「営業部より資料が多めに配布されました」
ところで、ビジネス文書に文語または文語的用法を用ゐてもいい、といふことにして、だ。
こちらで例として使用した「より」と「にて」はなるべく避けるべきだと思つてゐる。
「より」の場合は、比較の意味で用ゐることもあるから、だ。
うつかりすると、こんな文章を書いてしまつたりする。
「営業部より資料が多めに配布された」
え、こんな文章は書かない?
でも、案外あるものだと思ふ。あひだに「何を」に対する修飾がいろいろ入ると、わからなくなつちやふんだな、きつと。
これだと、「営業部から」配布されたのか「営業部よりも」多めに配布されたのか、さつぱりわからない。
もつと微妙な場合もある。
「そんな、わかんないと思ふことはないよ」
と、云はれたりもするが、読んでゐて一瞬「ん?」と首を傾げることも少なくない。
「から」で意味が確定するんだから、「から」を使ふべき。
個人的にさう思つてゐる。
「にて」の場合は、冗長になるのと、意味が曖昧になるから。
「会議室にて行ひます」よりも「会議室で行ひます」の方が一文字のこととはいへ短くて簡潔だ。
この例文は短いからいいけど、長い文章の中で何度も何度も「にて」「にて」とつづくとうんざりする。
また、「この作業は当社にて行ひます」といふのはなんだか曖昧な表現に感じられる。
「この作業は当社が行ひます」となぜ云へない。
責任を回避したいのか。
そんな気がする。
まあ、実際ははつきり「誰某が」と云ひきれないことはあるとは思ふ。
たとへば、ある作業は隣の部の担当だけど、実際にはさらに委託してやつてもらつてるらしいんだよね、なんてな場合だ。このときに「この作業は隣の部が行ひます」とは云ひづらい。「この作業は隣の部が担当します」も、正しいのかもしれないけど、ちよつと躊躇してしまふ。
ここは「この作業は隣の部にて担当します」。多分、さう云つちやふなあ。
などと、偉さうに書いてゐるが、やつがれは別段国語学者といふわけぢやないし、専門の教育を受けたわけでもない。
日々職場でメールや書類を見るとはなしに見てゐるだけだ。
でもなあ、「より」と「にて」はちよつと気になるんだよなあ。
まあ、自分ひとりが気をつけてゐればいいことなのだらう。多分。
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