用紙といふことで、萬年筆で書いてもにぢみや裏抜けをほとんど心配しなくていい。
さらには、表紙のレザーペーパーの感触もいいし、中の用紙のクリーム色なのも気に入つてゐる。
これに、例によつて大橋堂のペンとかパイロットのフォルカンとかで漢字ばかりを書き写す。
いい。
これはいいねえ。
返り点などの必要な詩には、鉛筆でつけるやうにしてゐる。
とてもいい感じだ。
問題は、このノートになにか書き込むには、好きな漢詩に出会ひつづけねばならないこと、か。
まあ、まだ書きとめてゐない詩もたくさんあるので、あまり心配することもないのかもしれない。
来月には草森紳一の李賀の本が出るといふ話もあるし、ね。
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