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Wednesday, 23 January 2013

赤壁の戦ひを説明するには

三国志演義を知らない人に赤壁の戦ひの話をする場合、どうすればよいだらうか。

最近読んだ本のことでも書くか、と思つたが、考へてみたら今月読んだのつて、「三国志演義(2)」と「泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部」、あとは「白馬の騎士」だけなのだつた。

「白馬の騎士」は、なあ……もしかしたら、サトクリフは児童文学系の方がおもしろいのかも、といふ感じだつた。児童文学以外のサトクリフつて、これと「トリスタンとイズー」しか読んだことがないのでなんともいへないが。
あ、オリヴァー・クロムウェルの描写はおもしろかつた。

とはいへ三国志。
最近このことしか書いてない気がするんだが。
もつと云ふと、人形劇三国志のことばかりな気がするんだが。

「泣き虫弱虫諸葛孔明」はともかく、徳間文庫の「三国志演義」の方は、人形劇三国志の参考書としてひつぱり出してきたから、これもまたしかたのないことではある。
参考書として、必要なところだけ拾ひ読みするつもりが、気がついたら一巻を読み終はつてゐた。それで、「ああ、これはもう読むしかないな」と腹をくくつた、といふのは、こちらの都合である。

今回読んだ演義の二巻も「泣き虫弱虫諸葛孔明 第参部」も、どちらも赤壁の戦ひをfeatureした巻だ。

これまで、三国志演義について書くときには、読み手は一応知つてゐる、といふ前提で書いてゐる。
といふか、気がつくとさうなつてゐた。
これはいけないのではないか。
遅まきながら、さう思つた。

では、どうすればいいのか。

「後漢末に玄徳と関羽と張飛といふ三人の男が義兄弟になつてー、黄巾の乱つていふのを鎮圧しやうつていふ漢の軍に入ることにしてー」
といふところからはじめるか。

いやー、それはないだらう。
それやつたら、どこまでいつても終はらないつて。

「中国のさー、漢のあとに三国時代つてあるぢやん、あれのもとの話でさー、玄徳と曹操と孫堅とがゐてー」
といふ感じで物語の部分は端折るか。

それもありかな、とは思ふが、今回の場合はそこからはじめちやふとやつぱり延々と説明ばかりつづけないとどうしやうもなくなつてしまふ。

それではどうするか。

三国時代のことで、本邦で一番知られてゐることはなんだらう。
さう考へたときに思ひ浮かんだのは、
「卑弥呼が魏に遣ひを送つたこと、かな」
といふことだつた。

さうすると、かうなるだらうか。

「中国のさー、後漢の末に、赤壁の戦ひつてのがあつてさー、それつて、卑弥呼が魏に遣ひを送る三十年くらゐまへの話なんだよねー」

これだつたら、ちよつとは「へー、さうなんだ」つてことにならないかなあ。
ならないかな。
卑弥呼が魏に遣ひを送つたのつていつだよつてのがわかんないと、ダメか。
一応、238年(もしくは239年)と云はれてゐるんだが、そこまで云はないとダメかな。
ダメかも。

つてーか、赤壁の戦ひつて、曹叡んとこに卑弥呼の遣ひの来た、三十年まへの話なのか?

といふのが、結構おどろきだつた。

赤壁の戦ひといへば、三国志演義中最大の見せ場だ。
否が応でももりあがる展開になつてゐる。
映画だつて「レッドクリフ」だし。
でも、その三十年後には、負けた方の国(と、ここではしておかう)によその国から「よしなに」と使者が送られてきたわけだ。

三十年もあれば、それくらゐ世の中は変はつてるよ、といふ見方もできるが。
でも、「赤壁の戦ひ」だぜ。
あんなに大騒ぎして、これか?
大山鳴動して鼠一匹か?

といふわけで、やつぱり赤壁の戦ひつて、そんなたいしたことなかつたのかも、といふところに行きつくわけだが。

なんといふか、その、「実際はどうだつたのかよくわからない」といふのが、三国志演義の成立した所以なのではあるまいか。

たとへば、いはゆる「項羽と劉邦」の話だつて、三国志演義と遜色ないくらゐおもしろいと思ふんだよね。
実際、本邦でも小説になつたりまんが化されたりしてゐるし。
でも、なんていふか、「史記」で十分なんだよなあ。「項羽本紀」とか、ドラマチックと云つてもいい。そこになにかつけくはへたりとかしなくてもいいかなつて、さう思ふ。

三国志は、なー、部分的にしか読んだことないけど、それもだいぶ以前のことだけど、スカスカだからなあ。
そこに、あることないこと(或はないことないこと)つめこみたくなるのは、人情な気がする。

そんなわけで、尾ひれがついていくうちに三国志演義になり、さらに行間を埋めるのが好きな本邦の人間があれこれ創作した。
そんな流れなんぢやないかなあ。

まつたく赤壁の戦ひの説明になつてゐないが、まあ、世の中そんなもんだ。

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