云ひ訳はしない
「云ひ訳しないぜ!」とばかりに昨日正式に開店した銀座伊東屋の別館K.ITOYA1904に行つてきた。
といつても、二階をちよこつと覗いたくらゐと、一階を見てまはつたくらゐだが。
K.ITOYA1904は六階まであつて、六階は地球儀の階なのださうで、そのうちゆつくりと巡つてみたい。
一階と二階は、萬年筆を扱ふ階である。
二階は、ちらつと覗いただけ。限定萬年筆など高価なものをおいてゐるのらしいが、内装がどこぞの豪邸の立派な応接間のやうで、踏み込むのをちよつとためらつてしまつた。
覚悟を決めて、今度あらためて挑戦してみたい。
一階は本館の中二階のやうな感じ、と云へばいいだらうか。
左右に萬年筆を入れたケースが並んでゐて壮観。入り口に面してモンブランのケースがある。
左右で国産・舶来とわかれてゐるわけではないやうだが、向かつて右側は国産が多かつたやうに思ふ。スティピュラとかクロスとかの萬年筆も置かれてゐたけれど。
雨の水曜の夜のためか、店内に客の姿はまばら。
一昨日プレオープンもあつたといふことだし、もう喧噪はとつくの昔に去つたあとだつたのだらう。
今回は、実はデルタのブルーのインキとラミーのターコイズのインキカートリッジを買つて帰らうかな、とも思つてゐたが。
店の向かつて右側奥にあるインキの棚は、既に隙間の目立つくらゐな状態だつた。
インキの棚の向かひ側に革小物が置かれてゐる。
どうしやうかしばし考へたが、前回本館の中二階で試し書きをして気に入つた、パイロットのキャップレスデシモの極細を買はうと決めた。
書くまでもないことかと思ふが、キャップレスはその名のとほり、キャップのない萬年筆である。多くはノック式で、中には繰り出し式のモデルもある。
デシモはノック式で、ほかのキャップレスよりちよつと軸が細い。最近軸の色が増えて、華やかになつた。軸の色が増えるのにあはせたのだらう、これまで細字・中細字・太字だつたペン先に極細が増えた。
細字のキャップレスデシモを所有してゐるが、これがすこぶる実用的である。
ノック式だから使ひたいときにさつと使へる。キャップをまはして尻軸にさして、とかやらなくていい。使はなくなつたらこれまたさつとノックすればペン先がひつこむ。
極細があつたらなあ。
ずつとさう思つてゐた。
外出先、主に職場で、手帳に書き込むのに、極細があつたらとつてもいいのに。
さう思つてゐたら、出てたんだね、いつのまにか。
軸の色はヴァイオレットにしたつもり。
なのだが、店員さんは「限定色」と云ふてゐたので、ちがふかもしれない。
実際はもつとピンクよりの色である。
これと、まちつと青よりの紫の軸と、悩んだのだが、こちらの方が発色がよかつた。
パイロットのブルーのインキカートリッジを入れてみた。
カートリッジにしたのは、これも出先でインキが切れたときに即補充できるやうに、と考へてだ。
最近よく使ふ萬年筆はみな吸入式かコンヴァータ使用かなのだが、それだと出先でインキ切れしたときにどうにもならないんだよね。
カートリッジはチトお高くつくが、まあ、一本くらゐはさうしたペンがあつてもいいだらう。
以前、やつがれにはやはらかいペン先が向いてゐる、と書いた。
デシモの極細は、かなりかたいペン先である。
これは以前試し書きしたときもさう思つた。
だが、夕べ試し書きさせてもらつたペン先は、いい具合にやはらかくなつてゐた。
多分、大勢の客が試し書きした結果、さうなつたのだらう。
育てればやはらかくなるはずだ。
なので、がんがん書いていくつもり。
今のところ、このペンは来年のほぼ日手帳と一緒に使ふ予定だ。
それまでにちつと使ひ込んでおくかな。
一定の金額以上買物をすると、こんなハンカチーフをもらへるのらしい。
在庫限り(?)なのださうなので、ご興味のある向きにはお早めに。
伊東屋は本館も建て直しの計画があるといふ。
さうしたらこちらだけ営業する期間もあるといふことかな。
いづれにしても、未踏の三階以上に、近いうちに行かなければ。
« 云ひ訳の多い人生を送つてまゐりました | Main | ノートとペンの相性 »
Comments