2010年の読書メーター
読んだ本の数:38冊
読んだページ数:11199ページ
おみごと手帖
高校生のころから好きで読んでゐる中野翠。しかしここ数年、年末に出版される本の内容にはうなづけない部分が多い。おそらく中野翠も自分も変はりつつあるといふことだらう。でもやつぱり「うんうん」とうなづいてしまふ点も多い。今回一番「さうさう!」と思つたのは「私は万事に半信半疑だなあ。信じ切ることも疑い抜くこともできない。」といふくだり。
読了日:01月01日 著者:中野 翠
人に聞けない大人の言葉づかい (中経の文庫)
書いてあることはもつともだし、云ひたいことはわかるけど、でも、それはもう今云つても手遅れなんでは、といふことも多い。「よろしかったですか」を否定的にとらへてゐないのにはちよつと驚いた。
読了日:01月12日 著者:外山 滋比古
The Fourth Bear: A Nursery Crime
やつぱりおもしろいJasper Fforde。ジャックが「人間」ではないことが奥さんにばれてしまったり、メアリーと異星人アシュリーとのちよつと奇妙でちよつと切ない戀物語とかあつたり、本筋以外にも「どうなるの」とハラハラする場面多し。やー、本邦にもかういふ作家ゐないかな。探してみるかな。
読了日:01月24日 著者:Jasper Fforde
太陽の塔 (新潮文庫)
ひ弱なるがゆゑに殊更「男汁」などと書き散らす、そんないつの世にもゐる男子学生の物語だなあ。でもかういふ人の方が「男汁」が濃いのかもしれない。かういふ紆余曲折があつた方が世の中後々楽しい。そんな気もする秋のゆふぐれ。
読了日:01月27日 著者:森見 登美彦
私の国語教室 (文春文庫)
少数派の意見は過激かつ過剰になりがちだ。崖つぷちにゐるからである。あとがないからである。たとへばローマ字入力をする人間はかんたんに「かな入力なんて近いうちになくなつて当然」といふやうなことを口にする。だがそれはかな入力者には死活問題だ。必死にかな入力の必要性を説くが、ローマ字入力者にはその必死さが伝はらない。福田恆存も、そんなかな入力者のやうな気持ちでこの本を書いたのにちがひない。
読了日:02月05日 著者:福田 恒存
後宮小説 (新潮文庫)
日本ファンタジーノベル大賞の敷居が高いのもむべなるかな。退屈だから叛乱、とか、今読んでも好きだなあ。物語の終はつた後もいろいろ想像(妄想)できるし。今回読んでゐて筒井康隆の影を見た気がした。そこらへんが読み手の限界。
読了日:02月12日 著者:酒見 賢一
ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを (ハヤカワ文庫 SF 464)
はじめて読んだヴォネガット。三原順の「はみだしっ子」で引用されてゐたのがきつかけ。といふわけで キルゴア・トラウトとは最初からお知り合ひな気分がしてゐた。浅倉久志を偲んで。
読了日:02月18日 著者:カート・ヴォネガット・ジュニア
ノーストリリア (ハヤカワ文庫 SF ス 4-5) (ハヤカワ文庫SF)
失敗した。「鼠と竜のゲーム」あたりから手をつけるべきだつた。浅倉久志追悼読書としてつひ手にとつてしまつたが、大失態だ。はじめて読んだときは全然そのおもしろさがわからなかつた。数年後に読んだら「なんでこのおもしろさがわからなかつたんだらう」と思ふほどおもしろかつた。今回は読後にしんみりとした気分になつた。また読みなおしてみやう。さういふ気になる物語。
読了日:03月02日 著者:コードウェイナー・スミス
時事ネタ (文春文庫 と 23-1)
人はなぜとり・みきを読んでしまふのか。「人は」ぢやないか。「自分は」か。
読了日:03月19日 著者:とり みき
九百人のお祖母さん (ハヤカワ文庫SF)
うそつき!
読了日:03月31日 著者:R.A. ラファティ,R・A・ラファティ,浅倉 久志
筒井漫画涜本ふたたび
「ふたたび」相見えることになるとは思はなかつたので、つい手にしてしまつた。誰がなにを選んだのかといふ点が一番おもしろいかな。「みたび」があるのかどうかといふのも気になる。
読了日:04月18日 著者:筒井 康隆
分解 (ちくま文庫)
小説のあり方を憂ふ人の書く小説。解説もあとがきもないのがまたいい。
読了日:04月27日 著者:酒見 賢一
敵は海賊・正義の眼 (ハヤカワ文庫JA)
精神凍結。そんな技もあつた。解説もあとがきもない潔さやよし。
読了日:05月09日 著者:神林 長平
文房具を楽しく使う ノート・手帳篇 (ハヤカワ・ノンフィクション文庫)
効果的に使へなくてもいい。文房具は楽しく使つてほしい。さういふ感じでひとつ。「…………と感じるやうになるものですよ」といふ書き方に押し付けがましさを感じないでもないが、細かいことは気にしない気にしない。
読了日:05月12日 著者:和田 哲哉
入門! システム思考 (講談社現代新書)
最初の例が少しばかりくどすぎるか。ここに出てきた例をループ図にしてくれればいいのにと思つたが それだとちよつと「入門」にはむづかしすぎるのか。最初の一歩としてはふさはしい本なのだらうといふ気がする。ここに紹介されてゐる本を読んでみるつもり。
読了日:05月18日 著者:枝廣 淳子,内藤 耕
システム・シンキング入門 (日経文庫)
因果ループ図の例題・課題が豊富。これだけでもそれなりに描けるやうになると思ふ。ものごとを図に起こすことに不案内な人はまづ「入門! システム思考」を先に読むとよいかもしれない。考へやアイディア、ものごとの仕組みを図にすることに慣れてゐる人にはこの本から入るとよいかと思ふ。
読了日:05月24日 著者:西村 行功
ファシリテーション入門 (日経文庫)
冒頭部分は、ファシリテーションに興味のある人なら云はずもがなのことのやうにも思ふ。傾聴や質問の技術は自分でも試してみたい。あと、題名がどうかなあ。「ファシリテーション」の悲劇は、「facilitation」をうまい日本語に訳すことができなかつたこと、その上うまい略語も生み出せなかつたことにある。せつかくよささうなのに、これでは広まることはないだらう。少なくとも、家に帰つて家族に「ファシリテーションがさー」と云つても話の通じる日はおそらく来ない。実にもつたいない。学級会でだつて使へさうなのに。
読了日:05月26日 著者:堀 公俊
語り手の事情 (文春文庫)
なんとなく「言葉遣い師」に似てるなぁ、と、初めて読んだ時も思つた。ここが読み手の限界。
読了日:06月07日 著者:酒見 賢一
死ねばいいのに
さうか。死ねばいいのか。
読了日:06月19日 著者:京極 夏彦
トヨタ式「改善」の進め方―最強の現場をつくり上げる! (PHPビジネス新書)
愛知県出身のイチローはなぜトヨタ自動車のCMに出演しないのか。その答へはこの本の中にはない。だが、その問ひを常に念頭に置きつつ読みたい一冊である。
読了日:06月23日 著者:若松 義人
ロジカル・シンキング入門 (日経文庫)
自分には「ロジカル・シンキング」は無理だなあ。だつてめんどくさいもの。でも自分の好きなことやものへの批判を読みたがり知りたがるのは「論理的」であることへの憧れか知らんとも思ふ。そんな一冊。
読了日:07月06日 著者:茂木 秀昭
最強組織の法則―新時代のチームワークとは何か
前半はよかつたが、途中から突然読みづらくなる。おそらく翻訳のせゐ。「防御慣例」つて……云ふの? 「慣例的な防御」とか「慣例と化してしまつた防御」とか、さういふ感じなんぢやなからうか。原書にあたるしかないか。あと、「経営者みづから」とか「リーダーが率先して」とかあると、「うーん、それは、無理」と思つてしまふ。自分がトップを動かすしかないのかー、でもどうやつて、と、途方にくれてしまふからである。まあ、「リーダー」を自認する人にはいいのかもしれないが。
読了日:07月14日 著者:ピーター・M. センゲ
英語文章読本
やつぱり文学つてよくわかんないや、といふのが素直なところ。「英語」と題名にはあるけれど、「英語」に限らない内容だと思ふ。まえがきに書かれてゐる文学に不信感をいだいてゐるヒゲ太の仲間としては、おもしろかつたけど、でも不信感は拭ひきれないつてな感じかな。
読了日:08月01日 著者:阿部 公彦
泣き虫弱虫諸葛孔明〈第1部〉 (文春文庫)
蘊蓄好きにはたまらぬ一冊。かつて内藤陳が「いろんな作家のいろんな三国志を読んでみたい」と云つてゐたことがあつた。「それもおもしろいかもね」と思つたあの日、まさかこんな三国志に出会ふことにならうとは、お釈迦様でも気がつくめえ。個人的には、趙雲が普通の人に見えるのは、関羽・張飛のそばにゐたから、といふのに、ひざを打つことしきりだつた。
読了日:08月16日 著者:酒見 賢一
虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
38Pでやつと主人公の人種がわかる。第二部に入らないと主人公の年齢がわからない。相当進んでからどういふ世界なのか判明する。読みながら頭に描いてゐた世界を壊しては構築し壊しては構築しながらでないと読めない。いろいろ頭に思ひ描きながら読む人には向かない小説かと思ふ。そして、この小説にとつてはそんなことはどうでもいいことなのである。頭文字Dとエヴァンゲリオンとハーラン・エリスンとモンティ・パイソン。これが読み手の限界である。
読了日:08月19日 著者:伊藤 計劃
ビールを楽しむドイツ語
「ドイツ行きてー」心に火をつける一冊。観光地よりも現地の人が普通に立ち寄る場所に行きたい自分には目の毒……ではなく、背中を押してくれる一冊かも。細かい味の表現はほかのドイツ語本にはなかなかないのではなからうか。さういふ点もいい。
読了日:08月25日 著者:ヤン ヒレスハイム
老子 (岩波文庫)
はじめて「小国寡民」を知つた時、それは自分が学んでゐることはすべて無駄といふことか、と思つた。学べば学ぶほど、「小国寡民」の方がいい気がしてくる。しかし、さうなのか。「小国寡民」であれば、コーランを燃やすなどといふ蛮挙に出ることはなくなるのか。さうは思ひたくないが、今は思はざるを得ない。
読了日:09月10日 著者:老子
モレスキン 「伝説のノート」活用術~記録・発想・個性を刺激する75の使い方
かういふ「指南書」を買つてノートなりなんなりを使ひこなせるやうになる人つてどれくらゐゐるんだらう。GTDをノートの使ひ方にもあてはめてみた部分はおもしろいが、肝心のGTDの説明のところで、「受信箱(INBOX)」と「アクション・リスト」の関係がわかりづらい。あと、「スケッチが下手」と「ラフなスケッチ」はちがふものだと思ふなあ。HowTo本好きにはおすすめ。
読了日:09月18日 著者:堀 正岳,中牟田 洋子
ほぼ日手帳 公式ガイドブック 2011 いっしょにいて、たのしい手帳と。
やつぱり絵が描けるつて羨ましいなあ。自分のほぼ日手帳はみつしり字ばかりだ。それにしても、みんなほぼ日手帳で足りるんだらうか。全然足りないので別の手帳なりノートなりにあれこれ書き込んで、ほぼ日手帳には一日のまとめを書くやうな状態なんだが。それでも来年もまた使ふけどね。
読了日:09月24日 著者:
文藝別冊 萩尾望都 少女マンガ界の偉大なる母
萩尾望都を読むやうになつたのはマンガを読むやうになつてだいぶたつてからだつた。当時週刊少女コミックには「洗礼」といふそれはおそろしいマンガが連載されてゐて、怖くて読めなかつたためかと思はれる。森博嗣との対談では「一度かいてしまつたものをもう一度書く気にはならない」といふやうなことを云つてゐたが、この本では「若い頃はかけたものでも年を取るとかけなくなる」といふやうな云ひ方をしてゐた。どちらも真なのだらう。アシスタントの方の話が一番おもしろかつたな、自分は。
読了日:10月21日 著者:
昭和恋々―あのころ、こんな暮らしがあった (文春文庫)
昭和の特に東京それも都心のこと、とことはつた方がいいやうな内容。写真は長野やその他の地域のものもあるにはあるが、文章は基本的には東京のことを書いてゐる。著者二人、特に山本夏彦の記憶にある東京は、今に比べたらずつと豊かだつたのかもしれない、といふ気になる。誰しも記憶の中のあの日の姿はうつくしいものではあるけれど。
読了日:10月23日 著者:山本 夏彦,久世 光彦
時の娘 ロマンティック時間SF傑作選 (創元SF文庫)
本邦初公開とか、雑誌に一度発表されたきりとかつて、つまりは「そんなにおもしろくない作品」といふことなのかなあ。時を隔てた話とかは好きなはずなんだけど。切なさ不足なのかも。
読了日:10月27日 著者:R・F・ヤング他,ジャック・フィニイ
EVERNOTE「超」仕事術
かういふ使ひ方もありますよ、といふ感じか。後で読み返して、その時の自分にあつた使ひ方を模索しやうかと思ふ。GTDでプロジェクトの扱ひに困つてゐる人はそこの部分だけでも見ると参考になるかも。
読了日:10月31日 著者:倉下忠憲
一流の習慣術 イチローとマー君が実践する「自分力」の育て方 (ソフトバンク新書)
ずーっとイチローが二軍にゐたのは土井に「振り子打法」に対する理解がないからだと思つてゐたが、なんだ、生意気だつたからなのか、と、納得。野村克也のええ話には泣けるなあ。ときどき文章の意味が不明なことがあるが、全体的には読みやすいと思ふ。自分になにか実践できることがあるか、は、チト謎。それは「や・か・ぜ」にしないといけないのかな。
読了日:11月18日 著者:奥村 幸治
Death of a Gossip (Hamish Macbeth Murder Mystery)
冒頭、しよつ中視点が変はるが、読みづらくはない。よく小説をくさす時に「視点が一貫してゐない」といふが、それつてどうなのかなあ。一環してなくたつて、読めるんぢやない? TVドラマとはチトちがふ雰囲気を感じるが、一作目だからかも。
読了日:11月21日 著者:M.C. Beaton
思考のレッスン
茂木健一郎の名前が大々的に出てゐるのはなぜ? と、読み終はつても思ふ。「ルネッサンス人」とか「マルチ」は、もともと理系の人にはたやすいかもしれないが、文系の人間にはむづかしい。そして、理系の人は「理系とか文系とかつて何?」といふが、文系の人にはその区別はあきらかだつたりする。むづかしいね。
読了日:12月08日 著者:竹内 薫
ポーに捧げる20の物語 (ハヤカワ・ポケット・ミステリ1831)
のつけから「ポーを題材にした歌を歌ふバンド」とか、おもしろすぎ。どの短篇も楽しく読めた。
読了日:12月15日 著者:ピーター・ラヴゼイ,トマス・H・クック,ドン・ウィンズロウ,他
iPhone「女子」よくばり活用術 (デジタル仕事術選書)
かういふ本が出るといふことは、ひととほり行き渡つたといふことなのかな、iPhoneも。よくある「iPhoneを使ひこなさう」系の本には出てこないものを求めてゐたが、うーん、取り上げ方がちがふだけかも? ただ、さういふ本にありがちなガツガツした感じがないのはとてもいいと思ふ。
読了日:12月26日 著者:高橋 浩子
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