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Friday, 26 October 2012

幼稚園のときに同志がゐたら

幼稚園のころ、「牛若丸と弁慶」といふ本がお気に入りだつた。
といふ話は、以前何度か書いた。
「牛若丸と弁慶」はいはゆるオムニバスこどもむけ歴史小説で、一番最初に「牛若丸と弁慶」があつて、あとは倶利伽羅峠の戦ひとか富士川の戦ひ、いけづきするすみの宇治川の先陣争ひ、鵯越のさかおとし、熊谷と敦盛、八艘跳び、しづやしづ、と、まあ、ここまではいいとして、このあと三つの鉢の木、日蓮のかんたんな伝記、元寇とつづくのが今思ふとふしぎな本だ。まるで、「成吉思汗は義経」とでも云ひたいやうな感じぢやあないか。
#さう、やつがれにとつて宇治川の戦ひは、佐々木高綱と梶原景季ぢやなくて、いけづきとするすみなのである。

やつがれの源平熱は、小学校3年生のときにこども向け「平家物語」を読んでひとまづおさまる。その後はほとんど思ひ出すこともなかつた。
自分で稼げるやうになつて、歌舞伎を見るやうになるまでは。

幼稚園のころ、と書いたが、実際は通ふ前から読んでゐた。
家族の引越しの都合と、こどもが多過ぎたことから、入園が遅れたからだ。

もし、幼稚園に、同好の士がゐたら。
最近そんなことを考へる。

もし、同じクラスに「牛若丸と弁慶、いいよね」とか、もつと云ふと、「宇治川の先陣争ひ、いいよね」とか「敦盛、泣けるよね」とかいふやうな子がゐたら。
もつと源平熱がたかまつてゐただらうか。

たかまつてゐただらうな。
こどものことだから、読んでる本もちがつたりして、そこで意見がわかれたりとかね。
あるいはお互ひに本を貸しあつたりとか。

……そんな幼稚園児はゐない?
今のやつがれだつたらさう思ふ。
でも、自分が園児だつたころのことを考へると、あながちさうとも云へないと思ふんだよなあ。

最近、大河ドラマを見てゐて、「ああ、やはり知らないことが多いなあ」と思ふ。
小学生のときの知識でとまつてるから、細かいこととか物語には出て来ない歴史的な背景とかを知らなかつたりするんだよね。
ここは改めて「平家物語」とか読んでみるべきなんだらうかなあ、と思つたりしてゐる。

今月は、御園座に六代目中村勘九郎襲名披露公演を見に行つてきた。
夜の部は源平づくしだ。「鬼一法眼三略巻」から「菊畑」、口上をはさんで「義経千本桜」から「吉野山」と「川連法眼館」。
「吉野山」で実ハ狐の佐藤忠信が、兄・継信の最期を物語る場面がある。
懐かしいなあ。ここ、本では挿絵がついてゐたんだよ。
みづからをかばつてたふれた継信を、義経が抱きかかへ、それをその他郎党が取りかこんでゐる。
これは多分「源義経」といふ伝記めいた本だつたと思ふ。

熊谷と敦盛とかはもつと大人向きな挿絵だつた。倶利伽羅峠も。
白黒で、でも忘れられない。

さうだな、やはり、読むか。読むしかないか。
「平家物語」を。

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