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Wednesday, 30 November 2011

「武器としての決断思考」を読む

ディベートとはなにか。
どういふものでどう活かしていけばいいのか。
武器としての決断思考」で述べられてゐるのはさうしたことである。

ディベートで用ゐる手法を普段の生活に取り入れる。そしてそれを「武器」として生き抜いていけ。
さういふ本である。

読者は「武器」を得ることはできるかもしれない。
しかし、使ひ方や使ふにふさはしい時と場所については、当然のことながら自分で考へる必要がある。

そもそも「武器」とはなにか。
武器とは、敵に対して用ゐるものである。
味方には使はない。
著者はさういふ考へ方はしないのらしい。さうでなければ、

その人がどう思うかなんてことはまったく関係なく、その行動によるメリットとデメリットをちゃんと比較して結論を導き出してあげることが実は本当の親切なのですが、なかなか理解されずにいつも私自身こまっています……。(P 102)

などとは云はないはずだからだ。
この一文の前段には、女の人からの相談に対して論理的に答へるとドン引きされることがある、と述べられてゐる。かういふ場合は相手にはすでに結論が出てゐる、とも書いてある。
よく云はれることだが、かういふとき、相手はこちらのapprovalを求めてゐることが多い。すなはちこちらを味方だと思つて相談を持ちかけてくるのだ。そんな相手に「武器」を使つたら、ドン引きされて当然だし、「この人、今まで味方だと思つてたのに……」と思はれて、要らぬ敵を増やす結果になりかねない。
無論、そんな論理的思考を欠いたやうな味方は御免かうむる、といふのなら話は別だが。

「武器」の使用には細心の注意を要する。
本書になにかおぎなふことがあるとすれば、このことだらう。
著者もわかつてゐるらしく、

ぜひ、相手にナメられてください。(P 208)

とか、
バカをよそおって、知らないフリをして、話全体を自分の知りたい方向性に持っていくのが、優秀なディベーターの条件になります。(P 208)

とか、書いてはゐる。
おそらく、敵にこちらの武器をさとられるなよ、といふことだらう。

ことほど斯様に「武器」の扱ひはむづかしい。
それでもこの「武器」が魅力的なことは、世の中に数多ある武器とかはらない。
是が非にも手に入れたい。そして二度と手離したくない。
武器とはさうしたものだらう。

Sunday, 20 November 2011

中村屋の復帰に寄せて

復帰後の中村勘三郎を見る前に書いておく。

勘九郎(当時)の限界を感じたのは、「かさね」を見たときのことだ。勘九郎のかさねに、富十郎の与右衛門だつた。
面相がかはり、足をひきずつて歩くかさねに、客席から笑ひがおこつた。
もちろん、笑ふ場面ではない。かういふ場合、悪落ちしても、すぐおさまるものである。
このときはちがつた。
かさねが歩くたびに笑ひ聲がする。
大きくなることこそあれ、やむ氣配はない。

客は、かさねを踊る勘九郎を見に来てゐるわけではない。
愛嬌者の勘九郎が何かおもしろいことをやつてゐる、それを見に来てゐるのだ。

勘九郎自身も当然そのことに氣がついてゐたらう。
二十代のころだろうか、TVドラマで福沢諭吉を演じて人氣をとつたことがある。自分のまはりにも、「勘九郎の諭吉、いいね」といふ人がゐた。歌舞伎などとくに見ない人である。
勘九郎は、TVで諭吉を見て興味を持つた人にも歌舞伎を見に来てもらひたい、諭吉は初めての外国で見るもの聞くものなんでも新しくてどきどきわくわくしてゐるやうな役だつたけど、さうではない自分も見てほしい、といふやうなことを語つたことがある。
TVでの自分と舞台上の自分とのちがひを、客が受けとめられるのかどうか、そこはかとない不安を感じてゐたのだと思ふ。

近年の勘三郎は、さうしたちがひを受けとめてもらふことをあきらめてしまつたやうに見える。
演じる役の幅も、先代と比べてしまふからかもしれないが、こちらの期待するほどには広がつてゐない。コクーン歌舞伎や平成中村座の座組ではできる役にもかぎりがある。

勘三郎は、もうこのままなんだらうな。
失礼は重々承知の上だが、さう思つてゐた。

その勘三郎が病を得て降番したのが今年のはじめのこと。
その後復帰した姿を見てはゐないが、しかし、webなどで見てきた人の感想を読んでゐると、「もしか
したら、かはつてゐるかもしれない」といふ期待が、わきあがつてくるのを感じる。
客席への迎合が控へめになつてゐるんぢやないか。
つい、そんな夢を見てしまふ。

とりあへず、今月は楽近くに平成中村座に行く予定である。
いつになく楽しみで仕方がない。

Saturday, 12 November 2011

冬にそなへてカーディガン

ここ5年ばかりくつ下や帽子、マフラーといつたこものしか編んでこなかつたやつがれだが、突然、大物を編みたくなつた。

カーディガン。

ムリだろ、と思ひつつ、毛糸を買ひそろへて、編みはじめたのが、10月2日のことである。

ものは「着こなし上手のニットのふだん着」の2wayカーディガン。指定糸はハマナカのエクシードウールFL。やつがれはパピーのプリンセスアニーで編むことにした。523が実にいい色で、一度は何か編んでみたいと思つてゐたからである。灰色がかつた紺色とでも云はうか。渋いけど渋すぎない、そんな色だ。

Crochet Cardigan

これを編みはじめる前は、パピーのシェットランドでアフガン編みをしてゐた。シェットランドは撚りが強くて大変編みやすかつた。プリンセスアニーもいい糸だけど、どうかなあと思つてゐたが、杞憂だつた。手ざはりもいいし、編みやすい。おかげで編むのが苦になることはなかつた。

完成できたのは、毛糸がよかつたことと、もうひとつは、好きな模様だつた、といふのが大きい。
このカーディガンの模様は、いはゆるシェル柄のヴァリエーションだ。シェル柄、好きでね。単純な模様だけど、編んでゐて飽きない。あ、やつがれは、ね。編んでゐて飽きるやうだとつづかないと思ふんだよね。
今回の至上命題は、「とにかく完成させること」だつたので、毛糸の選択、編むものの選択は正しかつたと思ふ。

もうひとつ、肝心な点を忘れてゐた。それは、編みあがると同時にできあがる、といふこと。すなはちとぢはぎなし。両方の前身ごろと襟をつづけて編むので一段が長く、端糸のあつかひには困つたが、とぢはぎに比ぶれば、ねぇ。断然マシである。

端糸といへば、今回20玉使つたことと、途中結び目が多かつたこともあつて、編みおへたあと端糸の始末に苦労した。1時間半くらゐかかつてしまつた。かういふときには250gとまではいはないが、せめて100g巻のかせか玉がほしいねぇ。時代とは逆行してるやうな氣がするけど。

できあがつて、外に着ていくかどうか、ちよつと悩むところである。マフラーとか帽子とかはよくても、着るものはダメつてのも不思議だが、まあ、なんだな、やつぱりどこかにてれがあるんだらう。
また、ちやうどよい具合に、とでも云はうか、編みあがつたとたん、あたたかい日がつづいて着る機会がなかつた。

そんなわけで、もつぱら家の中で着てゐる。寝起きや寝るまでの冷える時間帯にとても重宝してゐる。毛100%つていいねえ。ぽかぽかするほどではないが、ほんのりぢんはりとあたたかい。襟は折り返しになつてゐるので、首まはりもあたたまる。袖口が広いので棒針がひつかかることもあるが、ま、そこは「さうなるだらう」と思つてゐたので、あまり問題視してはゐない。

この本からはこれで三作め、手提げも入れると四作めだ。近年めづらしいことである。一冊の本からこんなにたくさん編んだのは、メビウス編みの本以来かなぁ。
しかも指定糸を使つてゐないんだよね。手提げは指定糸だけど、編み図どほり編んだわけぢやないからな。あれはアフガン編みをしたくて編んだものだ。

それにしても、これを着て外出することがあるだらうか。
さて。

Sunday, 06 November 2011

「モレスキン 人生を入れる61の使い方」を読む

「モレスキン 人生を入れる61の使い方」を読んだのは、もうだいぶ前の話だ。
発売されてまもなくのことだから、2カ月ほど前のことになる。
当時、自分の感想を公開するほどのことはないと思つた。
発売直後からあちこちのサイトやblogで紹介されてゐたし、特にこれといつた感想もないと思つてゐたからだ。

突然書く氣になつたのは、Amazonのブックレヴューを読んだからかもしれない。
巷での反応に比べて、評価が低い。
それが氣になつた。

一読した感想は、「overwhelmed」だつた。
「Too much」と云つてもいいかもしれない。
「Too much」なら、おそらくは著者の目指したところからさう遠くはないだらう。
氣分が前向きのときに読めば、その「過剰さ」に元氣づけられたり、自分もやつてみやう!」といふ氣になつたりするのではあるまいか。
落ち込んでゐるときはどうだらう。
「モレスキンとやらいふ文具を使ひこなすには、これだけのことをせねばならないのか」
さう思つて天をあふぎ、うつむいて深く嘆息するのではなからうか。

「ほぼ日手帳公式ガイドブック」には、そこまで読むものを追ひつめるやうなところがない。使ひこんでゐる人は使ひこんでゐるけれど、もつとゆるい感じで使つてもまつたくかまはない。さういふ「あそび」の雰囲気がある。

「モレスキン 人生を入れる61の使い方」には「あそび」がない。全編ぎつしりモレスキンへの愛にあふれてゐて、それは勿論とてもすばらしいことなのだけれども、その「愛」を理解できない人、共有してゐない人には、「Too much」といふ印象を与へてはふのではないだらうか。
「モレスキンつて、氣軽に使へるものぢやないんだね」
さういふ感想を抱く人もゐるだらう。
まあ、モレスキンの金額からいつて、「氣軽に」使へるやうなものではない、といふ話もあるわけだが。

「モレスキン 人生を入れる61の使い方」は、すでにモレスキンもしくは他手帳を自分なりに使ひこんでゐる人、モレスキンに深い愛情を抱いてゐる人に向けた本かと思ふ。
かるい氣持ちで、「ひとつモレスキンとやらを使つてみやうか」と思つて手にとつた人には注意が必要だ。
たまたま自分の趣味や用途にあつた使ひ方に出会へればラッキーだが、さうでなければ「やはりモールスキンなんて、自分には過ぎたものなのかも」とがつくり落ち込まないともかぎらない。
「人生」を入れるんだから、さう気軽になんかいかないのだ。

ちなみに、やつがれはPeanutsのウィークリーダイアリーを買つた。本に出てゐたイタリア語を学んでゐる人の使ひ方を参考にしやうと思つたからだ。
日付はあはないけれど、10月はじまりのNHKラジオ講座をもとに手帳の使用を開始してゐる。

Tuesday, 01 November 2011

10月の読書メーター


読んだ本の数:7冊
読んだページ数:1842ページ
ナイス数:5ナイス

ニセ夫婦漫才~笑いひと筋23年信頼のラジオビバリー昼ズ~ニセ夫婦漫才~笑いひと筋23年信頼のラジオビバリー昼ズ~
最初のうちはもつたいないからとちびつとづつ読んでゐたのだが、気がついたら一気呵成に読み終はつてゐた。ラジオビバリー昼ズはもちろん木曜日が一番好き。あとがきで清水ミチコが「高田文夫に対して態度が悪い」といふやうな指摘をたびたび受けてゐるといふやうなことを書いてゐるが、そんなこと全然感じたことないけどなあ。互ひに互ひをみとめあつてないと、ああはならないと思ふ。木曜ビバリーは高田文夫と清水ミチコのかみあはなさが最高だ。Podcastで聞いたものも多く、テンポよい会話が脳内に蘇ることしばし。読みなおすね、絶対。
読了日:10月03日 著者:高田 文夫:清水 ミチコ
たった一度の人生を記録しなさい  自分を整理・再発見するライフログ入門たった一度の人生を記録しなさい 自分を整理・再発見するライフログ入門
記録はいろいろとつてゐるけれど、その使ひ道はといふと、特にあるわけではない。なにか参考になるかと思つたが、うーん、自分が書きとめたいことと「ライフログ」とはちがふのかも。時折記録を取らずにゐられない自分にoverwhelmedなので、それをふせぐ方法があればなー、と、思つたのだが。やはり題名の「〜しなさい」に抵抗があるのかな。あるのかも。
読了日:10月04日 著者:五藤隆介
Zの悲劇 (角川文庫)Zの悲劇 (角川文庫)
エラリー・クイーン(バーナビー・ロス)は、若人を描くのが苦手なんぢやないか。ペイシェンス・サムは「女エラリー・クイーン」と呼びたいくらゐ鼻持ちならなくてイヤな登場人物だ。ドルリー・レーンがゐなかつたら読み終へられたかどうかあやしい。論理的にはすばらしいのかもしれないけれども、犯人は記憶に残らない。きつと再読するころには誰が犯人だつたか忘れてゐるだらう。再読のすすめといふ意味では正しいのかもしれない。新訳といふことで、読みやすい。
読了日:10月06日 著者:エラリー・クイーン
老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))老ヴォールの惑星 (次世代型作家のリアル・フィクション ハヤカワ文庫 JA (809))
世界はとてもすてきだと思ふのに、つぶやきもしたが「ものかは」とか「おっとり刀」とか「ごぼう抜き」とかいふ表現に引つかかつて現実に呼び戻されることしばし。最初の二つはともかく「ごぼう抜き」はなんとかならなかつたのか。編集者の怠慢か。といふわけで、さういふのがほぼなかつた表題作と「漂った男」がよかつた。もつたいない。ほんとにもつたいない。
読了日:10月12日 著者:小川 一水
レーン最後の事件 (角川文庫)レーン最後の事件 (角川文庫)
ほんたうにペイシェンスがドルリー・レーンの跡継ぎなのだつたら、かういふ結末にはならなかつたんぢやないかなあ。
読了日:10月18日 著者:エラリー・クイーン
ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)ビジネスマンのための「行動観察」入門 (講談社現代新書)
行動観察とは、についてはともかく、著者が行動観察を行ふ上で得た知見などがとてもおもしろかつた。ワーキングマザーの話には涙を禁じ得ないし、営業マンの話には参考にしたい点が多かつた。
読了日:10月25日 著者:松波 晴人
一流の習慣術  イチローとマー君が実践する「自分力」の育て方 (ソフトバンク新書)一流の習慣術  イチローとマー君が実践する「自分力」の育て方 (ソフトバンク新書)
読了日:10月31日 著者:奥村 幸治

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