ヴィデオテープならすりきれる
ヴィデオテープなら、のびてどうにもならないくらゐに見返してゐるのが、人形劇三国志のDVD第五巻である。
全部を見返す時間はさすがにないので、「巻き戻して」見たいところだけ見る。
くどいやうだが、一応説明しておくと、五巻は関羽の千里行からはじまつて官渡の戦ひを経て玄徳が檀溪を跳び越えるまで、である。
最初の関羽の千里行の話の途中に、張飛がひとりで山砦をしきつてゐる場面が出てくる。
いつか玄徳、関羽と再会したときのために、と、どこぞの砦を占拠して、そこらへんの村民だらう人々を捕まへてきて兵隊として鍛えたり、こつこつ整備してゐたりするわけだ。
張飛は道の普請なんかもしてゐる。
そんなときに、200人くらゐで守つてゐる砦をたつたひとりで奪つた輩がゐるとの部下の報告を受けて、張飛がいきり立つて砦に行く。
ここで趙雲登場といふことに相成るわけだが、この趙雲が實によくて、なあ。
張飛が砦に乗り込んでいくと、聲だけがする。
「あひかはらず早とちりだなあ、張飛翼徳」
これが、まづいい。
とりあへず砦を奪つて、ひとり横になつてゐたところに張飛がやつてきて、「あーあ」とばかりに起き上がつた。
聲だけでそんな感じがする。
このあとの物言ひも、普段の趙雲らしくないちよつと皮肉なやうすのところがたまらなくいい。
DVDを買ふて以来何度見返したかわからないが、まあ、今後も見返すね、ここは。
あと見返すところといつて、三兄弟再会の場面と、張飛が関羽に愚痴る場面、それと郭嘉咳き込むの場面。
よかつた、ヴィデオテープぢやなくて。
どれも一々説明したいのだが、まあ、今回はやめておく。
とりあへず、三兄弟再会と愚痴る張飛は、とにかく張飛が可愛い。そんな張飛を見る玄徳と関羽がアニキしてていい感じ。
咳き込む郭嘉は、その手前で、曹操と郭嘉がことばはないけどわかりあつてゐる、といふ感じがたまらない。郭嘉はその少し前から咳をするやうになつてゐるのだが、ここではじめて曹操が心配するんだな。
前回書いたが、現在手持は一、五、十二、十七巻。
順番でないのは、多分、八月に渋谷ヒカリエで人形劇三国志を見たのきつかけだと思ふ。
このとき、話と話の間隔がとんでゐることによつて、つづけて見てゐたらわからないことをいろいろ発見したからだ。
実際、今回も十二巻に出てくる魏延と十七巻に出てくるのとでは、なんかいろいろちがつておもしろい。十二巻の魏延はなんだかいい人度が高い。いや、いきなり十二巻から見たらやつぱりちよつと「ヤな奴」なのかもしれないが、十七巻の魏延の灰汁が強いからなあ。
あと、題字が一巻とその他とではかなりちがふ。五巻と十七巻でもちがふかな。
一巻だと、なんとなくにぢんだやうなところがあつて、それがまた味なんだけど、五巻くらゐになると線がだいぶほつそりしてきて、まあ、「洗練された」感じになつてゐる、といつてもいいかな。
ても一巻のときの字も味があつていいんだよなあ。
で、やはり関心事は、次に何巻を買ふかといふことだ。
いい加減赤壁の戦ひ、と思はないでもないが、呂布を見たいねえ、といふ気もする。
ま、いづれにしても下旬にならないと買はないとは思ふので、それまで悩むことにしたい。
« 来年の手帳 2013 | Main | ボタンがなければ編めばいいぢやない »
Comments