今月の芝居 コクーン歌舞伎 盟三五大切
六月二十二日の昼の部を見てきた。
座席は二階のBL。下手の袖である。舞台の下手側半分くらゐはほぼ見えないし、本来花道のあるあたりもまつたく見えない。
さういふ不自由な席だつた。
結論から云ふと、「なんでめでたしめでたしぢやいけないの?」だ。
薩摩源五兵衛実ハ不破和右衛門は、無事義士に加はることを許される。
めでたしめでたし。
それのどこがいけない?
つぶやきもしたが、南北の、江戸歌舞伎の真髄は「おもしろいことおもしろいこと」だ。
それを悲劇に貶めるなんて、冗談はよしてくれよ、である。
シンとなる三人はとてもよかつたんだけれどもね。
幕開き直後、三五郎のセリフが勘太郎とは思へぬほど緩急に欠けて退屈で、菊之助の小万とまつたく息があつてをらず、ものすごく不安になつたけれど、多分「ん?」と思つたのはその部分くらゐだつたと思ふ。
菊之助は、貫禄があつてよかつた。
橋之助もいつにないよさがあつた。惜しむらくは二月に同じ役を片岡仁左衛門で見てゐたことか。特にセリフに関して云ふと、松嶋屋と成駒屋では比ぶべくもない。
笹野高史はいつも「これでなくては」といふ役で出てくると思ふのだが、今回はまつたくさういふ感じがなくて残念。
八右衛門役の国生は、たれがこれでOKを出したのだらう。本人はいろいろやる気はあるのかもしれないが、全体的に子役めいた部分が残つてゐて興醒めだつた。年齢的にいつても、コクーン歌舞伎といふことを考へても、子役から脱却した方がよかつたのにと思ふ。
コクーン歌舞伎は、スーパー歌舞伎と同じや右なもので、「歌舞伎」と名乗りつつも「歌舞伎」ではないのかもしない。
そんな気のする秋のゆふぐれ。
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