「ビジネスマンのための「行動観察」入門」を読む
家に帰りつくと床に座り込んでしまひ、「家事をしなきや」とつぶやきつづける。
昼食から一時間もたつてゐないのにファーストフードを食べたいと云ひ出すこどものことばのままにつれて行く。
新聞の折込チラシは見ずに捨て、各店舗できまつた安売りの日に買物をする。
家事をこなし乍らビールを飲む。
疲れ果てて転寝してゐると、遅く帰宅した夫から「なに居眠りなんかしてるんだ」と怒られる。
ワーキングマザーの現状には涙を禁じ得ない。
顧客の家でごく親しい友人のやうに迎へ入れられる営業マンもゐれば、「あんたはまだまだだな」と云はれてしまふ営業マンもゐる。
無駄な作業の多いことを指摘された一流シェフが、数週間のあひだに指摘事項をもとに自分の仕事を見事に改善する。
五千人のお客の会社、名前、車、そのナンバーを覚えてゐるホテルマンの記憶術の謎。
普段目にする事象もある。
しかし、普通はそれに気づかない。
ワーキングマザーの例で云へば、一緒に暮らしてゐてもまつたく気づいてゐない夫も多いことだらう。
「ビジネスマンのための「行動観察」入門」は、「行動観察」とは、といふ点については書名のとほり、「入門」の域を出ない。
正直云つて、期待はづれだといふ人もゐるだらう。
しかし、著者が行動観察をとほして見てとつたことは、いづれもまことに興味深い。日々の生活の役に立つことも多からう。
上記一流シェフのやうに、自分もまたこの本から得たことを取り入れていけたらいいなあ。
しかし、著者も書いてゐるとほり、「人間は楽をしたがる」からむづかしいかなあ。
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