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Monday, 10 September 2012

好きなことについて書く

ここのところ、ふしぎとちよつと気分が上向きである。
実は、先日ながいことその更新を楽しみにしてきたWebサイトが今月いつぱいで閉鎖するといふ話を聞き、一度は上向いた気分も急降下してしまつたのだが。
でも、そんなことがあつたにも関はらず、なんとなく躁状態だ。
常であれば、がつくり落ち込んで暗く沈んだ気分のまま過ごしてゐるはずだ。
実際、サイトの閉鎖を知つたあとしばらくは、それまでの浮かれた気分が嘘のやうにどんよりとイヤなことばかり思ひ出してゐた。

なぜ浮かれた気分なのか。

きつかけは、先月渋谷ヒカリエに行つて「人形劇三国志」の上映会を見てきたことにある、と思つてゐる。
このときも、見に行つて「なんだか前向きな気持ちになつて帰つてきた」と書いてゐる。

おもしろかつたんだよね。
久しぶりに見る人形劇はとてもおもしろかつた。
全68話の中からとくにいい回を選んで上映してゐたのだから、おもしろくないはずもない。

あんまりよかつたもんだから、このblogをはじめ、あちこちにおんなじやうなことを何度か書いた。
ここのblogのエントリは朝書いてゐるのだが、上記リンク先のエントリを書いたあと、気分の昂揚したまま出勤したのを覚えてゐる。

先週は、水曜日あたりからちよつと仕事が落ち着いてゐる。
有り体に云ふと「社内失業者」に近い状態とも云へる。
社内で引越しをしなければならないので、その準備が必要だから、といふのもある。

そんなわけで、ちよつと休まうなんていふので、好き勝手なことを書き散らす時間なんてのもあつた。
唐突に、「九段の母」のことを書きたくなつて書いた。ここのblogでもかつて書いたやうな内容だ。
「九段の母」のことを書いたら、「岸壁の母」のことも書きたくなつた。
つづいて、なぜか「それは秘密です!!」について思ひ出したので、それも書いた。

なんだらう、この、妙に浮かれた気分は。
「九段の母」と「岸壁の母」については、まあ好きだが、「それは秘密です!!」は、そんなに好きなわけではない。むしろ、こどものころは好きではなかつた。最後の視聴者が出てきて家族の探索を依頼する、あのコーナーがどうにも意味不明だつたからだ。全然「秘密」でもなんでもないぢやん、と思つてゐた。

でも、「それは秘密です!!」についてはずつと気になつてゐたことがある。
それを書いた。

いやー、なんだか、すつきりしてねえ。
多分、今のこの浮かれた気分は、「九段の母」「岸壁の母」「それは秘密です!!」について思ふ存分書いた、その爽快感とつながつてゐる。

以前、中野翠が、「自分のことを書くより自分の好きなことを書いた方が性に合つてゐる」といふやうなことを書いてゐたことがある。
たしか、林真理子との比較でそんなことを書いてゐたやうに思ふ。
「自分のことではなくて自分の好きなことを書く」つてのはこんな感じなのかな。

James W. Pennebaker によると、イヤな経験は書いて文章にしてしまふといいのださうだ。
書くだけで、だいぶ気分がよくなる、といふ。
「そんなものかな」と実際に書いてみると、これがなんともイヤな気分になる。
思ひ出してしまふのだ。あのときのイヤな気分を。もうこれがありありと蘇つてくるし、なんで自分はあのときああしなかつたのだらうと後悔の念も生じる。

人によるんだらうな。
やつがれは、やつがれの気になること、好きなことを書き散らした方が浮かれた気分になるのらしい。

この年になつて今更わかるなんてなあ、とも思ふが、とりあへずいい手を知つた。
今後も活用してみやう。

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