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Tuesday, 05 June 2012

「文芸漫談 笑うブンガク入門」を読む

楽しく読んだ「文芸漫談 笑うブンガク入門」。

なにが楽しかつたつて……まあ、あちこちにいろいろ呟いてはゐるんだけど、ひとつは、奥泉光の同級生が「赤頭巾ちやん気をつけて」を読んで、「オレのことが書いてある!」とか云ひ出すところ。
本書にも書いてあるが、「赤頭巾ちやん気をつけて」は、高級官僚を父に持ち都心に済む日比谷高校生が主人公の物語である。東京大学にもたいして苦もなく入学できるやうな学力をそなへ、おうちにはお手伝ひさんがゐて、かはいい彼女もゐる。
奥泉光の同級生といふのは、埼玉県に住んでゐて、おうちは確か工場かなんかで、窓ガラスに絆創膏がはつてあるやうな、さういふおうちの子だといふ。

「オレのことが書いてある」?
いやいや、それはないだらう。

いとうせいこうも、さういふ読み方をしたことはないと云ふてゐる。
やつがれもまた、本を読んでゐて「これ、やつがれのことだ!」と思つたことはない。
つい最近、「桑潟幸一准教授のスタイリッシュな生活」を読んで、主人公クワコーこと桑潟光一のダメダメつぷりが自分のダメダメさ加減とoverlapして、ひどく落ち込んだことがあつたけれど、でもだからといつて、クワコー=やつがれ、とは思はなかつた。クワコー≒やつがれ、とさへ思ひはしなかつた。

さういふ読み方の是非といふのはあるのかもしれないが、なんだか、ひどくうらやましくなつてしまつた。一度でいいからさういふ読み方をしてみたいなあ。一度でいいけど。

一応、小説の主人公=作者、とは思はないやうにして読んでゐるし、「ここに書いてあることは、虚構」と思ふこともなく心のどこかでさう思つてゐるんだけど、さういふ読み方つて、正しいかもしれないけど、ちよつとつまらないのかもしれない。

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