犯人はあなたです
認めたくはなかつた。
だが、今や明らかだ。
手藝用のポーチ。
これさへなければ、鞄の中身がすつきりと片付く。
わかつてゐた。
わかつてゐて、現実から目を背けてきた。
だつて、なにもすることがなかつたら、手持ち無沙汰でたまらないぢやあないか。
普段持ち歩いてゐるものといつて、タティングレースのあれこれである。
タティングレースは、ご存知の向きには説明不要とは思ふが、他の手藝に比べてずつと荷物が少なくてすむ。
#シャトル使用の場合、な。
#針を使ふと、話はまたちがつてくる。
たまたま今大物を手がけてゐるといふこともあるのだが、これさへなければ、財布、折り畳み傘、マグボトル、手ぬぐひとハンカチ、ちり紙、メモ帳に筆入、携帯電話にトイデジカメ、あとは適宜お手拭きその他の細々したものがすつきり鞄におさまるのである。
むー。
といふわけで、今日はしじみ袋にタティングレースのもろもろを入れて別にして持ち歩いてみたが。
んー、しじみ袋くらゐの大きさなら、わけて持つても大丈夫かなあ。
なぜわけて持つことを厭ふてゐるのか、といふと、荷物が増えると忘れ物も増えるからだ。
え、バカ? あー、まーさうなんだよねー。頭、回んなくなつちやふんだよねー、荷物多いと。
考へてみたら、もつと余裕をもつて日々暮らせばいいのかもしれない。
たとへば、鞄から必要なものがさつと取り出せなくても焦らないやうにする、とか。
バスや電車は停車してから席を立つやうにする、とか。
目の前の青信号が点滅してゐても走らない、とか。
ときどき、電車やバスの中で、定期券やICカードを取り出すのに手間取つてゐる人を見かけるが、やつがれはあれがダメだ。定期券は即取り出せるところに入れておきたい。改札口に向かふとき、階段とエスカレータとあつたらまづエスカレータを選ぶのは、ぐうたらだからだけれども、理由の五分の一くらゐはエスカレータに乗つてゐるあひだに定期券を用意したいからだ。だから、改札口を入つてしまつたら階段を使ふことが多い。
……といふわけで、犯人はやつがれらしい。
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