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Saturday, 02 June 2007

NHKのアナウンサでさへも

「ビールがおいしく感じる季節」といつて恬として恥ぢるところがない。
6/1朝のニュースで、栃木県小山市上空からの実況であつた。

ここで、なにも揚げ足を取らうといふのぢやない。
NHKのアナウンサでさへも普通に使ふ表現なのだ。
「ビールが」おいしく「感じ」たり「新刊が」「売つてゐ」たりしても、まつたくをかしくないのである。この文法はもう正しいのだ。
めうだと感じるやつがれの方がどうかしてゐるのである。

言語は、特に口語は、時々刻々かはつてゆくものなのだと思ふ。以前はよく「ら抜きことば」なんて云つたけれど、最近はとんと耳にしなくなつた。もうあたりまへのことになつてしまつたのだらう。

「ビールがおいしく感じる季節」のなにがをかしいのか。
ビールが感じるか? さう考へればすぐわかるだらう。
正しくは「ビールがおいしく感じられる季節」なんぢやなからうか。
あ、「正しくは」とか書いちやつた。どちらかといへば、かな。

ビールは感じない。新刊は売つたりしない。どちらも感じられ売られるものだ。

しかし、この表現にはひとつの法則がある。
状態をあらはす時に使はれるといふことだ。
すなはち「ビールがおいしく感じる」といふのは、「ビールがおいしい」といふ状態を感じ取ることである。「新刊が売つてゐる」とは云つても「新刊が売る」とは云はない。すなはち売られてゐるといふ新刊の状態をあらはす時に「新刊が」といふのだ。

さうわかつても、また既に正しいものになつてゐるとしても、おそらくみづから進んで使ふことはないけどな。

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