手袋だもの
やつがれは「ニッター」ではない。
あみものはするが、「ニッター」の名に値しない。
さもなければこんな手袋で満足するわけがないからだ。
「ニッター」だつたら當然編みなほして然るべき左右の大きさのちがひを、やつがれは頓着しない。かういふものとして受け入れてしまふ。否、「しまふ」のではなく、何の疑問も抱かずにみとめてゐるのだ。
こんな「ニッター」が在存するわけがない。
あみもの主体のblogをやめて正解だつた。
さて、この手袋は嶋田俊之の新刊「手編みのてふくろ」に掲載されてゐるものである。本ではパピーのNew 4 Plyを指定してゐる。やつがれは残り少なくなつた手持のイエガーマッチメイカーメリノ4 Plyで編んだ。針は指定の1号。
イエガーのマッチメイカーは、4 Plyもダブルニッティング(DK)も見つけるたびに財布のゆるすかぎり購入してきた。DKはまだあるが、4 Plyはもう残り数玉といつたところだ。毛羽立ちの加減といい、編みやすさといい、編んだあとのよさといい、我がイデアの毛糸を具現化したやうな毛糸だ。
ゆゑに、長く使ふだらうやうなものを編みたかつた。
だつたら編みなほせよ、といふ話もあつて當然だが、編みなほす心の余裕がなかつた。
最初に右手を編んだ。カフの部分はよかつたのだが、手に入つて氣がついたら大きくなつてゐた。掌側のメリヤス編みがゆるめだつたのだろう。
どちらかといふと、編地は「てろん」とした感じでゆるめのゲージの方が好きなのだが、手袋にはきつちりした編地の方がよからう。
指を少しきつめに編んでみたらいい感じだつたので、左手はそのテンションにあはせて編んでみた。針の大きさはかへてゐない。
くつ下はいくら編んでも容易には見てもらへない。その点、手袋なら見せびらかしやすからうとは思ふのだが、如何せん、手袋は一対あれば事足りる。ふだん着用とおしやれ着用と対ずつあれば十分過ぎるくらゐだ。
くつ下は最低でも一日に一度は取り替へる。数があつてもこまらない。
それに、見せびらかせるやうなものを編めてゐるわけでもないしな。
などと云ひつつここのところ毎年一対は手袋を編んでゐる。
編みはじめるとかならずといつていいほど指を編んだあとの糸始末に泣くことになる。
次は「編みものこもの」からミトンでも編んでみるか。
……だからそんなにたくさん必要ないんだつてば。
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